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一日一書 1192 卵・萩原朔太郎

2017-06-02 14:13:10 | 一日一書

 

萩原朔太郎「卵」

 

30×38cm

 

コーヒー染めの紙に

 

 

  卵

 

いと高き梢にありて

ちひさなる卵ら光り

あふげば小鳥の巢は光り

いまはや罪人の祈るときなる

 

 

全回の詩が、犀星の影響を色濃く感じさせるのに対して

これは、朔太郎独自の感性の詩。

朔太郎の「罪」の意識は、犀星には無縁のもの。

 

犀星は、鋭すぎる感性の世界から次第に離れ

「愛の詩集」に見られるような、いわば「人道的」な詩を書くようになるのですが

朔太郎は、ますます自己の内部にある「罪意識」を深め

人間の深淵をのぞき込んでいくのです。

 

そこに描かれる、いわば「観念的なエロチシズム」の世界は

朔太郎以外の誰にも想像できなかったもので

今でも、日本の現代詩の

ひとつのピークとなっているのだと思います。

 

 

 

 

 

 


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