ウィトラのつぶやき

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将棋の三浦九段がカンニング疑惑で竜王戦挑戦者から外される

2016-10-13 12:39:22 | 生活

昨日、囲碁・将棋ファンにとっては衝撃的な事件があった。将棋界で最大の賞金額の竜王戦の挑戦者に決まっていた三浦九段が将棋連盟の決定で挑戦者から外され、挑戦者決定戦で負けていた丸山九段が洋泉社になることに決まったのである。理由はその挑戦者決定戦などの戦いで三浦九段がしばしば席を外しており、スマホで人工知能の助けを借りていたのではないか、という疑惑があるからだという。

本人は別室で休憩していたと言っているそうだが、疑惑を晴らすことができず、「疑われたままでは対局できない」と本人も言っていたことから、時間切れで挑戦者から外すことになったらしい。真偽のほどは不明だが、私の個人的な感想では三浦九段はそのようなことをやりそうにないタイプの代表だと思っている。しかし、しばしば離籍するとそのようなことが疑われる時代になった、ということは一つの大きな区切りのような気がする。

この発表の数日前に将棋連盟はプロ棋士に対して対局中はスマホを事務方に預けることにする、という新ルールを発表している。つまり、コンピュータ(スマホ)のほうがプロ棋士よりも将棋の技術が上だと認めたことになる。実際、「詰むか詰まないか」と言った終盤の戦いではコンピュータがプロ棋士を圧倒している。終盤になるとコンピュータの指示通りにやったほうが確実に勝てるというのは間違いないようである。もちろんスマホで計算しているのではなく、インターネット経由でクラウドの中のコンピュータで計算しているのだろう。

これまでも自分より強い人が居るアマチュアの大会や、プロではない掛け将棋の戦いなどでは、本人より強い人が居ることは明らかなので、席を外すとしてもせいぜいトイレに行くなどで1対局に1回程度に限られていたのだが、プロ同士、特にトッププロの戦いでは「アドバイスを求める」ということは考えられなかったし、持ち時間も長いので自由に席をはずしてよいことになっていた。しかし、コンピュータのほうが明らかに人間よりも強いとなれば、カンニング防止策が出るのは当然だと思う。この防止策が発効するのは年末からということなので、今回の竜王戦は挑戦者を変えたりせずにそのまま対局するのが筋だと私は思っている。

人工知能が明らかに人間の能力を上回ってしまうと、将棋のプロ棋士の勝ちは相対的に下がってしまうのではないかと思う。趣味としてやる人は多いので、レッスンプロの価値はそれほど下がらないが、トーナメントプロの勝ちは下がってくるということになると思う。つまり、現在トッププロとして勝つことにほとんどのエネルギーを注いでおり、収入も多いような人の収入は減りはじめ、トッププロになり切れなくてレッスンプロに転向したような人の中で教え方のうまい人は生き残れる、というような事態になると思う。

これは将棋のプロ棋士ではじめて顕在化した状況だがあらゆる産業に影響してくるだろう。会社経営などの複合的判断を求められる仕事がコンピュータに負けるまでにはまだ数十年かかると思うが、一部の限られた分野での判断を仕事にしている中間層の没落は早いと思う。政府レベルで対策を検討するべき問題であると思う。

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AIの進展 (世田谷の一隅)
2016-10-16 16:50:49
最後の文章「政府レベルで対策を検討するべき問題であると思う。」が気になりました。

PCの普及に伴って、各課に1台だった端末が各自の端末になった大きな変化に対して、政府のしたことは、各自が端末を使いこなせるように、教育プログラムの普及を促進する事でした。ハード産業が中央演算装置中心から、端末に拡大し、ソフトも演算から、ゲーム、サービス中心の業界に変遷していく際に、行政の支援がどの様に変化し、あるべき姿はどのようなものだったかを検証するのは大切だと思います。

一方、色々な業界で、少しずつみられるようにそんな中級~低レベルの業務がコンピュータで代行され始めると、人間はもっとレベルの異なる、複雑な業務をこなせるように自らを変えていく必要があります。そんな流れに対して、政府・行政の後押しは?

簡単な仕事が先進国から途上国へ移管されたように、同じような現象が開発途上国から機械(PC)で代行されるようになり、それが先進国へ戻ってきたとしても、先進国の雇用にはあまり貢献しないように見えます。

もちろんデータを収集したり、その機会を保守したりする仕事は存在し続けるでしょうが。

そのような産業の変化に対して、政府・行政ができることは何かを論議することは大切と思いますが、そんな思惑通りに政府が動けるでしょうか? 論議は進めるとして、行政組織の効率的な再編や、新しい産業構造に適したような効率的、戦略的な行政組織は? 何かとても重く難しい話題に感じます。今回のメッセージの最後の一言が。
政府は動き始めている (ウィトラ)
2016-10-19 10:19:08
私は政府は動き始めているという認識です。
アメリカのトランプ現象にみられるように、格差拡大は既に国にとっての重大な懸案事項になっており、人工知能が格差を一層拡大させるだろう、ということも政府レベルで認識されていると思います。
それでは政府が介入して人工知能の普及を遅らせるのか? おそらくそのような意見もポピュリストの政治家からは出てくるでしょうが、そんなことをやれば日本の産業競争力は一層落ちると思います。経産省の新産業構造部会ではこのようなことが問題意識とあって議論されていると認識しています。
現状、どこの国も適切な解決策を見つけていないので、どこかの外国の政策を真似るということはできない。しかし、対策が遅れれば国が不安定になる重大な問題だと思っています。

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