年金受給者の日々へ 悪戦苦闘の記録から

自分のXデーに向かってまっすぐに走る日々
   年金受給前の悪戦苦闘の日々より

退職挨拶2回目

2009-07-24 00:00:00 | Weblog
ノーベル文学賞を受賞された大江健三郎さんは難しい本をたくさん出しておられますが、最近若い人達に向けて優しくアピールしていることがあります。その一つに皆さん方の中にも読まれた方がいらっしゃるでしょうが、「『自分の木』の下で」という題名の本があります。
 大江さんの実家は、両側を山に囲まれた狭い谷あいにあります。愛媛県喜多郡内子町大瀬という地区です。その地区に古くから言い伝え られている話しにこういうのがあります。おばあさんから何度となく聞かされた話、つまり、それぞれに自分の木があって、人は生まれた時に、山の高みの森にある自分の木の根元から魂が螺旋形に飛んできて赤ん坊の体内に入り、逆に死んで逝く時には魂が身体から抜け出て、再び山の高みにある自分の木の根元に螺旋状に戻っていくものだ、という言い伝えです。
そこで少年時代の大江さんは不登校時に、山の中の森に入り何十年ヶ後の大人になっている自分に会うために,たくさんある中から自分の木を探し出してこのように尋ねたかったと、 「あなたはどうして生きてきたのですか」 と。 そして、60歳の半ばを過ぎた今、再びあの山間の森に行くと10歳の時の大江少年が待っていて、おじいさんになった大江さんに 「あなたは60数年もどうして生きてきたのですか」 と尋ねられる質問に対する答えとして 「『自分の木』の下で」という本を出版されたんだろうと私は思います。

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