YU@Kの不定期村

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仮面ライダー4号にみる“THE”シリーズ復権の兆し ~東映・白倉伸一郎の思惑を量る

2015-02-16 18:08:55 | 特撮
こんにちは、YU@K(@slinky_dog_s11)です。
仮面ライダードライブの物語も中盤に差し掛かり、毎年恒例春の大戦映画「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」の公開が待たれるこの時期、なんと驚きのニュースが舞い込みました。その名も、新たな仮面ライダー“仮面ライダー4号”が誕生するというのです。
この記事では、4号からさかのぼって「仮面ライダー」というコンテンツのここ十数年の動きと、“THE”シリーズが成し遂げられなかったもの、そしてその渦の中心でもある東映・白倉伸一郎プロデューサーの思惑を考察してみたいと思います。






■仮面ライダー4号とは


新たな仮面ライダー4号が誕生!今度は飛行機に乗ったヒーロー!】 -シネマトゥデイ


特撮ドラマ「仮面ライダー」の新作となるネットムービーに、新たなヒーロー「仮面ライダー4号」が登場することが明らかになった。
現在テレビ放送中の「仮面ライダードライブ」では、バイクではなく車に乗ったライダーが登場して話題を集めたが、4号はライダー史上初めて、飛行機「スカイサイクロン」を操る。
4号が登場するのは、3月28日から動画配信サービスdビデオが提供する「dビデオスペシャル 仮面ライダー4号」(全3話)。幻のライダー「仮面ライダー3号」が登場する新作映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』(3月21日公開)のその後を描く作品となる。

劇中には、仮面ライダードライブ役の竹内涼真をはじめ、半田健人、中村優一、稲葉友、内田理央らが出演。悪の秘密結社ショッカーによってゆがんだ仮面ライダーの歴史を正すため、仮面ライダードライブ、ファイズ、ゼロノスらが戦う中、ショッカーの手によって仮面ライダー4号が誕生する。
ライダーとして初めて飛行機に搭乗する4号の姿は、まるで軍隊のパイロットのよう。4号の誕生について東映の白倉伸一郎プロデューサーは、「『仮面ライダー3号』に対して、新たな『仮面ライダー4号』というオリジナルの仮面ライダーが生み出されたことは本当にうれしいです」とコメント。「映画やテレビ番組と並び立つようなクオリティーで、ネットメディアでしかできない作品を製作したいとずっと思案しておりました」といい、新作についても、「いずれは、『仮面ライダー5号』や『6号』など、テレビにも映画にも登場しない新たな仮面ライダーが誕生するかもしれませんね」と期待を込めている。

配信に先駆け、第1話を収録したDVDが映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』の入場者特典として合計100万名にプレゼントされるとのこと。敵か味方か、映画でもテレビでも描かれていない新たなライダーの戦いに期待が高まる。
「dビデオスペシャル 仮面ライダー4号」は3月28日より第1話、第2話同時配信 第3話は4月4日配信(全3話)



※※※


まずもってスピンオフ元の映画「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」に登場する“仮面ライダー3号”は、石ノ森章太郎原作の「別冊たのしい幼稚園」10月号(1972年10月1日発行)内「3ごうライダーたい ブラックしょうぐんのまき」に現れていた“幻のライダー”。白倉伸一郎プロデューサーがその幻の存在をこの2015年に復活させるとの事で話題になりました。相変わらず白倉さんは話題作りには強いというか何というか…。

そのスピンオフとして企画され、映画の入場者特典DVD、そしてネット配信でその物語が語られるという仮面ライダー4号





そもそも「仮面ライダー4号」というのはあのライダーマンの称号でもあるのだが、それを意識してかマスクの口元には唇がデザインされている。戦隊シリーズには唇造詣ヒーローは沢山いるけれど、そういえば仮面ライダーでは新鮮だな、と。まあ、“仮面を被って戦う”が大命題な訳だから、その仮面に人間味があったらそれはそれでおかしい、って事ではあるんですけどね。
飛行機を操るライダーという事で、“空を飛べる”との符合かスカイライダーを意識した配色にも感じられる。ダボダボしたスーツも味があってかっこいい。また、ミニタリー調というのも渋さがあって、個人的には「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」時のキャップのスーツを思い出したりもしました。








