ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

懲戒処分の効き目

2017-06-21 07:17:22 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「体罰を行う者」6月14日
 『サッカー部コーチ体罰 投稿動画で発覚、解雇』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『私立武蔵越生高校で、サッカー部の30代の男性コーチが、練習中に男子部員の顔を平手打ちするなどの体罰を加えていた』とのことです。学校の調査では、『この部員以外にも3人がコーチから体罰を受けたと申告』しているということであり、このコーチは解雇されたということです。
 またか、という思いですが、少し別の角度から考えてみたいと思います。体罰を禁じた学校教育法11条には、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と書かれています。
 学校には様々な職員がいます。「先生」と呼ばれる中にも、時間講師や産休代替教員、非常勤講師などの者がいます。その他にも、養護教員、司書教員、事務主事、栄養士、用務主事、給食調理主事、学童擁護主事などの職が置かれています。こうした常勤の「公務員」の中にも、県費負担教職員と呼ばれる者と区市町村に所属する者がいます。さらに、非常勤のSCやSSW、図書館や学習、部活の補助員などもいます。これらの中には、ボランティアという位置付けの者もいます。
 学校教育法に書かれている「校長及び教員」とは、先に挙げた職員全員が該当するのでしょうか。それとも「先生」までなのでしょうか。養護教員以下の職員は含まれていないのでしょうか。
 なぜこんなことを書くかというと、今回「体罰」をしたとされているのは、コーチだからです。コンビニの前で喫煙している中学生を、地域の方が注意し、言うことを聞かないので叩いたというケースでは、「体罰」という概念は適用されません。あくまでも単なる暴行でしかありません。暴走族の総長が、グループの高校生の口の利き方が悪いといってビンタしたときも、「体罰」には当たらず、単なる暴行罪です。
 つまり、同じ平手打ちという行為であっても、ある関係にある者の間で行われれば体罰であり、そうでなければ暴行なのです。ですから、メディアが「体罰」として報じているということは、部活のコーチは、「校長及び教員」に賊する者と認めているということになります。
 公立校の場合、「校長及び教員」の監督庁は、教育委員会です。懲戒権をもっています。悲しいことですが、懲戒権が教員等の服務事故(体罰等)を防いでいるという現実があります。逆に言えば、ボランティアに対しては、懲戒権に基づく指導や抑止効果が十分ではないのです。また、彼らの中には、体罰等に関する認識が不十分な者がいるのも現実です。
 今、学校には様々な立場の人が関わるようになってきています。どのような立場の者であろうと、外部から見れば学校の職員であり、学校が不祥事による法的倫理的社会的な責任を問われます。ボランティアによる部活のコーチや補助員などによる体罰等の防止策は、学校の管理職に任せるのではなく、教委が責任をもって対処することが大切です。
 

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