巨樹、巨木巡礼

僕が訪ねた大きな樹を紹介していきます。

熱海.来宮(きのみや)神社の大クス

2009-11-26 | 静岡県

 




 まるで巌の前にでも立っているかのような錯覚にさえ陥りそうな巨大さです。
 確かにこの異様な姿にこれが生有る物だろうかと???・・・・






 しかし、巨大な樹瘤や深く刻んだ皺は命有るものがもつ柔らかな曲線を持ち、営々と繋いできた命の温もりを感じ取ることが出来る。 





ここは熱海温泉のすぐ近く、熱海駅から出るJR伊東線、最初の駅、すぐ東のガードをくぐると、その突き当たりが来宮神社の石の鳥居。





境内の正面にある拝殿の左手より裏手に廻ると根元正面に小さな祠が祀られたこの大楠がまるでグーチョキパーのチョキを出した手のように、下膨れでアンバランスで異様な姿で立ち尽くしている。





大楠の周りをめぐる歩道を辿り裏側に廻ると全く別の表情を見せてくれる。





主幹は根元から二本に分かれていているが、南側の幹は台風被害で損傷、高さ5mほどのところで切り払われトタン屋根で覆われ、表皮もはがれ白骨化が進み痛々しい姿をさらしている、しかし北側の幹はうねりくねって生気をみなぎらせアンバランスな三大枝を空に向かって伸ばしている。





樹齢2000年、目通り23.9m、樹高25m、国の天然記念物に指定されている。





1991年、旧環境庁の「日本の巨樹・巨木林」調査によると、全国第2位にランクされる幹周りだといわれている。





2000年という気の遠くなるような永遠の時を刻み込んだ横顔は誇らしくも、神々しく畏敬の念を感じずには居れない。





ちょっとばかし騒がしい正面鳥居から参道を進むと直ぐ左側には半分朽ちかけた楠の巨木が立っている。





正面から見る限り、元気そうな下膨れの楠に見えるが主幹の裏に廻れば、これでもよく生きてるものだと思うほど朽ち果ていて手の尽くしようも無いほどです。



案内板によると、古来この社の森には七本の楠の巨木が生育していた。ところが江戸時代末期の嘉永年間に熱海村に大網事件という全村挙げての大事件が起き、その訴訟費用の調達のために五本の楠が切られたという、その1本が国天の楠で残りの1本がこの朽かけた楠です。



 



撮影2009.11.21



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津島神社のスダジイ

2009-11-17 | 岐阜県

 



見事なのスダジイ老木です。


ここ、岐阜県大垣市上石津町は滋賀県米原市と県境を接する岐阜県最西端の自然豊かな里山地域です。



奥と谷畑、2つの集落のほぼ中間にあるこの津嶌神社の社殿はまるで寺院の観音堂や地蔵堂ででもあるような感じのする建物です。


本殿正面には狛犬狛犬1対が睨みを利かして居るものの横手に廻れば小さな五輪塔や小石仏が集められていた。


津嶌神社は元、真言宗正覚院の鎮守社であったという事で、さもありなんといった感じを受けました。



この後ろにでんと腰を下ろしているのが津嶌神社スダジイです。



社殿脇から主幹を斜めに突き出している姿はまるで顔を覗かせる怪獣のようにも見えないことは無い。


スダジイの古木独特な瘤瘤の寄せ集めのような野性的な面構えは見る人に強いインパクトを与える。



この巨大な主幹に対して大部分の大枝を欠損したのか余りにも貧弱なものですがその少ない枝に精一杯葉を茂らせていました。


株元からは新しいひこばえが大きくなって世代交代の準備を整えているようにも見えた。


樹齢 不明、目通り 7.2m、樹高 35m 大垣市指定天然記念物


撮影2008.6.13


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福王神社の大子杉

2009-11-16 | 三重県

 