■仮面ライダー“THE”シリーズとは

デザイン的にすでにかなりお気に入りの仮面ライダー4号ですが、(これは3号のスーツを見た時にも思ったことですが)、やっぱり“似てる”よなぁ、と。
そう、あの“THE”たちに似てるんですよね、デザインの方向性が。
仮面ライダーで“THE”とは、言うまでもなく映画「仮面ライダー THE FIRST」とその次作「仮面ライダー THE NEXT」のこと。





「仮面ライダー THE FIRST」は2005年の映画で、監督は長石多可男、脚本は井上敏樹。
あの本郷猛と一文字隼人、1号と2号の物語を現代風にリブートするという企画で、特にそのスーツデザインは公開から10年経った今でも第一線で通用するんじゃないかという、かなり洗練されたもの。文字通りマスクを被るという設定が活かされ、襟足部分から頭髪が見え隠れするのが何とも味がある。
ストーリーは恋愛・悲哀をメインに据えたもので、改造された人間の悲しみを描いた物語でした。その悲哀から続く恋愛模様が少々かったるくて一定層のファンからは批判の声も大きいですが(やりたい事は分かるのですが)、時系列を入れ替えたストーリー構成など、中々魅力的な点もあります。改造手術のシーンがしっかり描かれているのも、一周して00年代においては新鮮だったり。
注目はアクションで、現行の平成ライダーシリーズとの差別化もあってか、ワイヤーアクションとバイクアクションがメインで組み込まれました。平成ライダーにおけるワイヤーアクションは「仮面ライダーW FOREVER AtoZ 運命のガイアメモリ」で坂本浩一監督が自身のチームを率いて導入するまではあまり積極的に用いられていなかったので、これまた00年代当時のライダーアクションとしては新鮮だった訳です。
私を含む一部のファンからはカルト的な人気を有する本作ですが、特撮ファンの平均的な評価は「デザインとアクションは良いけどストーリーが残念」といったとこでしょうか。


【関連サイト】
仮面ライダー THE FIRST 公式サイト







そして、その続編として2007年に公開されたのが「仮面ライダー THE NEXT」。監督は田崎竜太、 脚本は前作に引き続き井上敏樹。
「アクションに酔え。怪奇に震えろ。これがNEXTエンタテインメントだ。」のキャッチコピーの通り、前作で好評だったアクションには引き続き注力しつつ、初代仮面ライダーにおいても重要なキーワードであった“怪奇性”をJホラーという形で盛り込んだ。結果、仮面ライダー映画として歴代初のPG12指定作品となり、名実ともに“大人向けの仮面ライダー映画”として公開されました。
今作では前作の2年後という設定で、1号と2号のスーツも2年間の戦いを経た跡がデザインされているのが特徴。また、新登場&新解釈のV3も登場し、トリプルライダーのハイテンションアクションは大きな見所。主題歌の「CHOSEN SOLDIER」もケレン味があって強烈です。
ストーリーは前作でメイン要素だった恋愛をすっぱり捨て、アイドルの変死とその裏のショッカーの計画を軸にホラー色を強めに。「リング」的なベタさも汲みつつ、田崎監督の色々な挑戦が垣間見える絵作りに仕上がっていました。その良くも悪くも直球ストレートであるJホラー要素は正直なところ賛否両論で、これまたストーリー展開に難ありという評価をされがちな作品でもあります。


【関連サイト】
仮面ライダー THE NEXT 公式サイト
仮面ライダー THE NEXT 公式ブログ(撮影の舞台裏など)



THEシリーズは2作を通して「デザインとアクションは良いけどストーリーが残念」という烙印を押されがちながらも、しかしその“リブートの精神”そのものは好意的に受け止められているのではないでしょうか。



■“THE”が目指したもの

2005年公開の「仮面ライダー THE FIRST」公開時、放映していた仮面ライダーは「仮面ライダー響鬼」。続編の「THE NEXT」公開時は「仮面ライダー電王」。つまり、「剣」「響鬼」といった平成ライダーが(主に商業的に)苦難の時期に企画されたのが「THE FIRST」、それを受けての2年越しの続編が「THE NEXT」という流れです。

