お菓子・ドリンクの都市伝説

お菓子・ドリンクの都市伝説
                       山口敏太郎
@過去の原稿蔵出し

 飽食日本と言われてすでに久しい。肥満大国アメリカに次ぎ、日本は間違いなく間食の食文化に陥っている。そもそも日本人の大部分は長く二食であった、それが文化開化後、三食食べるのが主流になり、そのうち3時のおやつ、夜食などの食習慣が加わった。
 その間食の主流をしめるのが、お菓子とドリンクである。日本のジャンクフード文化の代表例としてコーラをはずして語る事はできない。アメリカ文化の象徴であり、憧れの対象でもあったコーラ。当然、コーラには多くの都市伝説がささやかれた。有名なところではコーラに歯を入れておくと溶けるという噂や、コーラから色素を抜いたのがスプライトであるという噂、またコーラで血液を洗浄すると綺麗に落ちるという噂さえあった。事実、コーラに歯をつけておくと若干溶けるのだが、実際にはコーラが溶かしているのではなくて、炭酸が溶かしているのである。またスプライトネタは当然ガセであるが、コーラで血液の汚れを落とすのはある程度効果的であるようだ。
 他にも奇妙な噂では、「コーラには中毒になる成分が入っており、アメリカの洗脳計画の一部だ!!」という陰謀史観めいたもの、「某ホテルが、コーラの役員が泊まったので、気を利かせてコーラを出したら、(私を殺すか!)と怒った」というコメディじみたものもある。「コーラの中毒成分、洗脳うんぬん」という話は現在でも中東某国やアジアの一部で広がっており、反アメリカ運動の一環として展開されている節がある。勿論、これはガセであり、ある種のナショナリズムが生み出したアメリカ文化へのアレルギーであろう。また「役員にコーラを出したら怒った」という都市伝説は、日本の某大手パンメーカーの役員に置き換えられたバージョンが広がっており、大手企業へのやっかみが生み出した幻想のようである。
 他にもコーラと並ぶ人気ドリンク「ファンタ」にも奇妙なウワサは広がっている。かつて「ファンタ ゴールデンアップル」という種類があったとウワサされ、実際に飲んだという人が多く名乗り出ているのである。だが実際にはそのようなブランドは存在していないのである。「ファンタ オレンジ」「ファンタ グレープ」に続き、「ファンタ アップル」「ファンタ ゴールデングレープ」が売り出された事があるが、「ゴールデンアップル」は発売された事実がないのだ。筆者も子供時代「ファンタ」の愛飲家であり、「ファンタ アップル」「ファンタ ゴールデングレープ」が新発売され、嬉しくて購入しに行った事を記憶している。だが「ファンタ ゴールデンアップル」があったと言われれば、あったような気になるのが不思議だ。別メーカーに酷似した飲料があったのだろうか。それとも実験的には発売された地域が一部にあったのであろうか。このウワサに引きづられる形で2002年には実際に 「ファンタ ゴールデンアップル」が売り出されてしまった。都市伝説が実際の歴史を動かしたのである。
