周縁 小論

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この10年間に米国で発売された新薬の3分の1は安全性に問題 ハーバード大関連病院が発表

2017年05月18日 12時26分39秒 | 医学/薬学

              

▽米国FDAの薬剤審査は厳しいことで知られている。日本の厚労省は、FDAの販売承認を待って、承認するのを“慣例”にしているとされる。このパターンが逆だったのが、抗がん剤の「オプジーボ」。世界に先駆けて承認し、破格の薬価を付けて批判にさらされたのは記憶に新しい。

▽そのFDAの薬剤審査に陰りがさしている可能性を報告した論文が、米国医師会雑誌(JAMA、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション)の5月9日号に掲載された。論文は、米ハーバード大関連病院の1つ「ブリガム・アンド・ウィメンズ病院」の研究チームが投稿した。

▽FDAが2001年1月1日-10年12月31日の10年間にFDAが販売承認した新薬222種(医薬品183、生物学的製剤39)を調べた。主要評価項目は、1、安全性に関する懸念から販売中止 2、市販後の調査期間中にFDAが枠組み警告の追加を指示、3、FDAが安全性情報を発令-の複合とした。

▽論文によると、市販後の安全性イベントは、追跡期間中央値11.7年で123件(販売中止3件、枠組み警告追加61件、安全性情報発布59件)の報告があった。これは、承認薬の32.0%、71種にも上る。つまり新薬3剤のうち1剤は、安全性に何らかの問題があるまま、市場への出荷が認められているわけだ。


▽研究グループは、相互関係のある異種類の特性値のデータが持つ特徴を要約、かつ,目的に応じて総合する多変量解析手法を用いて分析した結果、市販後の安全性イベントの発生率比は、精神疾患治療薬が3.78倍、迅速承認薬が2.20倍、生物学的製剤(バイオ製剤)が1.93倍、承認締め切り間際承認薬1.90倍だった。研究グループは「生涯にわたる継続的な安全性モニタリングが必要」と警告している。

▽米国では「副作用のない薬は薬じゃない」とされている。何の反応(効果)もなければ、それに伴う副反応も起こらない。体に異物を入れて治療するわけだから、異物による一定の不具合は容認すべきという考え方だ。そういう国柄でも生涯に及ぶ安全性モニタリングを指摘しており、最近発売されている新薬のリスクの高さを物語ってはいないだろうか。


▽その一方で、審査期間が200日未満だった新薬は、市販後の安全性イベントの発生頻度が0.46倍にとどまった。新薬の安全性を判断するうえで、これからは、どの程度の審査期間で販売承認されたかが、重要なメルクマールの1つになるかも知れない。

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