両作品の東映側のプロデューサーは白倉伸一郎。言わずもがな、「アギト」「龍騎」「ファイズ」といった平成ライダー黎明期で確実な土台を築いた白倉さんが、この“THE”シリーズのプロデューサーです。
ここからは私の推測による考察ですが、この“THE”シリーズで、白倉さんは「卒業組」を獲りにいったのではないかと思うのです。ここでいう「卒業組」とは、仮面ライダーのメイン対象年齢である幼児~児童より上の層、つまり正確には、“仮面ライダーを一度卒業した層”ではなく“仮面ライダーの対象年齢層から外れた年齢層”です。





仮面ライダー、ひいては昨今の日本における「特撮もの」とは、やはり子供向けという概念が根強いです。以前「「BIG HERO 6」はなぜ「ベイマックス」なのか? ~ハートフルな国内宣伝にロケットパンチ!」という記事にも書いたのですが、特にヒーローが活躍する番組や映画は、その中身が仮に大人向けであろうとも、“子供向け”にカテゴライズされてしまいます。というより、そういうフィルターが土壌として育ってしまっているんですね。
それ自体は本来の対象年齢層を考えればなんらおかしなものではないのですが、ブームの移り変わりの激しい“子供向け”という市場“のみ”に依存する事がコンテンツとして是が否か、という命題はあったと思うのです。近年「妖怪ウォッチ」がポケモンの再来かと言われるほど流行っている現状からも分かるように、“子供向け”の市場はいつだって群雄割拠の戦国時代。昨日の将軍がいつやられるか分かったもんじゃありません。長年居座っている「ドラえもん」や「アンパンマン」はもはや殿堂入りですが、「仮面ライダー」が彼らと肩を並べられているかと問われたら、素直に頷けません。
メインの対象年齢層を狙った“子供向け”の市場は継続しつつ、第二の矢として「卒業組」を狙っていった白倉さんの戦略は、むしろ行われて然るべきものだと思います。
「仮面ライダー」というコンテンツが太く長く続くためには、2つの年齢層に訴えていかなければなりません。





続編の「THE NEXT」がPG12指定を受けている事からも“子供向け”の市場はほとんど狙っていない事が分かります。
また単に「卒業組」といってもそれはさらに二分されており、1つは初代「仮面ライダー」で育った“昭和世代”、そしてもう1つは後期メタルヒーローや平成ライダー1期(黎明期)で育った“平成世代”。つまり“THE”は、幼い頃に仮面ライダーで育った世代と、平成になって特撮ヒーローを観て育つも対象年齢層から外れてしまった世代の、その双方の「卒業組」に向けて放たれた作品だったのではないでしょうか。(“特撮ヒーローを卒業している”という意味では無い。“卒業”とはあくまで対象年齢層の意)

端的に言ってしまえば、白倉さんは、「大人が観る特撮ヒーロー」というブランドを東映主導で製作したかったのではないか、と。
そしてそこに初代「仮面ライダー」のリブートを持ってくる事で、卒業したての平成世代と題材を懐かしめる昭和世代を「卒業組」として狙いにいったのではないでしょうか。




▲この記事を書くにあたって久々に引っ張り出した我が家の「THE NEXT」。当時映画館で2回観ました。



■“THE”シリーズの末路

東映が作る「大人が観る特撮ヒーロー」
それを目指して作られた「THE FIRST」は、2年後に公開規模を大幅に拡大させ続編が放たれた事からも、商業的に大きなバツが付くどころか、最低限の実績は残せたものと推測されます。そして続編の「THE NEXT」が公開され、さて次はライダーマンやアマゾンがリブートされるのか!?…とファンはワクワクしていたところで、このシリーズは終わりを告げました。
今となっては「THE NEXT」の興行成績が悪かったのか、はたまた続編の企画などそもそも無かったのか、真相は分かりませんが、確実に言えるのは「仮面ライダー電王」という革命児の誕生です。

2007年に放送を開始した「仮面ライダー電王」は、言わずもがなの超人気作。番組終了後にVシネマ製作決定と報じられるも、劇場公開にクラスアップし「劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事」を公開、その後も「劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン」「劇場版 超・仮面ライダー電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦」とシリーズを伸ばしました。

