遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う

「遊行七恵の日々是遊行」の姉妹編です。
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2017.5月以降は主に心模様を綴ります。

帰ってきた浮世絵動物園

2017-04-20 00:29:07 | 展覧会
「帰ってきた」と言えば、まずウルトラマン。それから「帰ってきたヨッパラッイ」という歌もあったし、「帰ってきたヒトラー」という映画もある。
海外流出した日本の美術品の里帰り展だと「帰ってきた」とつくのが多い。
今回の「帰ってきた」はそうではなくて、「前にやったぞ、またやるぞ」という意味での「帰ってきた」浮世絵動物展。


太田記念美術館が動物園になってましたわー
このチラシは表の方の、裏面は来月の後期の時に挙げよう。
前後期総入れ替えだからちょうどいいよ。

近年の太田のチラシの面白さ、いいね。
今回もうまいことはめこんで、これを見ただけで楽しいてしゃーない。
真ん中の黒いゾウさんは幕末に日本に来て全国巡回したそうで十年ばかりおったそうな。雰囲気的に「オツベルとゾウ」ぽいが、それだけ優しそうということ。
あと左斜め上のわりと大きいウサギの草履打ち、これは「鏡山」のパロだけど、以前「浮世絵の死角」展ではウサギのお軽と勘平を見ているから猫以外にもけっこう人気があったのだろう。こちらは後期展示。

畳に上がり肉筆浮世絵を見る。
珍しいな、ここで祇園井特の絵を見るとは。
しかも普通に美人。笹紅の美人の裾にすごい小さい狆が乗る。

重政の見立て普賢菩薩もいい。白象に乗る美人の薄紫地に白い桜の打掛が素敵。

笑ったのは雪鼎の猿かに図。ここでは女装した猿が縁側歩くところへ蟹がその裾引っ張ってギャッな図。描表装で青桃が周囲にあるのも可愛い。
猿の奴、なかなか太い足でした。

暁斎 目白に蛙図 こっちへ来る鳥もいれば、下にはカエルもいる。

前述のゾウは歌川芳豊。どうやらインド象らしい。マラッカを越えてきた、よく働くゾウさん。
文久三年だから本当に幕末なんだが、この大評判で暁斎もゾウの戯画を描いている。チラシの「帰ってきた」のところで大杯に手酌ならぬ鼻酌するゾウ、あれなどわらわらとゾウの芸達者な様子を描いている。

芳藤 廓通色々青樓全盛 吉原のどこぞの廓なのだが、遊女と幇間は人間だが客は全員、上客から居残りまで揃って鳥類。三枚続のそのちょうど真ん中では大騒ぎ。廊下の所で職人かな、客同士で大ゲンカ。燕に烏に鷺に…
それに巻き込まれて御馳走も台無し、揃付けの大皿に盛りつけられたカツオのアタマが宙を飛ぶ!床にはお造り散乱、ああもったいない…
離れた上客はちらりと見るだけ、布団部屋の居残りは一応慎ましく控えている。
これがみんな鳥やからなあ。面白かったわ。

芳幾 諸鳥芸づくし こちらはいろんな鳥たちが自分に関わるようなことをモトデにして商売したり芸を見せたりしている。
チラシで前期を告げる鳥、あれは鶺鴒で尻振りしているところ、蝙蝠は三番叟、鸚鵡は声色、梟は目鬘をつけて、目白は押し合い、山雀のかるた、雀も…
こういう発想が好きだ。

世相をつついた絵もどうぶつでやるとソフトに…なりません。
国芳の吉原の大通りがにぎわう雀で埋もれているのや、暁斎の蛙の大合戦などはそう。

国芳 道化十二支 十二支のみんなそれぞれ自分に関わりのあるもので商売中。
うさぎの団子屋なんかやたらと鯔背。蛇の目寿司のトラは逃げてますがな。

明治の浮世絵にも楽しい戯画はある。
むしろ新しい文化が入ってきたことでネタが増えた。
しんはん猫つくし カード形式のようなのが楽しい。
ねずみのたわむれ 仁木ネズミもいれば大黒の威光をかさにするのもいる。

珍しいものを見た。
英山のトラ。コワモテな虎。赤い口は可愛い。英山も動物を描くのだなあ。
これまで英山の展覧会と言うのを見たこともないので、いつかやってほしい。
英山描く美人はけっこう今の女性マンガのキャラに近いと思う。

芳艶の袴垂は大蛇に座り、国貞の岩鉄法印は蝦蟇の前に立つ。
蝦蟇と言えば自来也(児雷也)が思い浮かぶが、この破戒坊主も蝦蟇使いなのか。

国貞の化け猫絵がある。忠臣蔵と世界が混ざっていて、化け猫を捕まえている。
手ぬぐいを頭にかぶる化け猫たち、耳の形に手ぬぐいが膨らむのが可愛い。

国芳の勇壮で面白いのがあった。
源頼家公鎌倉小壺ノ海遊覧朝夷義秀雌雄鰐を捕ふ図 頼家公が鎌倉の海で遊覧してるとき、ちょっとしたお遊びを思いついた。それで朝比奈が海へざんぶと入るや、早速にワニザメを捕まえてポーンポーンと投げる。見物の侍ども、大いにウケる。歓声が挙がっていた。

明治の博物学。服部雪斎えがく魚類図がなかなか。163cmのマンボウですが…
海遊館に行きたくなってきた。

国芳 玉取蜑 海女が海中で追っ手のタコに追いつかれ巻きとられてしまうシーン。海女、がんばって逃げろ!ここで捕まるとホクサイの絵になるぞ!←こら。

芳藤 鳥づくし みみずくが可愛い。大きな目をむいて。

北斎漫画の魚類紹介。クジラ、ワニザメ、コノシロ、アナゴ、サメ…

ワニザメが人を飲んだというショッキングなニュースを芳幾が描いている。

国貞 江戸名所百人美女 四谷 子どもが猫をキャッチ!!毛並みの空摺りがいい。
丁寧な仕事。こういうのを見るのがやはり楽しい。

春信の猫に蝶もそうで、きれい。

芳年 風俗32相 うるささう 飼い猫にきゃっきゃっとまといつく美少女。猫は迷惑そう。この絵はシリーズ中で特に好き。

広重 月に兎 線でなく色と摺りのうさぎ。可愛い。ホワホワな感じがする。

二代広重 東海道 品川 馬車に乗る西洋人カップル、その馬車の前を洋犬がゆく。
この人は一ノ関圭「茶箱広重」のイメージがつよくて、西洋人を描くのを見ては色々と物思いに耽ってしまうのだ。

ネズミの相撲 これは以前の子年のときにここから届いた賀状に使われているのをみたのが最初。思えば相撲には徳俵、俵=大黒と色々連想がつながるから、ネズミの相撲というのはそうそうおかしくないものなのかも。

粋な美女、かっこいい男伊達の着物の柄に動物たちが躍動するものも多い。

来月の後期もとても楽しみな展覧会。
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