ウィトラのつぶやき

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自動運転、オールジャパンは疑問

2016-12-24 15:15:24 | 経済

自動運転でホンダとグーグルの提携について書いた直後、今朝の日経1面に自動運転に関するデンソーとNECの提携の記事が出ていた。これはデンソーを核としてNECのAI技術を導入し、他の日本企業も絡んでオールジャパンの自動運転チームにするような色彩があるらしい。私はこの動きは疑問だと思っている。

自動運転ソフトは自動車メーカまたはグーグルのような企業が提供して、デンソーは部分的な機能を提供するものと思われる。中心が自動車メーカではなく、自動車部品メーカのデンソーであるので、自動運転全体ではなく、より部分的で、自動車メーカのオールジャパンよりはましだと思うが、それでも疑問である。NECは画像認識が強いので、AIを使ってカメラで撮った画像から歩行者の動きなどを分析して、減速する必要性などの情報を提供するのだと想像している。

最初のうちはこのような取り組みでうまくいくだろうと思う。自動運転が実用化されるのは2020年頃だと思うが、2020年から2025年くらいまではこういったオールジャパン的な体制でうまくいくだろうが、その先うまくいかなくなってくると私は予想している。日本企業は単独の機能開発には強い。例えばカメラに内った画像が人なのか動物なのかを判定し、どちらに動きかを予測する、といった機能を実現する際にはオールジャパンで十分に競争力があるだろう。

しかし、自動運転はどんどん進化する。最初から公道を走るような導入の仕方は行わず、最初は車庫入れを自動で行う、次にショッピングセンターなどでバレーパーキングを自動で行う、次に、シャトルのような出発地と目的地が一定の車で行う、というように次第に利用範囲が拡大されていくと思う。利用が拡大するにつれて機能も拡大する。カメラだけでなくレーダとの組み合わせ、エンジンの動きやギアの状態との組み合わせ、といったどんどん複雑な機能が要求されるようになるだろう。こういった進化するソフトを作るのは日本人は苦手である。

それでも、出荷時に求められる機能が確定するうちは良いが、そのうち、販売後にも機能アップするようなことが求められるようになると思う。日本人の作るソフトはハードウェア感覚のソフトで、「ある機能をソフトウェアで実現する」というようなものであり、ハードウェアと一体化する。しかし、iPhone のiOSなどはハードウェアとは別に進化するソフトウェアである。私は使っているiPhoneを買ったときはiOS8.0だったが最新の機種はiOS10.0が搭載されている。そして私の使っている古いiPhoneもiOS10.0にバージョンアップされている。つまりハードは同じiPhoneでも機能は向上している。このようなことを可能なソフトウェアを作るには、「将来どのような変化があり得るか」をある程度想定してソフトを作る必要がある。これをソフトウェアアーキテクチャと呼んでいると思っているが、日本企業にはこのセンスが全くないと私は考えている。そして自動運転にはこのような機能が求められると思う。

機能をどんどん追加しない、単機能の部品ならばこのような問題は生じにくいが、AIを搭載するような複雑な部品では、ソフトウェアアーキテクチャが重要にならざるを得ないと考える。今回の事例をソフトウェアアーキテクチャを重視した設計にする事例として挑戦するなら良いが、それでも成功確率はかなり低いような気がしている。

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縦割が原因? (UCS-301)
2016-12-24 20:53:02
日本企業に(結果として)アーキテクチャセンスがないということには完全に同意いたします。

私はこの原因の一つに日本独特の縦割業務があるのではないかと考えております。つまり全体を見てトータルデザインを行う部門の欠落(能力、影響力不足)です。日本企業では往々にして全体を見るのはマネージャの仕事と思われており、マネージャが全体のデザインの統括責任者も(ある程度)兼務しているため中途半端になっているように思います。

個人的にはむしろマネージメントの仕事の方を開発組織(プロジェクト)から切り出す方が手っ取り早いと思っています。

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