遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う

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2017.5月以降は主に心模様を綴ります。

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「パリに生きるパリを描く―M氏秘蔵コレクションによる―」@小磯良平記念美術館

2017-02-22 00:30:52 | 展覧会
先日こんなことを呟いた。

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「パリに生きるパリを描く―M氏秘蔵コレクションによる―」@小磯良平記念美術館
M氏と言う方の集めた絵をみる。



日本人のパリ好きは他のどの国民より深いのではないかと思う。もしかすると<憧れ>という面でだけならパリ市民よりも日本人の方がパリ好きかもしれない。
絵はパリで学べ。
イタリアやスペインではなくフランス、それもパリ。
絵もファッションも食べ物もパリがいちばん、という考えが長い間の習いになっていた。
現在はそうとは言えまいが、とにかくパリの人気は高い。
M氏はパリに在住しパリを描いた洋画を好んで蒐集したそうで、ラインナップを見るだけでも納得する。



岡田三郎助 ヴィル・ダブレー 1897-1901頃  可愛らしい鐘が描かれている。
このヴィル・ダブレーはよく絵画の舞台になる田舎町だが、実はわたしが最初に見たヴィル・ダブレーは1962年の映画「シベールの日曜日」なので、こんな田舎道は見当たらなかった。あまりに好きな映画。イメージはこのときに定まってしまい、更新しないというより、それを拒否している。

児島虎次郎、山下新太郎、石井柏亭、正宗得三郎らのパリはその空気感を捉えている。
ただし人間の存在する面積は小さい。
面白いのは坂本繁二郎で、霧のパリと銘打ちながらも二頭の白牛を連れてゆく人が描かれている。
坂本の場合、別にパリでなくても阿蘇の麓でも長万部でも小岩井農場でもいいように思う。

パリというとなんといっても藤田、佐伯、荻須、それから版画家の長谷川潔が思い浮かぶ。
南仏になると梅原、三岸節子が立ち上がる。

藤田の戦前戦後の絵が並ぶ。風景画なので裸婦の美はない。藤田はパリの生き証人だった。
アパルトマンからの眺めを描いたものが特にいい。挙げたチラシ。誰もいないのに生活感がある。
ただ、やはりわたしは藤田の裸婦や猫が見たい。

梅原龍三郎の絵は全て大家になってからのものだった。しかしそれでもまだまだ脂ぎっていて力強い。
巴里のノートルダーム 1965  金地羊皮紙にグワッシュで力強く描いているのだが、どう見ても怪獣やん。なんかスゴイなー

児島善三郎 外国風景 1926  ああ、いい色彩やわ。児島の色彩感覚がとても好きだ。
空の色は彼の好む色が使われていて、そこに白い建物。胸がすくような気がした。

里見勝蔵の若い頃の絵が二点あったがどちらもヴラマンクの影響が濃い過ぎる。
佐伯祐三はどんよりした空気感とそこに建つ塔がいい。
林武もある。まだ若い頃なのにもう後年の林らしさが出ていた。

荻須の絵が多く並んでいる。
初期の頃は佐伯の絵と区別がつかないようなのが多かった。そのうちに荻須らしさの出る絵になってきた。
数が多いと、若い頃からの軌跡がよく見えることにもなる。

コタン小路 1935-36  スゴイ階段である。5,6階分くらいありそうな段差。
絵の佳さとかよりも描かれた凄さの方に関心がゆく。

イノサンの泉 1974  これは1549年に作られた泉でサン・ドニ通りの近くにあるそうだ。建物の様子をきちんと描いている。小亭。
こんなのを見る久しぶりにパリに行きたくなる。

珍しいものを見た。
棟方志功のモノクロ木版で表現されたパリ。
すごく納得がゆく。そうか、どこへ行こうがこの人は様式を変えないな。

海老原のパリもある。なんだかとても嬉しい。

香月泰男 モン・サンミッシェル 1973  要塞のようだ。この構図も珍しい。
こういう絵を見るからやはり展覧会は面白いのだ。

鴨居玲のパリは怖いような赤が使われていた。
パリー風景 1968  遠くに橋が見えるが炎の赤が照らしたかのようで、これを見たとき映画「パリは燃えているか」のラストシーン、電話口からヒトラーがせわしなく「パリは燃えているか」と問いただす声が蘇ってきた。

わたしの中のパリは2000年を待つパリだった。
実際に行ったパリは面白かった。
「地下鉄のザジ」のパリとは違うパリを歩いた。
多くのパリの絵を見て、各人によって全く違うものだと思った。こんなに絵があるのにたとえばここには公園がない。
そんなことを思うのも楽しかった。

終わってしまった展覧会だが、思い出すことはいくらもある。
個人コレクションはやはり面白い、と改めて思う。
絵を通してわたしは勝手にM氏と対話したような錯覚を懐いている。
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