そしてこの「仮面ライダー電王」が、仮面ライダーというコンテンツを大きく変革させる事になったのです。
改めて電王以前と以降の仮面ライダー劇場作品を並べてみれば、それは一目瞭然。今となっては恒例となっている春の大戦枠も、冬のMOVIE大戦枠も、その先駆けはどちらも電王なのです。TVシリーズと映画の物語をリンクさせ、その宣伝をレギュラー放送内で敢行したのも電王が初でした。電王が現れ、全てを変えていったのです




▲2005~2012年の仮面ライダー映画の変遷。電王が新たな映画枠の土台を作ったのは明白。


極端な話、製作さえすれば仮に内容がどうであれ問答無用で爆発的に売れる程の勢いが、当時の電王にはありました。
当時の状況で“THE”シリーズの3作目を製作するよりも、1作でも多く電王を作った方が確実に客が入るのは素人目にも明白。電王ファンという確実な客層を既にゲット出来ている事、俳優陣のキャスティングの都合を究極の場合無視出来る製作上の利点(イマジンがいれば成立してしまうため)、確かな実績、各種スーツやセットの現存(製作費削減)。
その全ての条件が、“THE”シリーズの続編の芽を摘み取ってしまったのです。





そしてその“うねり”は「ディケイド」に繋がり、「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」で昭和ライダーが銀幕に復活した事で、当初の「卒業組」狙いは「親子二世代」狙いにゆるやかにシフトしていきます。
以降、毎年のように昭和ライダーがスクリーンに登場し、平成ライダーも過去のヒーローが引っ切りなしに駆り出され、「本来の対象年齢層」と「卒業組」という並行しつつ交わらないはずの2つの客層を狙う方向性は消失し、「本来の対象年齢層」と「その親世代と引き続きハマっている世代」という幹に枝葉が伸びているような付随&二次的な客層を(同時に1つの受け皿で)狙っていく事になりました。というより、“ならざるを得なかった”。

結局、幹の2本目は成立しきれなかった、という事です。




▲大戦系映画の発展が、「卒業組」の取り込みを封殺してしまった。


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■模索の時代

それ以降、白倉伸一郎の「卒業組」へのアプローチは、模索の時期に突入します。
「仮面ライダー」というコンテンツは、電王以降定着した年3回の映画で身動きが取れなくなってしまった。メインスポンサーであるバンダイとの販促の制約も大きい。商業的にはウハウハかもしれないが、コンテンツ自体を長い目で見た時の先細りは相変わらず懸念材料として残ってしまっている。





この流れを引き継いだものと推察されるのが、2012年公開の「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」。白倉さんは企画から携わっています。往年の特撮ヒーロードラマ「宇宙刑事ギャバン」の直接の続編として、そして新世代のギャバンを新ヒーローとして擁立する事で、これまた「卒業組」を狙いにいった作品。
更には2014年の「キカイダー REBOOT」。白倉さんは角川の井上伸一郎氏とともにエグセクティブプロデューサーとして携わっています。これは文字通りリブートとして、現代解釈のデザインと物語が作られました。企画の方向性としては最も“THE”シリーズに近いものかもしれません。(本作の解説・レビューについては過去記事「「キカイダーREBOOT」は“再起動”できたのか?」参照)

その双方、興行的に奮ったかというと、正直かなり厳しいものがありました。
どちらも、往年のファン向けに作っているのか・新しいファンを取り込みたいのか、その良いとこ取りを狙ってどっちつかず中途半端になっているような作品でした…。新しいギャバンは結局“本流”の「仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z」に出演する事で新生宇宙刑事シリーズの土台にはなり得ましたが、前述の“もう1本の幹”には届かなかったのではないでしょうか。







東映製作の大人向けとしてはまさに“よい子は見ちゃダメ”な「非公認戦隊アキバレンジャー」がありましたが、これは正確には大人向けと言うよりオタク向けで、どう贔屓目に見ても“正統派”ではありません…。(そこがこの作品の魅力ですが)
平成ライダーでいえばダブルや鎧武のOV展開から新しい足掛かりへの匂いもしますが、まだ定例枠にまで育っていないのが現状です。鎧武のOV(斬月&バロン)においてもスーツの流用・改造が多く、製作費もその期間もまだまだ潤沢ではないのでしょう。
東映から目を離すのであれば、「牙狼」は10年かけて巨大コンテンツに成長した“大人向け特撮ヒーロー”として、間違いなく成功例でしょう。今では映画が複数本にアニメにスピンオフに続編に大盤振る舞いです。しかも、当初から作風の軸がぶれていないのが凄まじいです。



