ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

大学で何を教えるか?

2017-08-09 19:11:37 | 社会

前回、小学校から高校くらいまでのソフトウェア教育について書いたが、今回は大学のソフトウェア教育というか、教育テーマについて書いてみたい。

日本の大学は年々国際ランキングが下がっているが、これは世の中の価値観の変動に大学教育が付いていけていないという面が大きいと私は考えている。最近の大きなテーマとしてはインターネットの利用によるIoT、クラウド、ビッグデータ、人工知能が大きなトレンドになっており、これは将来の産業構造を変えるほどの大きな流れであるとして、政府の「産業構造部会」などでも真剣に取り上げられている。

少し前は「データ分析をする人材が不足している」と言われていたが現在はむしろ「人工知能の人材が不足している」と指摘されている。データ分析人材が満たされたわけではなく、AI人材の不足はさらに深刻だということである。人材についての社会的な要請の変化が明らかであるのに、日本の大学教育の対応は非常に遅い、と感じている。

鍵となる技術として「ディープ・ラーニング」「グラフ・データベース」「ブロックチェーン」などがあると思う。私はこれらの技術を電気・情報系の学生に対しては学部卒業までの必修科目にするくらいしても良いと思うが、いまだに「電磁気学」とか「電気回路理論」とかが必修で、最新の技術に対する授業は貧弱な大学が大部分ではないだろうか?

大学で教える内容は一般教養の範囲を超えるので教える側にかなり深い見識がないと教えることはできない。その意味でアンテナ設計やトランジスタ設計を専門としている教員がソフトウェア系の最新技術を教えるのはかなり困難であり、教員が揃わないという面もあるだろう。こういったカリキュラムの内容を決めるのは学長などの大学の幹部の責任だと思う。教える教員が不足しているのなら、外部から招へいするとか、若手の教員に勉強してもらうとかが必要だろう。学部の授業ならば、大学教授の能力を持つ人ならば1年間の準備期間があれば立ち上げられると思う。但し、自らの研究に最新分野を取り込んでいかないと、次の技術の変化についていけないので、技術を研究テーマとして取り込める人が必要となる。

以前紹介したN高等学校の創始者のひとりであるドワンゴの川上量生氏は「生徒に現代社会を生き抜く武器を与えたい」と語っている。私の感覚では高校の段階ではまだ一般常識でも良いが大学生に対しては「武器を与える」ことが不可欠である。しかし、大学教育で「学生に武器を与える」という感覚は大学側にはかなり弱いように感じる。むしろ「武器を与えるのは専門学校で大学では基礎を教えることが大事」というような反発が強いのではないだろうか? 専門学校の武器はHow-to的な武器で、大学の武器は理解をすることによって使いこなせる武器というのが一般的な解釈だろう。

一方で技術のはやりすたれに大学のカリキュラムが振り回されることは好ましくない。従って大学のカリキュラムを決める幹部は、新しい技術が出てきたときに「将来重要度が一層増す技術かどうか」を判断して決めなくてはならない。「ディープ・ラーニング」「グラフ・データベース」「ブロックチェーン」などは今後も続く技術になるはずだし、さらに発展する技術の基礎となるはずである。日本の大学の現状は教える内容に関して変化が遅すぎる点に問題があると思う。

ちなみに私自身は独学である程度納得できるレベルまでこれらの技術を勉強した。
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大学のカリキュラムと評価方法 (世田谷の一隅)
2017-08-11 11:38:41
この点に関し、私は大学の「評価の方法と基準」があまりはっきりしていないのではないかと感じます。

日本における高校の評価基準は「東大合格者数ランキング」、や「医学部合格者数」等で比較的明確な基準がありますが、その上の大学では、あまりはっきりしていません。

そもそも、そんな都合のいいj基準はっきりしていないのが当たり前かもしれませんが、理系であれば引用された論文の数、博士号取得者数、文系であれば司法試験合格者数、上級公務員合格者数等、更には欧米機関の実施する大学トップランキングで何位になるか、等がありますが、カリキュラムが優れているとか、時代にあっているとの評価は必ずしもはっきりしていません。

「大学は即物的な短期の目標に追われることなく中長期の人材を育成することが大切で、即物的なノウハウは専門学校の役割だ」と自分の怠慢を言い訳しているだけの大学人も見かけます。

例えば、それぞれの大学が、人材の育成に関し、過去10年程度、どんな分野に力点を置いて取り組んできたのか、過去からの推移を、数値化(見える化)し、その結果として、現在はこんな分野に力点を置いた授業を行っている等とアピールできれば、比較が容易と思います。

又その結果として、ある程度の淘汰が進み、常に教員も大学経営陣もよい刺激を受けることで、より望ましい方向が出てくるように思います。

日経ビジネス等のマスコミも、独自の基準を設けて、毎年、そんな傾向を定点観測し、結果を公表する様になれば「欧米の評価機関等」に頼らなくとも、ちゃんとしたランキングがアピールできると思います。

アジアの学校の中でも、日本の大学の地盤沈下が目立つのは、大学自らのPDCAが不十分なのではないかと思います。
やっと始まりそう (ウィトラ)
2017-08-11 14:52:00
世田谷の一隅さんに同感です。やっとその方向に動き始めた(政府は動こうとしている)という状況だと思います。具体的には
・大学にそれぞれKPIを決めさせてその内容、進捗度を予算配分に反映させる
・大型予算(競争的資金)を付けるときに産業界の評価を重視する
などです。うまくいくかどうか,
まにあうかどうか

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