ゆきんこの萌え絵日記

「王都妖奇譚」の二次創作ブログです。
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紫陽花色の恋2

2017-06-09 | 桜の間(ラブ度アップしてます)

「はぁ」

安倍晴明は小さな溜息を一つついた。

内裏、陰陽寮―。


今日は昨日と打って変わって晴天であった、初夏のうららかな陽射しが階の向こうから差し込んでくる。

紫陽花は美しい薄紫の色を彩っていた。

「・・・・・・」

あまり眠れなかった晴明はだるい身体で出仕し一通りの事を終え残った諸々を小脇に抱え
陰陽寮を後にした。

少し行った頃賑やかな聞き慣れた声が聞こえて来る、左近衛府の一行だった。

「―――」

陰陽寮に比べていつめかしい装束に身を包み昼下がり本日の職務は終えた様で楽しそうに何やら談笑している。

その中で一人の男が晴明に気付くと将之に耳打ちして来た。

同僚に小突かれ晴明の姿を見止めた将之は彼に声を掛ける。

「晴明ー!」

良く通るしっかりとした張りのある声。

「・・・・・・」

「どうした?こんな所で・・・」

「・・・・・・」


帰路だというのは分かる、晴明が両脇に抱えている書物、書類の量を見て将之は苦笑いをした。

「・・・凄い持ち帰りだな」
「・・・・・・」

これから持って帰ってやらねばならぬ仕事なのだと思って将之は又笑った。

送ってやりたいところだがこれから左近衛府に戻って着替えなくてはいけない、そして彼にはその後所用もあった。

将之の様子を鋭く察して晴明は始めて口を開いた。

「・・・出掛けるのか?」
「-!」

よく気が付くなと将之は瞬間はっとした後笑って云った。

「母方の叔母が枇杷を取りに来いと言うんだ。庭に鈴生りらしい」

~姫の所では無いのだな~

重い荷物を両に構えすぐさま過った疑心に晴明はどきっとした。
みっともない、という感情が浮かんで来る。

「だからさ、一緒に行けず(帰れず)すまんな」
「・・・・・・」

将之の言う事など晴明の耳には入っていない。
晴明は狭心な己を恥じていた。

「晴明?」

ん?ああ、すまん(聞いていなかった)と言いながら彼を振り返り晴明は向き直った。

「取り敢えず私は館に戻る、失礼する」

将之の周りには彼の同僚たちも居る、将之含め彼らに一礼すると晴明はその場を立ち去った。


相変わらず大して愛想のない晴明を誰も何も言わずその背を見送る。
将之も彼の見慣れた美しい後ろ背を眺めた。


月の夜、晴明邸―

「はぁ」

又晴明は一つ溜息をついた。

昼過ぎより持ち帰った書類を少しずつ片づけていたが何分量が多い、そして晴明自身も身が入らずなかなか捗らなかった。
今夜は祈祷の呼び出しや魍魎関係の調査等も無い、晴明はこの間に少しでも纏めるべき報告書やその他の物を仕上げてしまおうと思った。


身を起こし硯の墨を磨る。
筆先を浸し二、三行書きとめると又ぱたりと横になった。

「・・・いかん」

身体に力が入らない。
墨が乾いては勿体無い。
むくりと起き上がるのを脳内で想像する。
又ぱたっと横になる、そんなことを徒然と考えながらずっと床に伏せっていた。

ー枇杷ーかぁ

母方の叔母の館に取りに行くと笑っていた。

将之の母上は随分前に亡くなったと聞くのに親戚との付き合いが未だあるのだ。

叔母には亡き姉妹の忘れ形見が可愛いのだろう。
将之の様な男は可愛いのだろう。
面倒の一つもみたいのだ。


彩子も何より彼の事を想っているのだろう。

「―――」

穏やかで温かな気持ちと息も詰まる様な醜い感情が相反する。

―将之を誰の物ともしたくない―
―何も私の物にしようとも思わないが・・・―

どうして自分はこんなに狭心なのだろう。

―彼の・・・-


がたりと御簾の奥から声がする、晴明ははっと身を起こした。

「先生、将之様がお見えです」

宵も過ぎた頃愛弟子藤哉の明るい声が木霊した。



続く(^^;)

ええと何かもにゃもにゃなお話です(^^;)


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