■そしてまた“仮面ライダー”へ

私なりに「白倉伸一郎の“卒業組”狙い路線」をずっと追ってきましたが、つまるところその最新作が「スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号」であり、「仮面ライダー4号」なのではないかと思うのです。
正確にはまだそこには届いておらず、これがもしかしたらスタート地点なのではないか、と。

つまり、“本流”の大戦映画に先に出演を果たした3号が4号というスピンオフを備えて動画配信の方向性に進む流れは、まさにギャバン等の新生宇宙刑事シリーズの昨今の展開(大戦Z出演からのOV展開)を雛形にしているのではないでしょうか。
「仮面ライダー」というネームバリューを備えた「卒業組」狙い路線の作品が、始めからそこに矢を放つのではなく、“本流”から少しずつファンを取り込みシフトしていく。つまり、“THE”が消滅しその路線が大戦系列に取り込まれたあの流れの、全くの逆を、まさに「今」、やり始めているのではないかと私は考えるのです。
冒頭に載せたのインタビューで白倉さんが「いずれは、『仮面ライダー5号』や『6号』など、テレビにも映画にも登場しない新たな仮面ライダーが誕生するかもしれませんね」と語っているように、もしこの路線が成功すれば、その未来では現行のライダーと交わらない「仮面ライダー5号」や「6号」の活躍が観られるかもしれない。商業的な大渦である“本流”から独り立ちして、「卒業組」を真に狙える「大人が観る特撮ヒーロー」という東映の新たなブランドが、成立するかもしれない。





だからこそ、この3号そして4号という存在は、さながら「仮面ライダーというコンテンツ」の今後を占うヒーローなのではないでしょうか。
そしてその流れの元を辿っていくと、そこには「仮面ライダー THE FIRST」「THE NEXT」が確かにいるような気がしてならないのです。
3号や4号の展開は、「仮面ライダーで大人が観る特撮ヒーローを作る」という路線の、白倉伸一郎なりの一種のリベンジなのかもしれません。



■受け継がれるは“変革の精神”

面白いのが、“THE”シリーズの東映側のプロデューサーは白倉さんのみではないんですね。
彼と一緒に名を連ねているのはあの「仮面ライダー鎧武」を作った武部直美。平成ライダーシリーズを何とか変えようと、行き詰まりが危ぶまれる現状を打破しようとしたあの「鎧武」。その根っこに、白倉さんの思惑と近いものがあったと考えるのは憶測が過ぎるでしょうか。
マンネリ打破、現状打破、シリーズ・コンテンツとしての柔軟性…。
そういったものを目指しては成功したり破れたりする作品は仮面ライダーに限らず多々ありますが、白倉伸一郎と武部直美の2人は東映の中でも特に、この精神をなんとか作品に落とし込もうとしているような気がしてなりません。





【関連記事】
折り返し地点総評、「仮面ライダー鎧武」の挑戦!
「鎧武」は相当な難産だったのではないか ~製作逆順で「魔法少女まどか☆マギカ」を観て感じた事

【全話レビュー】 仮面ライダー鎧武 第1部~ビートライダーズ編~ 第2部 第3部 第4部


もちろん、白倉さんの炎上商法のきらいのある企画は素直に称賛出来るものではありませんし、そもそも前述の「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」や「キカイダー REBOOT」の宣伝共演をニチアサの枠でやっていたのは作品のターゲット層的にブレてはいないか、という疑念もあります。まあ、「卒業組」を狙いつつも結局は“本流”に頼らなければ厳しい、という苦肉の選択肢だったのかもしれませんが。