 「コーラ」「ファンタ」とくればスナック菓子やチョコが付き物である。最近、この手のお菓子のレアデザインのものが「幸運を呼ぶ」と言われ、大人気である。この噂のはしりはロッテのチョコレート菓子「コアラのマーチ」ではないだろうか。コアラの絵が描かれたお菓子なのだが、「眉毛コアラ」や「盲腸コアラ」などユニークなものが希に含まれており、その珍しい絵柄に当たると幸せになるとされた。(盲腸コアラには不幸説もあった)コアラのマーチは箱自体がユーカリの葉をイメージしていると言われ、その細かい裏設定が消費者の関心を呼んだのであろう。
 他にも、ロッテのアイスチョコ「pino」にはハート形があり、それを引き当てると幸運になると言われた。このハートを引き当てたら交際して欲しいと女の子に申し込み、見事ハートをゲットした男性もいるとまことしやかな噂も飛び交ったのである。更に、ギンビスのスナック菓子「たべっこ動物」にも「小熊のコロちゃん」というレアデザインの菓子が入っていると幸運になると言われている。明治製菓のロングヒット商品チョコレート「アポロ」だが、通常は下がチョコ、上半分がピンクといった構成だが、これが逆になった「逆さアポロ」というのがあるという。これも見つけると幸せになるというのだ。どうにも、このあたりは企業戦略の傾向がみえなくもない。
 また幸運になるという噂はないものの、マイナーパッケージで遊び心を触発したお菓子類もあった。カルビーの「かっぱえびせん」のパッケージのエビが携帯を持っているバージョンがあったり、恵比寿ビールの恵比寿さんが「魚を二匹」持っているラベルがあったりする。このあたりは自然に噂が付随してくるだろうが、このあたりは意識的な企業戦略ではなくて、洒落と粋な演出といった範疇である。
 また、受験勉強にかつ為には、ネッスルのチョコレート「キットカット」が「きっと勝つ」で縁起がいいとか、明治のスナック「カール」は、「うかーる」つながるから合格するとか。「コアラのマーチ」はコアラだから絶対に(木から)落ちない。このような受験に伴う、縁起担ぎは、「カツを喰って 勝つ」「ステーキ喰って 敵に勝つ」という高校野球の合宿所の言葉遊びと同じ流れで、受験生たちの中で自然発生した可能性もある。まさに溺れる者は、チョコさえつかむである。
 最近、お菓子そのものからおまけのストラップなどにも噂が移行している。奇妙なダンスで話題を集めた上海冷茶だが、このお茶のストラップを持っていると幸運になるという都市伝説がある。なんと現実に万馬券をあてた人がいるという。
 このようなお菓子の中に変わったものを見つけたら、幸せになれるという習慣はどこから来たものだろうか。筆者は四国の生まれだが、そこで似た民俗習慣を体験した事がある。餅の中にお金を入れ、雑煮にする。そして、皆で食い、お金の入った餅に当たったものが幸せになるという習慣が一部地域であった。希なものを引き当てる運気が絶賛された結果であろうか。気になるのは80年代に菓子を食いながら「来る、来ない、来る」と恋占いする流行があった事である。テレビがきっかけだったと記憶しているが、身内の女性がやっているのを目撃した事を覚えている。炭酸ドリンク、お菓子、恋、受験。多感な年頃は噂を創造し、噂を消費する時代なのだ。

関連記事 お菓子
駄菓子屋の経済学

山口敏太郎事務所でオリジナル・チロルを創ってみました。

都市伝説・よっちゃんイカが描かれたロールスロイスが実在した

ポンジュースのチロル

真鍋かおりは、うまい棒を袋の上から四分割できる

自宅をチロルチョコレートに占領された男

チロルの塩バニラ

ドリンク都市伝説・ファンタ ゴールデンアップルはあったか、どうか


チロルチョコ official book

ワニブックス

このアイテムの詳細を見る


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

« 坂本龍馬の幽... 踊るハルマゲ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

書籍紹介

New!!

日本人奴隷化計画【最終段階】―今こそ龍体の力を奪還し白い悪魔の無慈悲な殺戮を止めよ
クリエーター情報なし
明窓出版

New!!

ふしぎな世界を見てみよう! 未確認生物大図鑑
クリエーター情報なし
高橋書店

New!!

最恐 怪談師決定戦 怪談王 戦慄編
クリエーター情報なし
TOブックス
山口敏太郎の千葉の怖い話
クリエーター情報なし
TOブックス
怪談グランプリ 2018 地獄変
クリエーター情報なし
TOブックス
JR総武線あるある
クリエーター情報なし
TOブックス
噂の芸能情報
クリエーター情報なし
星雲社
怪談グランプリ 2017 未公開! タブー怪談
クリエーター情報なし
TOブックス
超常現象のつくり方
クリエーター情報なし
宝島社
タブー討論 このUMAは実在する! ?
クリエーター情報なし
文芸社
秘・テレビでは言えなかった! 山口敏太郎の怖すぎる都市伝説
クリエーター情報なし
TOブックス
恐怖・呪い舟~実話怪異譚~ (TO文庫)
クリエーター情報なし
TOブックス
タブーに挑む! テレビで話せなかった激ヤバ情報暴露します3 台風人間・八咫烏のヤバすぎる正体から最新宇宙人情報まで
クリエーター情報なし
文芸社
日本史の都市伝説
山口 敏太郎
宝島社
是非に及ばず
クリエーター情報なし
青林堂
未確認生物UMA 衝撃の新事実
山口 敏太郎
宝島社
世界の怪人・UMA図鑑
山口敏太郎
大和書房
タブーに挑む! テレビで話せなかった激ヤバ情報暴露します2 超常番組の裏側から国際情勢の闇情報まで
飛鳥 昭雄 山口 敏太郎
文芸社
怪談・呪い神 恐怖・呪いシリーズ (TO文庫)
山口敏太郎
TOブックス
世界の不思議 超怪奇ファイルXX(ダブルエックス)
山口 敏太郎
永岡書店
徳島あるある
山口敏太郎
TOブックス
人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた
大槻 ケンヂ,山口 敏太郎
KADOKAWA/角川学芸出版
超陰謀論
ベンジャミン・フルフォード,山口敏太郎
青林堂
未確認生物 超謎図鑑
山口 敏太郎
永岡書店
霊怪スポット 戦慄の最新ファイル (KAWADE夢文庫)
山口 敏太郎
河出書房新社
放送禁止のヤバイ話 (DIA COLLECTION)
山口敏太郎
ダイアプレス
現代日本のテレビでは放送できない話
山口 敏太郎
彩図社
山口敏太郎の都市伝説 あなたの知らない世界
山口 敏太郎
河出書房新社
オカルト博士の妖怪ファイル (HONKOWAコミックス)
山口敏太郎,鯛夢
朝日新聞出版
小さいおじさん
山口 敏太郎,Sel
東邦出版
本当にいる「宇宙人」完全ファイル
クリエーター情報なし
笠倉出版社
恐怖・呪い面~実話都市伝説 (TO文庫)
クリエーター情報なし
ティー・オーエンタテインメント
タブーに挑む! テレビで話せなかった激ヤバ情報暴露します 八咫烏・裏天皇情報から危険すぎるUMAの正体まで (2014/05/24)
クリエーター情報なし
文芸社
超嫌韓論 (青林堂ビジュアル)
クリエーター情報なし
青林堂
超最新版!本当にいる世界の「未知生物」案内
クリエーター情報なし
笠倉出版社
図説 世界の地獄案内
クリエーター情報なし
笠倉出版社
江戸武蔵野妖怪図鑑
クリエーター情報なし
けやき出版
怪奇!あまりに怖すぎる都市伝説
クリエーター情報なし
河出書房新社
世界超怪奇アンビリーバブル生物画像300 (DIA COLLECTION)
クリエーター情報なし
ダイアプレス
本当にいる日本の「現代妖怪」図鑑
クリエーター情報なし
笠倉出版社
怨霊と呪いの日本史 (KAWADE夢文庫)
クリエーター情報なし
河出書房新社
終結!!世界未確認生物UMA大全画像600 (DIA COLLECTION)
クリエーター情報なし
ダイアプレス
とうほく妖怪図鑑 (んだんだブックス)
クリエーター情報なし
無明舎出版
本当にいる日本の「未知生物(UMA)」案内
クリエーター情報なし
笠倉出版社

▶amazonで山口敏太郎の書籍をもっと見る

お仕事のご依頼

TV・ラジオ出演、イベント・講演、単行本・雑誌などの原稿執筆、インタビュー・対談のご依頼受付中
▶ご連絡はこちらから

YouTube

㈱山口敏太郎タートルカンパニーの公式YouTubeチャンネル
▶ご視聴はこちらから

ATLAS ラジオ
▶ご視聴はこちらから

ネットラジオ

過去の放送も以下のリンクからお聞きいただけます
▶山口敏太郎の日本大好き パート1
▶山口敏太郎の日本大好き パート2
▶山口敏太郎の日本大好き パート3◀最新の放送はこちら!

メールマガジン

有料メルマガ配信サービスフーミーにて「山口敏太郎のサイバーアトランティア ~世界の陰謀・オカルトの真実」配信中
▶お申し込みはこちらから

過去の記事

↑トップへ戻る