ウィトラのつぶやき

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民進党は自民党の農業政策を見習うべきだ

2017-08-23 10:18:06 | 社会

民進党の代表選挙が正式に始まったが、今の感じでは前原氏、枝野氏のどちらが勝っても民進党の衰退は避けられず、次回の総選挙では公明党や共産党と同レベルの政党に墜ちていくだろう、と感じている。自民1強が続くのは日本にとって好ましくない。7月28日のブログに書いたように私は民進党の最大の問題点は労働組合票に頼っている点にあると考えている。これを自民党との対比で考えると自民党の農業票との関係と似ていると私は考えている。

戦後の農地改革で、大規模農家の農地が小作民に分散され、農家はそれぞれが個人経営者となり、自民党を支える大きな票田となった。個々の農家は資金力がないので農協を作り、農協が資金を取りまとめて納期を購入したり販売網を作る役割を果たした。そして、自民党にとっては農協が固い組織票の胴元となった。自民党政権は農協を通じて農家に手厚い保護政策を施し、日本の農業は年々競争力を失って問題産業となっていった。

安倍総理は55年体制の終焉を宣言し、農業の産業化のために、企業の農業への参入を強化する方向に出ている。これは見方を変えれば戦前の小作農の復活と近い形になる。農協は自分たちの立場が侵されるので抵抗した。農協を敵に回すことは支持母体を失うことにつながるので、自民党内部でかなり深刻な議論があったはずだと思っている。しかし、「自民党を支えているのは個々の農家であり農協ではない。農家のためになることを行うなら支持率は下がらない」と現在の政府中枢部が押し切ったのだろうと私は想像している。そして日本の農業はこれから改善に向かうだろうと思っている。

自民党にとっての農協に相当するのが民進党にとっての労働組合である。これも戦後の体制で「資本家vs労働者」という対立の構図で作られた組織であるが、現在は対立の構図は資本家対労働者ではなく、国際競争や産業間競争に移っており、本来は労使一体となって如何に競合相手と戦うか、が課題のはずである。しかし、組合の意識は、多少は変わっているものの昔の意識を引きずっていると思う。

私の考えでは組合は働きの悪い正社員の労働環境を保護することに注力するべきではなく、個々の社員の意欲が向上するように会社に働きかける、働きの良い社員を抜擢して若返りを進めるなどを推進するべきである。具体的には給与の増加や、労働時間の削減を求めるよりも、会社側の業務に対する説明責任、個々人の能力向上に関する施策、幹部の若返りなどを求めていくべきだと思っている。しかし、農協と同様に労働組合の意識を変えることは現実的には無理ではないか、とも考えている。それならば民進党は「労働者に楽をさせる職場づくりをめざしのではなく、労働者が生き生きと働ける職場づくりをめざす」と宣言して、組合が抵抗するなら労働組合からの支持を失うことも辞さず、くらいの意気込みが必要だと思う。

現状ではどちらかというと自民党のほうが「生き生きと働ける職場づくり」を推奨している印象ではあるが、うまくいっているとは言い難い。責任政党としての論点にはできるのではないかと思っている。