遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う

「遊行七恵の日々是遊行」の姉妹編です。
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2017.5月以降は主に心模様を綴ります。

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愛された金沢八景

2017-02-24 00:21:21 | 展覧会
金沢八景を描いた名所図会や浮世絵、また様々な資料を集めた展覧会が金沢文庫で開催されている。
「愛された金沢八景」展。
わたしはこうした展覧会がとても好きなので喜んで出かけた。
今回はあまりに展示数が多いのでリストはないそうだ。
この展覧会は楠山永雄さんのコレクションから。
以前に楠山さんのコレクション展がここで開催されたが、今回はさらに大きなものだということだった。


ところで金沢と言う地名を知ったのは清方の「こしかたの記」からだった。
金沢に別荘を持って楽しんでいた、ということが書かれていたが、当時のわたしは神奈川県の金沢なぞ知らず、加賀百万石の金沢だとばかり思いこんだ。
「清方は電車に乗れない人なのに東京からよく北陸まで出かけたな」とそんなことを考えていた。
友人・鏡花の故郷だから無理を押して出かけたのか、それにしても大正のヒトが金沢まで気軽に行けるか?? 
と謎だらけだったのだが、自分が首都圏をハイカイするようになってからようやく金沢と言う地名が横浜にもあることを知ったのだった。
金沢文庫、金沢八景…
これはもう仕方ない話だ。
河原町と言うのに河原がないやん、と数百年前の状況を知らず謎に思っていたのと同じである。

もし生前の楠山さんにお会いできてこのわたしの話を聴いていただいたら、どんな顔をされるだろう。あきれてものもいえないか笑われるか。
どちらにしろ大阪くんだりからわざわざ金沢八景に関するコレクションを見に来たわたしを歓迎して下さるだろう。



北斎の洋風版画は摺ものでこれは以前からとても好きな一枚。
というより、この版画を見て前回展覧会に行ったのだ。
今回詳しい解説を読みいくつか納得。
関西から来た粋人らと同行して金沢八景に行った模様。

わたしは近江八景は知ってるが金沢八景は知らんのでここで教えて貰えた。
広重の八景図がある。
小泉夜雨、称名晩鐘、乙舳帰帆、洲崎晴嵐、瀬戸秋月、平潟落雁、野島夕照、内川暮雪の八カ所。
絵はwikiでも見れる

全体に広重らしい抒情が漂い、一枚一枚にその地の自然が封じ込められている。
特に小泉夜雨と内川暮雪が素晴らしい。

国貞の役者道中の見立てものになっている武州金沢名所一覧図もいい。
ヤンキー座りする菊五郎の両肩に手を置いて親しく笑う女形を始めみんな楽しそうである。
この絵については黒猫の究美。さんからご教示いただいた。
早稲田のDBで見れます。
役者たちの名前もわかり助かった。

明治31年になってもやはり人気は高い。
国周も名勝美人画を描いている。雀が浦。綺麗な娘がいる。これは構図もいい。
あるのは二枚のみだが右に娘の姿を大きく取り、左は薄い藍色の海が広がる。

ところで遊行寺ゆかりの小栗判官と照手姫の物語があるが、彼らはそれぞれの旅をしている。小栗は冥土から娑婆へ戻り、上野ヶ原から熊野の湯の峰温泉、そして本復後は京へ戻り、更に関東へ戻っている。
一方照手姫は「ゆきとせが浦」に牢輿が流れ着いてから流転を強いられることとなる。
六浦の姫小島で姫は松燻しに遭いうが観音のおかげで難を逃れる。
この松が戦前くらいまでの名所図会などに必ず出ている。
そこでようやくわたしもその場所を認識した。

そして説経節でなく「小栗一代略記」のビラがあったが、前回と違う絵柄のものが出ていた。
こちらは遊行上人が見る閻魔大王の夢が描かれている。
そして小栗の車引きの横には照手の松いぶしもある。

小栗だけでなく太田道灌もこの辺りと縁のある人だそうでその浮世絵も出ている。かれは管領上杉氏の家宰だったそうだ。
そうなのか。管領と言えばわたしはすぐに八犬伝の管領扇ガ谷定正を思い出す。
それでその道灌、金沢八景でも山吹伝説があるそうだ。
つまりあちこちで自分の無知を晒して歩いているのだ。

近代の資料を見る。
明治30年代になって絵はがきブームが来たが、それに乗って金沢八景もいくつも出したがほどなく近所の横須賀が軍港として機能していることから、規制がかかり、あんまり面白くない絵ハガキが生まれたそうだ。

幕府が外国人を饗応する絵ハガキもあった。二の膳つきでおカシラの鯛が大きく描かれていた。

話がとぎれとぎれになるが、なんと野口英世も活躍していた。
かれはこの地で検疫の仕事をしていたそうだが、危うくペスト上陸を阻止したそうだ。びっくりしたなあ。
その縁で野口の絵ハガキもある。

明治の日下部金兵衛の撮った写真もある。田舎道を人と馬がゆくもの。日の光を浴びて働いてね。

1900年の絵ハガキは軍用機の絵ハガキで複葉機の写真があった。
ファルマン式、カーチス式が飛び、モー式が滑水する。
なかなかかっこいい。

清方の文藝倶楽部の口絵などもいくつか。ステキだ。
楠山さんは清方が游心庵に遊んでいた頃の絵がお好きだそうである。

他に玉堂の絵ハガキもある。憲法発布の祝典の日の絵ハガキもいい。

ここからはまた違う展示。
京急の記念切符が大量にあった。凄い数と種類と…
膨大な数の資料である。沿線には楽しい行楽地も色々あるからそれをモチーフにした冊子もあり、見ていて楽しい。
湘南電鉄と京浜電鉄が後ほど京急になったのか…
花月園の栞もある。
みんなとても魅力的である。1920―30年代のモダンが素敵だ。レトロモダン。
そしてトラ年の記念切符がいい。イラストもあり楽しそう。

もうまだまだすごいものがあるのだが、こんかいはその発端。
実に凄いコレクションだった。とても面白かった。
ああ、この金沢文庫に入って本当に良かった。

4/23まで。
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