とはいえ、何かを変えようと、新しい幹を作ろうと奮闘するその“変革の精神”については私は大いに応援したいですし、それがなければ「仮面ライダー」というコンテンツは商業主義の呪縛に囚われ先細ってしまうかもしれないと、思えてならないのです。
その“変革の精神”の第一歩だったかもしれない「仮面ライダー THE FIRST」と「THE NEXT」。
決して万人が絶賛する作品ではなかったかもしれません。しかし、その精神の源流を推察する上で、欠かす事の出来ない作品だったのではないでしょうか。回り回って、「THE FIRST」と「THE NEXT」が姿を変え、その精神が3号や4号に受け継がれているように思えてならないのです。

大戦系映画に参戦しない彼等がこのままゆるやかに歴史の闇に沈んでいく前に、このタイミングでこそ、“THE”シリーズに今一度思いを馳せるべきなのかもしれません。





だから、そろそろいい加減に“THE”シリーズのBlu-rayを出してください!お願いします!!




▲(注)妄想イメージパッケージです。一瞬ワクワクしてしまった人は私と一緒にdビデオに加入して「仮面ライダー4号」を観ましょう。


<後日追記>
続編】→『「仮面ライダー4号の声優は松岡充」について一言物申したい



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15 コメント

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Unknown (横須哲斗)
2015-02-17 00:15:25
とても読みごたえのある、面白い記事でした!
白倉伸一郎&井上敏樹大好き人間としては、『THE』シリーズが公開されたのが『超光戦士シャンゼリオン』からちょうど10年後、『クウガ』『アギト』からちょうど5年後、というあたりにひとつの流れのようなものを感じずにはいられません。
『シャンゼリオン』の時代に未就学児だった子供がちょうど『クウガ』『アギト』を小学生の時に見て、対象年齢を離れた中学生・高校生の頃に『THE』シリーズを見る。
もちろん『シャンゼリオン』作ってる時の白倉伸一郎がここまでの先見性を持っていたわけはないでしょうが、意外と繋がってるような気はします。

『THE FIRST』のキャッチコピーは「継ぐのは、魂。」だったわけですが、じゃあどんな魂を継ぐのかというと、子供のものでしかなかった「特撮ヒーロー」の可能性を探ろうという魂なのかなと。
もっと広く映像作品としての俎上に乗せるというか、荒波に揉ませる感じで。
白倉伸一郎が某社の入社試験で『BLACK RX』にケチをつけたという逸話は尾ひれがついてあっちこっちで語られていますが、ご本人の日記によれば『RX』終盤の10人ライダーにTV局やスポンサーとのせめぎ合いを感じたのだとか。
そういう「番組から透けて見える一種の子供騙し」をぶち壊そう、という意志が白倉氏には(付け加えるなら『クウガ』担当時の高寺重徳氏にも)あったのかな、と思います。そのための挑戦が『シャンゼリオン』であり、『アギト』以降の平成ライダーだった。
その目論見は『アギト』~『555』では成功したものの、以後の「ヒーローを子供番組のくびきから解き放つ」という『THE』シリーズの挑戦は、記事の中でご指摘の通り、頓挫してしまったのでしょう。

そして現在、『THE』シリーズからさらに10年が経とうとしています。成功するにせよ失敗するにせよ、新たな挑戦を行うためには5年10年と間を空けることが必要なのかなと。成功したら『電王』のようにしばらくそのビジネスモデルを続けなきゃいけないし、失敗したらその傷が癒えるまで待たなければならない。
今回の3号&4号はほんとに試金石なのだなあ、と楽しみにしつつ公開を待つ所存です。

余談ですが、『THE』シリーズ公開前後にも『仮面ライダーカブト』に黄川田将也氏が友情出演したり加藤和樹氏(仮面ライダードレイク)が『THE NEXT』でV3を演じたりで、「キカイダーやギャバンでも昔とやってること変わんねえんだなあ」と密かに思う今日この頃。
コメント返信 (YU@K)
2015-02-17 11:14:22
>横須哲斗様

コメントありがとうございます!
自分で言うのもなんですが結構時間をかけて書いたものだったので、読み応えがあると仰っていただけるのはとても嬉しいです。

なるほど確かに、シャンゼリオンからの流れを感じずにはいられませんね…。白倉×井上作品という符号も魅力的です。そう考えると、PG12というのも絶妙なラインですよね。ちょうど中学生になってライダーや戦隊を年代的に離れた層が足を突っ込めるという…。