ここを訪れたのはもう1年以上も前のことで記憶も定かではない・・・。



その頃すでにこの巨杉は全身白骨化が進み、枝先にはまばらな葉を申し訳程度につけていたが今も何とかその命をつないでいるのだろうかと少し心配です。


三重県の最北端部、鈴鹿山系東斜面、いなべ市との境界近くに福王神社が鎮座している。




長い参道から境内に入っても本殿までは遠く、巨杉の聳え立つ石段の長い参道が続く。


社伝では、百済より仏像経巻が伝来したとき、来朝した仏師安阿弥が勅によって毘沙門天を刻み、のち聖徳太子の命により福王山に国の鎮護として安置したといわれています。



 福王神社とは言え、仏教色の強い神仏習合礼霊場の感がが強い。



大使杉と呼ばれるこの老杉は福王神社のご神木で、幹周/6.63m、樹高/38m。樹齢/1000年以上といわれていますが何もかも少し物足りなさを禁じ得ないのは僕だけだろうか



撮影2008.6.1


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魚津市片貝川の洞杉

2009-11-08 | 富山県 新潟県

この猛り狂う程の荒々しさは過酷過ぎる程の自然環境に生き抜く為に順応した姿なのだろうか??まるで生きる事は戦いなのだと言わんばかりの姿にただただ敬服、小さな僕はこの巨大な洞杉の前でただ立ち尽くすしか脳が無い。

北陸道魚津インターより片貝川沿いに上流へ約20km、途中枝道ダートもあるが山走りに慣れた僕には何の無理も無く走れる道路が目と鼻の先まで続いている。

片貝川は北アルプスの峻険な峰を駆け下りる豪雪と暴れ川として知られているようだが、道筋の谷川はこの時期殆ど白い大きな石で多い尽くされているようも見えた。

県道132号線別れから程なく、蛇石橋を渡るがその左手崖上に巨大で異常な姿の巨杉が谷川にせり出しているのが見える。

このような姿の杉を見るのは初めて、まるで椎類の古木のような樹姿で、巨石を足元に抱えて急峻な崖から、のたうち回るように身を乗り出している。

真近に近づくのは困難な地形ゆえ正確には解らないが目通り約6mはあるように見える主幹はまだまだ若々しくさえある。

しかし何の案内表示板も無く全く名無しの権兵衛のようです。

この辺りは片貝川水系の農業と電力事業の守護神である片貝川の龍石(蛇石)をお祀りして居る龍石祠のある場所で少し広場になっている。

 

由来についての案内表示板です。

ここから南又谷洞杉群生地までは約1.5km、しかし車を動かすや否や前方崖上に松の老巨木かと見紛う樹姿の巨杉が現れる。

杉がこんな姿なのかと疑いたくなる。

やっぱり根元にはしっかり岩を抱き抱えて根元部が以異常に発達しているように見える。

やっぱり目通り約6mというところか??まだまだ若々しく元気そうに見える。

南又谷、斜面の群生地最大の洞杉、固有名詞もそのまま「最大洞杉」、大石を根元に抱えて荒々しく猛り狂うようにも見える。

なんと表現したらよいのか写真の方が雄弁に語ってくれそうな気がする。

2004年6月に計測されたもので「最大洞杉」は樹齢約500年以上、株立(幹4本)の幹周合計30.18m・高さは推測で15mから30mだという事です。

しかしこれが単木なのか合木なのかは判断がつかない。

ひとまわり廻れる範囲で周囲を廻って見るが角度によってその姿を著しく変えてしまう。

裏杉の激しさや伏上台杉の奇形さもさる事ながらこれほどの激しい生命力の杉はついぞ見たことが無い。

洞杉(どうすぎ)と呼ばれるのはここ片貝川上流に自生している立山杉の代名詞に成っていて、この地で生き抜く為の杉自身の適応力か?巨石を根元に巻き込み、台石を強力なその根で囲み融着接合を繰り返し生き抜いてきたのであろうか??

それが出来ない固体はここでは生きられなかったのではなかろうか??

散策路入り口付近にある二本の洞杉です。

京都北山で見た伏状台杉に良く似ている。

樵や猟師が、急を凌いだという大きな岩屋の上にも洞杉が聳えています。

あっちの岩の上にもこっちの岩の上にもと言った感じで・・・・。

遠くから見ると穏やかに見えるが・・・・、近づいて根元から見上げると、荒々しい力強さと、やがて滅びゆくであろう枯淡さも同時に感じずには居られない。

片貝川川岸近くの巨大な洞杉が下から見上げると、イソギンチャクが触手を伸ばしたかのように聳えている。

やっぱり根に大きな石を抱き込んでいるのか根上がり松かシンパクのようにも見えたりもする。

これは目通り約11mとか??

