一時
この秋、私達にとっては大きなイベントがある。
他の県の人達にも集まってもらい、1泊2日で開催される。
1日目の夜は交流会があるが、その席で各県ごとになにか余興を出していただくようにお願いしている。
もちろん、主催者である私達も披露するわけだが、わが県としてはとてもベタだが、一番最後に出席者全員に参加してもらって民謡を踊ることになった。
ということで、今日の勉強会は踊りの練習。
いつもは勉強会にはなんやかやと理由をつけて出席しない私だが、実行委員のひとりとしては、みっともない踊りを披露するわけにはいくまいと出かけた。
R子さんが、幼稚園から借りてきたというCDを流して、いざ始め!
ところが皆さん、かなりいいかげん。
歌と踊りが全然合っていない。
「違いますよ~」
と言って、私が出ていった。
踊るのは小学校の運動会以来だけれど、意外と体が覚えているものである。
「いきなり動き出すのではなく、最初は『うん』と一拍置いてからです」
「だらだらと続けて踊るのではなくて、次の動きに行く前にぴっ!と動きと止めるときれいに見えます」
と指導。
私を先頭にして、皆で部屋の中で踊った。
Zさんが言った。
「わからないから、ひとつひとつ教えてよ」
そう、Zさんは視覚障がい者なのだ。
「みんなは見ながら覚えられるけど、私は見えないんだからねっ」
ごもっともです。
まず足の動きだけ教えてくれと言われたが、足だけと言われると難しい。
「えーと…最初は8回その場でかかとだけあげてトントントン…それから、左、右、左、右…左後ろ、右後ろにいった足をそのまま前に…」
その後手の動きをしたが、微妙な動きをうまく伝えることができない。
「もっと簡単に教えられないのっ!?
『炭坑節』みたいに、『掘って、掘って、また掘って…』とか言ってくれないと困るわ」
「うー…炭坑節の踊り知らないもんで…(汗)」
大勢の他県の方たちの前で踊る以上、恥ずかしい踊りは見せられないと完璧を目指して苛立つZさんであった。
結局、適当でいいのではないかということになった。
R子さんが、
「よその県の人達なんて当日いきなり踊るんだから、完璧なんて無理なのよ。
要は楽しく踊るってことじゃない?」
とZさんを説得してくれた。
「でも、みんなは見えるからいいけど、私なんて見えないから、くるくる回っていると自分がどっちの方を向いてるのかわからなくなるの」
ごもっともです。
そこで、踊り少し変えた。
前を向いたまま後ろに進むというのが障がい者には意外に難しいとのことだったので、その部分はその場に立って手だけ動かす、宴会場でくるくる回るのも障がい者には危険ということで、手に持っているものを頭上で振るに変えた。
実際に踊ってみて、我ながらなかなか良い振りつけではないかと満足。
民謡は15番まであって、実際に踊ってみたら10分弱もかかった。
「疲れる~、長すぎ~」
皆からブーイングが出たが、ただひとりKさんだけが
「そんなでもないと思う」
と言った。
では、そこは当日の雰囲気で最後まで踊るか途中で切るかを決めようということになった。
「でも、いきなり曲を流して他県の人に踊れと言っても無理よね」
Mさんが言った。
そこでまず最初に、私とR子さんにステージで踊って見本を見せろと言う。
「ゆかた着たら?」
というMさんに、R子さんは、そんなもんは持ってないと言った。
「いざとなったら、宿の浴衣を着ればいい」
え~っ、やだよ私は…(汗)
大勢の前で舞台で踊らされるだけでも恥なのに。
まだまだ実行委員としては仕事があるのだけれど、まずは余興が確認できてよかった。
雀百まで踊り忘れず…百まで覚えていられるか自信はないが、少なくとも私はこの年まで小学校で教えられた踊りを完璧に覚えていたことにびっくりした一日であった。
さあてこれから、いかに美しく踊れるか(←自分だけ…)を秘かに研究し練習するとしよう。
この秋、私達にとっては大きなイベントがある。
他の県の人達にも集まってもらい、1泊2日で開催される。
1日目の夜は交流会があるが、その席で各県ごとになにか余興を出していただくようにお願いしている。
もちろん、主催者である私達も披露するわけだが、わが県としてはとてもベタだが、一番最後に出席者全員に参加してもらって民謡を踊ることになった。
ということで、今日の勉強会は踊りの練習。
いつもは勉強会にはなんやかやと理由をつけて出席しない私だが、実行委員のひとりとしては、みっともない踊りを披露するわけにはいくまいと出かけた。
R子さんが、幼稚園から借りてきたというCDを流して、いざ始め!