「番組から透けて見える一種の子供騙し」についても、仰る通り白倉さんや高寺さんは課題に感じられていたのだと思います。最近クウガを観返す機会があったのですが、一切の妥協なく“子供騙し”を潰しにかかる作風に改めて舌を巻きました。
とはいえ、そこから数年後のディケイド以降の大戦映画でまた“子供騙し”の東映悪癖が見え隠れするような気もして、でもそれはコンテンツが成長したからこその現象でもあると思うので、また新しい形での課題なのかな、と感じています。

3号や4号がTHEから10年経って登場し、この試金石が成果として実る事を、ただただ願うばかりですね。自分に出来るのは半ば従順に東映の狗としてお金を落としていく事のみですが…。

まあ、今であれば確実に番組内で黄川田本郷と天道総司は共闘してますね… (笑
〝かつて子どもだった〟大人も実は厄介 (フォレス・ノースウッド)
2015-02-17 21:14:23
捻くれ者の身ですので、今じゃすっかり白倉Pには「私の知る○○は本当に死んだな」(元ネタガンダムUC)状態な私でも唸らされる記事でした。
今でも特撮=子ども向けなんて見方は偏見、別に大人向けの特撮があったって良いって持論は自分にもございます。
ただ……自分含めたかつて子どもだった層も、実は子ども騙しに敏感な子ども以上に厄介だと考えてます。こういう層にはダブルスタンダードがあるんです、『重厚な大人向けテイストが見たい』、でも『かつてのあの興奮も見たい、ヒーローのカッコよさに酔いしれたい』の二つ(だから恋愛要素は下手すると邪魔な異物でしかない)、これを踏まえず自分らに立ち向かうのは無謀です。だからキカイダーは大コケし、宇宙刑事もVシネ出るまで微妙だったわけです。
アメコミはその辺のバランスはクリアしてますが、東映含めた日本はまだその辺のかじ取りが下手くそです。

THEシリーズに関してはタイミングがちと悪かったですね、FIRSTを例にとると当時はまだ平成ライダーに反感多い昭和ファンも多く、その時期によりにもよって一番神格化されてる一号二号が、ルックスはともかく性格に難のあるヒロインを取り合う様を見せつけられて過剰反応してしまったとこでしょう。NEXTに関しては初期の旧一号時期の怪奇要素とJホラー混同してんじゃね!って感じですかね。

つくづく私たちファンはめんどくさい生き物です。四号に関しては私は肯定派ですが(何気に竹内君にとって念願な555とドライブが並び立ち、その前に佇む四号はカッコイイ)、でも平成に入ってから飛べるライダーが増えすぎたから飛行機乗るライダーにそんなインパクト感じない自分が憎い(苦笑
コメント返信 (YU@K)
2015-02-18 17:29:05
>フォレス・ノースウッド様

コメントありがとうございます。
私も以前「キカイダーREBOOT」のレビュー記事に同じような事を書きましたが、要はそうなんですよね。『重厚な大人向けテイストが見たい』と、『かつてのあの興奮も見たい、ヒーローのカッコよさに酔いしれたい』。でも日本の特撮業界はまだまだこれを上手く両立できるほどのスキルも土台もなくて、観る側の視点だけ洋画やアメコミヒーローで肥えてしまっている…。
最新の宇宙刑事のVシネシリーズが割と良い感じに両立を目指している感じもあって(特にシャリバン編)、やはり風雲児で開拓者は坂本監督なのかな、とも思ったりしました。

飛行ライダーについてはスカイライダーさんが年々十八番を奪われている感じで「ぐぬぬ」感はありますが、まあ、バイク以外の専用機を持っているライダーとすると意外と少なかったりするので、「ライダーとマシン」というコンセプトでは最新のドライブと方向性は同じだったりするんですよね。
まさか映画のトライサイクロンのように1台しっかりスカイサイクロンを作る予算なんてないでしょうから、CG含め、専用機体がどう描かれるかにも注目してます。
子供向けだからこそ (Unknown)
2015-04-21 05:39:47
今の仮面ライダーの凄いところは
制約の厳しい日曜日の朝の子供番組として
時には批判をエネルギーに換えて(炎上商法ともいえますが)

クウガ響鬼のリアルな世界観
アギト555キバの人間ドラマ
龍騎電王ディケイドのカオスな世界観
剣オーズ鎧武のヒーローの追究
Wドライブのメディアミックスによる世界観の構築

と多彩なチャレンジ(試練)をしていることだと思います。王道にして邪道、これが仮面ライダーの魅力ではないでしょうか?