周りの山は黄葉真っ盛り、直ぐに過酷な雪がこの巨杉達をも呑み込むのだろうか??

 

車載カメラの画像から・・・・、群生地入り口辺り。

南又谷付近。

撮影2009.10.31

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立山美女平の立山杉

2009-11-05 | 富山県 新潟県

ケーブルカー駅から散策路に入って最初にに出逢う出迎え杉

アルペンロードで最初に出逢った子育て杉。

二股に分かれた主幹に広葉樹が育っている。

おんば杉は散策路の分かれ道にすくっと立つ、目通り6.9mとなかなかのものだが、ここではそんなに目立った存在ではない。

散策路で見かけた奇妙な樹姿の立山杉たち。

凄まじい生命力を見せる立山杉。

この程度の名無しの立山杉は、この地域に150本ほども存在するとか??

仙洞杉の直ぐ手前にはアルペン杉

撮影2009.10.31


立山美女平 仙洞杉

2009-11-03 | 富山県 新潟県

 

10月31日から飛び石潰しての4連休、後半は天気が大荒れになるという予報が出ていたので、土曜日早朝からちょっと遠出で富山立山、立山杉の巨木に逢いに出かけた。

立山杉は、立山アルペンルートの始まる、美女平一帯で良く知られている裏杉系の巨木ですが、立山アルペンルートはその麓、富山鉄道立山駅付近よりマイカーー規制が施かれ、自家用車では通行する事が出来なく成っている。

これらの杉達に出逢うには、立山駅よりケーブルカーでその美女平駅に降り立ち、そこから散策道や、アルペンロードそのものをテクテク歩くしか方法はない。

美女平から室堂まで行く観光バスで、片道だけこの大杉で途中下車出来ないかと交渉してみたが上手くいかなく、結局、往復約2時間半、散策路とアルペンロードを辿っての山歩きとなった。

ケーブルカーを降り立ち外に出ると、駅のバスターミナルにはこの美女平の名称の謂われとなった言う美女杉が立っていて、立山杉の特徴であるこんもりした梢を天に伸ばしている。

ここから直ぐに散策路に入るとあちらこちらに立山杉の巨木があり、普段歩きなれない足を引きずりその奇怪な姿をカメラに収めながら先を急ぐ。

途中からアルペンロードに出てブナ林が天を突き刺す姿などを眺めて歩き続け、ハイブリッド車と誇らしげに書かれた観光バスに何度と無くすれ違うが歩いてる人には全く出会わない。

歩き始めて約1時間半、曲がり角の先端部分、アルペンロードに接して一際大きな主幹でこんもりした梢を持つこの仙洞杉が現れる。

観光バスはここでほぼ一時停車ほどスピードを落としこの杉の案内をしているようで、乗客が窓からカメラを向けているのが伺える。

どうせならここで途中下車させてくれればどんなに助かった事か・・・、ここまで登れば帰りはくだりでルンルンなのに。

仁王立ちするかの様な主幹は朝日を受けて淡白く、白骨化が進んでいるのか?相当な樹齢かとも思うが表示板に拠ると約300年以上とだけ有る。

 立山杉の特徴か、過酷な自然環境のなせる技か、主幹の中程から突き出した枝は無数に四方八方に伸び、冬季の雪の重みに下方へ垂れ、いわゆる見慣れた杉らしからぬ樹姿をしている。

目通り9.4m、樹高21m、ずんぐりむっくりしたその姿は過酷な自然環境に適応して何百年も生き続けた証なのだろうか??。

主幹のところどころに見られる白骨化や小さな洞、また枯れた枝元から生える寄生樹なども有るが樹勢はいたって盛んのように見える。

全く手付かずの過酷な自然の中に命を繋いで来た巨木の前でただただ脱帽の思いでしばし見上げていた。

いつも僕達は巨木の前ではかくも小さくかくも短い。

ちなみにこの樹は「森の巨人たち100選」に選定されています。 

撮影2009.10.31

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