ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

あらゆる分野でトップ選手の若返りは起こっている

2017-02-19 14:09:37 | 生活

土曜日のテレビでのスキーのジャンプを見ていたら、16歳になったばかりの女子高生が優勝していた。世界トップの高梨選手は出場していなかった国内の大会である。高梨選手は20歳になったがやはり16歳くらいから世界レベルで活躍していた。昨日のフィギュアスケートの女子でも17歳の三原選手が優勝している。卓球では16歳の平野選手が女王石川選手を破って全日本選手権を取った。最近、スポーツの分野では10代の若い選手の活躍が目立つ気がする。

私の趣味である囲碁の世界では40年前は「30代の名人はあり得ない」と言われていた。これは囲碁に強くなるには読みだけでなく、精神力とか全体を見通す大局観とかが重要で、それは40代50代にならないと体得できないと考えられていたからである。しかし現在では、「50代の名人はあり得ない」と考えられており、先日、40代の高尾名人が誕生したときには大きな驚きを持って受け止められた。現在は中国、韓国のほうが日本よりも強いが、世界的な強豪は、20代、30代である。この40年ほどでプロ棋士のピークは15年ほど若返った感じがしている。

スポーツのような身体能力を競う分野では20代から30代がピークであり、反射神経などでは10代の終わりのほうがピークのような気がする。これに対して、頭を使う囲碁や将棋は従来40代後半から50台あたりがピークと言われていたが、今は30台あたりがピークと考えられている。これは情報化の進展によって、従来は経験を積むことでしか得られなかったノウハウが若い段階から獲得できるようになってきたからだろう。経験が同等なら、思考力ではやはり20代から30代がピークだろうと思われる。

それでは企業などではどうだろうか? やはり思考力のピークは20代から30代だろうと思われるが、経験を積むことが困難なために、実際の企業のトップは50代から60代が多い(特に日本では)。しかしこれも、人工知能による疑似体験などが進んでくるとピークはより若いほうに動いてくるだろう。日本の企業では全体的に高齢者が重要な判断をするような仕組みになっている点が気になっている。

年齢が高くなると思考力が落ちるのは事実であるが、大きく落ち込むわけでは無い。私の囲碁も20代、30代よりも弱くはなっているが、それでもピークの8割から9割の読みはできている気がする。従って、高齢になって能力が落ちてきても衰えを自覚しにくく、それが企業などの若返りの妨げになっているのだろう。

私が学生時代に、ある教授が「大学院生の伸びはすさまじく、この調子でいくと簡単に抜かれてしまうのではないかと恐れを抱くこともあるが、プロ同士の微妙な違いはなかなか抜かれない」と語っていたことを記憶している。これからは「高齢者は常識があるので、良い仕事をするのだが、プロ同士の微妙な違いになると若いものには敵わない」ということになるのだろうと思う。囲碁や将棋のプロの世界では実際にそれが起こっている。

社員の能力を的確に把握し、能力に見合った仕事を与え、処遇を与える企業がこれから勝ち組になっていくはずで、それを仕組みとして企業内に作りこむことが重要になっていると思う。経験はAIで補える時代に入ってきていると思う。


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