畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載119「桶か樽か」(その3終わり)

2017-08-09 04:06:25 | 暮らし

      桶か樽か(その3終わり)

 それから何年も雨風にさらしたが、竹製のタガから徐々に壊れ始めた。

この秋すべてのタガが滑り落ち、側板が倒れ始めた。雪降り前にと考え、すべてを取り壊した。

取り壊して改めてその大きさと、作りの緻密さに驚く。側板の厚さは一寸(3センチ)

組み合わせて真円に仕上がった底板は三寸(9センチ)もある。


 側板が突合せになる場所には番号が振ってある。

側板はすべて離して板材にしたが、すべての合わせ面に竹釘が使われていて首を捻った。

仕上げに近付くにつれ円筒形になり、竹釘をどうして打てたのか分らない。


 接着剤も使わずに、文字通り水をも通さぬこの桶はどこで、どんな職人が、何時作ったのか、

測定の定規をはじめどんな道具が使われたのだろうか。

 職人と言う言葉が死語に近くなって久しい。もちろん今の時代に復元する事の出来る職人はいないであろう。

コンピューターを駆使した現代の技術でも作り上げる事は無理だと思われる。


 芸術、民芸とも言える作品の大桶は古き良き時代を見せてくれた。

人間の能力とテクノロジーの進歩についても考えさせ、私の畑の片隅で生涯を終えた大桶だった。

                (終わり)

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