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一日一書 1194 竹・萩原朔太郎

2017-06-04 11:17:28 | 一日一書

 

萩原朔太郎「竹」

 

27×37cm

 

 

  竹

 

ますぐなるもの地面に生え、

するどき青きもの地面に生え、

凍れる冬をつらぬきて、

そのみどり葉光る朝の空路に、

なみだたれ、

なみだをたれ、

いまはや懺悔をはれる肩の上より

けぶれる竹の根はひろごり、

するどき青きもの地面に生え。

 

 

朔太郎の「竹」には、2編あって、

もうひとつのほうが有名で、今でも教科書に載っています。

けれど、この2編の「竹」は、かなり難解な詩で

教科書に載っている詩も、この詩の延長線上にあることを理解しないと

ほんとうのところは分かりません。

 

この詩を前提にしないと、

ただ、勢いよく空に向かって伸びる竹の生命力を歌った詩

ということになってしまいます。

 

教科書によく載る方は

こんな詩です。

 

 

  竹

 

光る地面に竹が生え、

青竹が生え、

地上には竹の根が生え、

根がしだいにほそらみ、

根の先より繊毛が生え、

かすかにけぶる繊毛が生え、

かすかにふるえ。

 

かたき地面に竹が生え、

地上にするどく竹が生え。

まつしぐらに竹が生え、

凍れる節節りんりんと、

青空のもとに竹が生え、

竹、竹、竹が生え。

 

 

こちらのほうの、第2連は、確かに

生き生きとした生命力を感じさせますが

第1連は、むしろ、敏感すぎる神経の比喩であり

朔太郎の強迫神経症的な世界です。

朔太郎の内面の恐怖感と、自然の健康さが対比され

自然ですら、恐怖の対象となりかかっている病的な世界を

果たして、教室で教えることができるのだろうかと

いつも気になります。

 

 

 

 

 


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