ところが皆さん、かなりいいかげん。
歌と踊りが全然合っていない。
「違いますよ~」
と言って、私が出ていった。
踊るのは小学校の運動会以来だけれど、意外と体が覚えているものである。
「いきなり動き出すのではなく、最初は『うん』と一拍置いてからです」
「だらだらと続けて踊るのではなくて、次の動きに行く前にぴっ!と動きと止めるときれいに見えます」
と指導。
私を先頭にして、皆で部屋の中で踊った。
Zさんが言った。
「わからないから、ひとつひとつ教えてよ」
そう、Zさんは視覚障がい者なのだ。
「みんなは見ながら覚えられるけど、私は見えないんだからねっ」
ごもっともです。
まず足の動きだけ教えてくれと言われたが、足だけと言われると難しい。
「えーと…最初は8回その場でかかとだけあげてトントントン…それから、左、右、左、右…左後ろ、右後ろにいった足をそのまま前に…」
その後手の動きをしたが、微妙な動きをうまく伝えることができない。
「もっと簡単に教えられないのっ!?
『炭坑節』みたいに、『掘って、掘って、また掘って…』とか言ってくれないと困るわ」
「うー…炭坑節の踊り知らないもんで…(汗)」
大勢の他県の方たちの前で踊る以上、恥ずかしい踊りは見せられないと完璧を目指して苛立つZさんであった。
結局、適当でいいのではないかということになった。
R子さんが、
「よその県の人達なんて当日いきなり踊るんだから、完璧なんて無理なのよ。
要は楽しく踊るってことじゃない?」
とZさんを説得してくれた。
「でも、みんなは見えるからいいけど、私なんて見えないから、くるくる回っていると自分がどっちの方を向いてるのかわからなくなるの」
ごもっともです。
そこで、踊り少し変えた。
前を向いたまま後ろに進むというのが障がい者には意外に難しいとのことだったので、その部分はその場に立って手だけ動かす、宴会場でくるくる回るのも障がい者には危険ということで、手に持っているものを頭上で振るに変えた。
実際に踊ってみて、我ながらなかなか良い振りつけではないかと満足。
民謡は15番まであって、実際に踊ってみたら10分弱もかかった。
「疲れる~、長すぎ~」
皆からブーイングが出たが、ただひとりKさんだけが
「そんなでもないと思う」
と言った。
では、そこは当日の雰囲気で最後まで踊るか途中で切るかを決めようということになった。
「でも、いきなり曲を流して他県の人に踊れと言っても無理よね」
Mさんが言った。
そこでまず最初に、私とR子さんにステージで踊って見本を見せろと言う。
「ゆかた着たら?」
というMさんに、R子さんは、そんなもんは持ってないと言った。
「いざとなったら、宿の浴衣を着ればいい」
え~っ、やだよ私は…(汗)
大勢の前で舞台で踊らされるだけでも恥なのに。
まだまだ実行委員としては仕事があるのだけれど、まずは余興が確認できてよかった。
雀百まで踊り忘れず…百まで覚えていられるか自信はないが、少なくとも私はこの年まで小学校で教えられた踊りを完璧に覚えていたことにびっくりした一日であった。
さあてこれから、いかに美しく踊れるか(←自分だけ…)を秘かに研究し練習するとしよう。