映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

「モロッコ」で何の戦い?

2006-05-22 16:14:49 | 舞台はアフリカ

久しぶりに「モロッコ」を見た。

この映画は1930年のアメリカ映画。日本初の字幕つき映画との勲章を持っている(1931年、昭和6年)。当時、日本では全く知識も利害関係もない外国、アフリカとはいえ何か白さ、エキゾッチクさを感じさせるモロッコで、まさに映画ならではの恋愛行動とその表現・・・今のお爺ちゃんお婆ちゃんたちはびっくりしたに違いない。

 しかし一体この映画はどの辺の歴史を背景にしているのだろうか。映画ではフランスの外人部隊ということは分かるが、いつ頃どことどこが何でモロッコで戦っているのか、少し世界史を紐解かないと答えられない。

モロッコはアフリカ一の歴史を誇る国。カルタゴ、ローマ、ヴァンダルの支配を経てイスラム化するが、何代かに亘るイスラム王朝の中には、数百年に亘りスペインを実効支配した王朝もあり、北アフリカの中では唯一オスマントルコに屈しなかったという自負もある。19世紀末からヨーロッパ諸国の激しい植民地獲得競争の中で結局フランスの保護領となるが、第二次大戦後1956年には独立し、今でも立憲君主制(キングダム)を称している。

さて、映画の背景をなすモロッコは1920年後半。フランスとスペインが植民地化政策を競っているところへ、1905年、10年と二度にわたってドイツが強引に割り込み有名な「モロッコ事件」と呼ばれる国際紛争を引き起こす・・・こういう状況下では、ご多分に漏れず国内の政治勢力もバラバラで争いが絶えず・・・結局は1912年フランスが保護領化する(スペイン勢力下の一部地域を除く)。

フランスは・・・多分に傭兵の歴史のうえに・・・1831年、アルジェリア介入の機に「国外(植民地)でフランスの名誉のために戦う」部隊として創設される。フランス国籍のものに限らず広く一匹狼的な人達を「先進フランスの栄光」という餌で集めたのは事実であるが、前線用に徴用した囚人やならず者で編成したアフリカ部隊とは異なる・・・しかし映画(このモロッコや外人部隊)の影響でダブったイメージがもたれているようであるが。

 ゲリークーパー演じる主人公トム・ブラウンはどこの出身であろうか。いずれにしても、雑多な国籍の俄仕立ての軍人が(アメリカ人だっていたに違いない)色んな国内勢力と組んだり離れたり、スペインやドイツと戦ったり妥協したり・・・何が何だかよく分からない戦いを繰り広げていた。

それほどの主義主張があったり通ったりしたわけではない・・・灼熱の中でのこういう状況・・・男と女はどういうことになるか・・・そこを映画は見せてくれる。

人気ブログランキング挑戦

ジャンル:
映画・DVD
キーワード
モロッコ事件 1905年 1920年 1912年 1831年 トム・ブラウン アルジェリア キングダム 立憲君主制 1931年
コメント (0) |  トラックバック (0) |  この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加 mixiチェック
« 史実で迫る「タイタニック」 | トップ | カサブランカ »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL