プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

はるか空の下の原発

2011年04月15日 | 日記
 NHKの朝ドラで、「海の向こうでしている戦争」というフレーズがありました。自分の日常とは関係のない「戦争」、その戦争が、兄の海兵隊志願という現実の前で、主人公が急に身近に感じ始めるというシナリオです。はるか彼方の空の下にある原発だと、いえ、存在さえしらなかった原発を、降り注ぐ放射性物質で俄かに認知し始める、それもまた、戦争が家族の死へと連想されるように、放射能が健康被害(或いは死)へと結び付けられるように・・・

 かつての大戦の最中でも、やはり状況は今と同じだったんだなと、しみじみと感じられました。そしてその状況は、戦後も何もなく、戦前・戦中と同じ(危険で悲劇的な)状況が実は続いているのだと。そしてこれからも、続いていくのだと・・・

 続くと言えば、トレンチの水位は再び上昇したそうです。一方、「福島第1原発1、2号機付近の地下水に含まれる放射性ヨウ素やセシウムの濃度が、1週間で数倍~数十倍に上昇した」、「付近の高濃度の汚染水が地下にしみ出した可能性がある」(『産経ニュース』)とのことです。

 これが何を示すかというと、「釜」の(5重の壁の)密閉性が破られていうるということ、建屋から外にトレンチへ、そして地下へと浸透、そして海洋へと放射性物質が漏出しているということが証明されてしまったのです。燃料の殆どが溶融した1号機と圧力抑制室の破損した2号機からは、確実に漏れているのでしょう。注水を続ける限り、その漏出は止まりませんが、だからといって冷却をやめるわけにはいきませんから、冷却システムが復旧するまで、今後も大量の汚染水が漏出し、海へと流れ出てしまうということです。

 せめて(漏れ出た汚染水を戻して)冷却水を循環させることができれば、漏出する汚染水の量はかなり減りますが、圧力容器や燃料プールから漏れ出ている以上、基本的に漏出が止まるわけではありません。しかし、循環ができるようになれば、安定して冷却ができ、いずれ冷温状態となる可能性が高まるわけです。今は只、その第1の設定した目標に向かってひたすら粘り強く進んでいくしかありません。どうも状況は段々段々遠くなって、はるか空の下に見えなくなりつつありはしますが、見えないからといって危険が低くなったわけでも、消えてなくなってくれるわけでもありません。

 あまり悪いニュースだけだと、やり切れませんから、少しだけ明るいニュースを。
「日本原子力学会が設置した事故調査委員会は」、「各号機の原子炉の表面温度や内部の放射線量などのデータから、燃料棒を覆う『被覆管』が溶け、内部の放射性物質(放射能)が漏出するだけでなく、燃料の一部が、数ミリの粒状になり、溶け落ちる高温になったと推計」、「1~3号機の炉心燃料棒の一部が溶け落ち、原子炉圧力容器の下部にたまっているとの見解を示した。溶け落ちた燃料は注水で冷やされ、固体状に固まり、原子炉に穴が開くなどの損傷の恐れはないとしている」とのことです。これですと、「フル・コア・メルトダウン」(奈落の底が抜けるの)は止められていると考えられます。

但しこれは、冷却水があるとしての「想定」です。余震等のトラブルで既に何度か注水も止まっています。原発での作業員の方々の疲労は最早ピークを過ぎています。人的なミスが発生してもおかしくない状況です。「保安院と東電によると、圧力容器の本体部分と上ぶたの接続部の密閉材料「シール」で、12日は170度だったのが14日には250度に。接続部直下の本体部分も12日の144度が、14日には165度を示した」とのことです。東電は「計器の故障が疑われる」としています(勿論、計器の故障は十分に有り得ます)が、計器の故障に人的ミスが絡むと、更なる大事故を誘発する可能性もあるのです。(またまた悪いループに戻ってきています、申し訳ありません)

兎に角、はるか空の下のことでは済まない、ということです・・・

P.S. 企業が、自社内で発電するための発電用タービン(日立製)が売れているそうです。さすが原発を造れるだけの技術があるだけのことはあります。大企業は自社内発電システムをどこも持っているそうですが、こうした簡易な発電用タービンがあるのだったら、もう原発なんて要らないのじゃないでしょうか?それにしても日立(だけじゃありませんが)は、原子炉は受注する、廃炉の仕事も欲しい(私の「想定」では東芝と日立で2基づつの住み分けでしょうか、或いはJVを作って三菱も入れての山分けでしょうか)、タービンは売る、大したものです・・・

P.S.2 今朝の全国銀行協会の奥氏、東電の一時国有化について聞かれ、「民間企業として独り立ちしていくのが基本だ」と答えたとか。だったら損害賠償も「独り立ち」してもらうべきではないのでしょうか?当然、「免責」なんてありえません。責任は取らないけれど、税金は入れろ!だけど独り立ちが基本???私の頭では良く分かりません・・・


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