面白いかどうかだけで評価される
一般ドラマではなかなかこんなことはできません。

形ができている国民的アニメや、
逆に何でもありの深夜アニメでもたぶん無理です。

卒業組への奉仕はオールライダーか漫画位で止めないと、仮面ライダーシリーズ自体が閉じたものになるのではないかと思います。

(論点が少しズレてすいません)
ただオールライダーで過去のライダー出てくるたびに、鳥肌たつほど興奮するんですよね。

どうしようもなく好きなんですよ、仮面ライダー…
コメント返信 (YU@K)
2015-04-22 18:34:14
>Unknown様
お返事が遅れてしまい大変申し訳ありません!
仰るとおりで、ここが難しい所なのですが、卒業組にあまりに注力して本流との力関係が逆転してしまうとか、そういったことはあってはならないんですよね。あくまで子供向けをメインとして、時に炎上しながらチャレンジしていく事こそが、魅力だと私も思います。
Unknown (.)
2015-08-11 22:54:54
毎回過去作の成功に縋り深夜アニメオタに媚びる武田のやり口を変革とは言わない。
コメント返信 (YU@K)
2015-08-12 10:41:50
>(.)様
武田とは誰の事でしょう?
電王が新たな映画枠の土台を作った? (通りすがりの~)
2015-08-18 03:30:33
記事としてすごく面白いと感じました。概ね同感です。
ただ電王が映画枠の土台を作ったかといえば、ヒットした電王というソフトで引っ張っただけのことであって、現在の在り方は、ディケイド以降、平成2期の変革の波を受けたからと言えるような気がします。

過去作にはあったのに平成1期で消えてしまった、作品を超えた共闘というものを再現したいという話は、白倉さんのインタビューで過去に何回か登場していたように思います。
コメント返信 (YU@K)
2015-08-18 15:41:14
>通りすがりの~様
仰る通りだと思います。とはいえ、電王が商業的に当たったからこそ、あの時期の映画枠を東映が確保する企画が通りやすくなったという点では、電王の影響は大きいと考えますが、いかがでしょう。
初めまして (ジェスピオン)
2015-10-17 02:46:32
ギャバン復活は春の戦隊集合にゴセイジャーと歴代戦隊OBの一人でもある大葉さんの存在とメタルヒーロー30周年も合った時期も重なったもあって奇跡のVS映画ですし。

ただキカイダーは
過去にコミック版のリメイクとか、原作コミックがそのままアニメ化と前例があったのに対し、リブート版は先行の小説版が角川からでたりでなんか消極的思えました。
コメント返信 (YU@K)
2015-10-19 18:34:01
>ジェスピオン様
ギャバン復活については、むしろその後言うほど大きなメタルヒーロー復活にまで繋がらなかったのが問題(?)かなあ、と思っています。もちろんNGシリーズはあったのですが。
そんな私も還暦近いおっさんです。 (仮面ライダー クエーサーと名乗ってはいる私だが…)
2015-11-08 10:19:27
TV版お子さま向け仮面ライダーは,そちら側に任せます。映画版リアル仮面ライダーの次なる作品が見たいものです。ネタ作り,新たなるライダーデザインに限界が来たのでしょうか?石ノ森様の他作品のリニューアル版も良いと思います。例えば、ハカイダー側を主役にした映画の続編とか。ロボット刑事Kのデザイン修正バージョンとか。
コメント返信 (YU@K)
2015-11-10 08:09:09
>仮面ライダー クエーサーと名乗ってはいる私だが…様
本文にも書いていますが、大人向けの仮面ライダーを新たに作るより、現行のライイダーの映画版の方がローリスクハイリターンなのだと思います。
Unknown (リズ)
2016-05-06 08:44:43
はじめて投稿させて頂きます
いつも熱い記事をありがとうございます
8月にYU@Kさん待望のfirst&nextのBlu-rayが出ますね
自分は買うかどうかわかりませんがとても楽しみですね

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