ウィトラのつぶやき

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経済のグローバル化は目的か手段か

2016-11-18 09:50:29 | 経済

国会中継のTPPの議論を聞いていると「世界経済のグローバル化をこの人たちはどうとらえているのだろう?」と感じることがある。特に政府側の答弁は安倍総理を含めて「世界経済のグローバル化は当然進めるべきもの」「今のグローバル化は不十分で、TPPで大きく前進する」「困る人も出るので配慮する」というのが骨子になっている。この「世界経済のグローバル化は当然進めるべきもの」という部分は野党も特に異論を持っているようではなく、突っ込んで追求しようとはしない。世界経済のグローバル化は世界の政治家の目的と捉えられているようである。

しかし、アメリカのトランプ大統領誕生や、イギリスのEU離脱などを見ると、世界ではそうは思わない人が増えていることは明らかである。本来の目的は「国民の経済的豊かさを求める」ことであり、経済のグローバル化はそのための手段であったはずである。しかし、経済のグローバル化を進めることにより、自国だけでなく相手国も発展してきたことから、経済のグローバル化は政治の目的化してきたのだと思っている。しかし、これだけ反対派が増えてきた状況を見ると本来の目的を見直したほうが良いのではないかと私は考えている。

本来の目的は「皆が幸福になること」のはずであるが幸福の定義は人によってまちまちなので「経済的豊かさ」が最も共通的な幸福の基準であると考えて経済的豊かさを求めるものと考える。この時に世界全体が一つの国であると考えれば経済のグローバル化は全体を平均的に豊かにする手法であることは間違いないと思う。しかし実態は世界は国という単位に分割されて制御されている。そして国の間では競争がある。企業でもそうであるが、競争相手と一緒に市場を拡大するほうが良い場合もあるが、競争相手を出し抜くほうが良いと考える場合もあり、市場が成熟してくれば相手を出し抜くことを多く考えるのは仕方のないことだろう。全体が飽和してゼロサムの状態になれば相手に損をさせても自分は儲けたいと思うようになる。

US FirstとかUK Firstとかいう動きは世界経済が飽和してきていることを直感的に感じて、この流れに沿って支持を得ようとしている政治家が増えているということだろう。その意味で自国の利益を最優先にしている典型は中国だと私は思っている。中国は貿易で大きなメリットを得ているので、色々な国と貿易協定を結んで貿易を促進しようとしているが、「グローバル化が良いから推し進めよう」という考えではなく「グローバル化は良いと皆が考えているので、それを利用して自国の経済を発展させよう」という姿勢だと理解している。

要するに世界中が単純な「グローバル化は良いこと」から「自分に有利になるようなグローバル化を目指す」に変わってきているので、日本もガードを固めていかないと思う。その時に第1に考えるべきことは弱点を護ることではなく、強い武器を持つことだと確信している。

 


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