SHOUTS TO THE SOUL !!   岡崎 陽

聴く人を圧倒する声、銀色のギターを持つ、イカスオヤジ。日本にない個性と自己主張している。


「永遠のとなり」を読んだ。

2017年05月18日 19時51分25秒 | Weblog
俺と同年台には読んでほしいなあ。

15章抜粋

せいちゃん、わしはいま芯の芯からはらをたてとるとよ。
腹の底から怒って怒っとるとよ。
こんな世の中にも、こんな世の中を作った神様にもほんとうに頭に来とるとよ。
そもそもわしのこげん怒りはなんも今に始まったことやなかけんね。
ほんに小さいころからそうやったけんね。
かあちゃんととうちゃんが夫婦別れてしもうて、わしが物心ついたときには、もうかあちゃん一人しかおらんかったやろ。
そのかあちゃんは働いてばかりやったもんね。
あん人には自分の楽しみなんか、子供のわしから見ても、何もなかったと思うよ。
昼は化粧品の外交ばやって、夜はよなべして、毎日ろくろく眠ってもおらんかったね。
あげんに明るい人やったけど、夜中ときどき、寝とったかあちゃんがおらんでさ、目ば覚ましたわしが襖をそっと開けて、
その隙間から覗いたら、かあちゃんがないとるとさ。
しくしくしくしき声も立てんで泣きよると。
給食費持っていけん月もあったし、かあちゃんが働きすぎて腎臓ば壊したときは生活保護をうけたときもあったとよ。
あん人は、女の幸せも人としてのゆとりも、それどころかほっと一息つく時間さえありゃせんで死んでしまったんよ。
あげく、あのとうちゃんは酒浸りになって、狭い市営団地でものすごい量の血ば吐いて、腐り果てて死んでもうてから。
なあ、せいちゃん、なんでうちのとうちゃんとかあちゃん結婚なんかしたちゃろうか。
なんですぐわかれるくせにわしなんか生んだんやろうか。
そいでみてみいよ、せいちゃん、このわしのみじめな姿ばさ。
わしはたった40で肺がんになったとばい、タバコなんか1本も吸ったことなかよ。
わしは怒って怒って怒って、もう怒りきらんごと怒っとると。
見てみんね。
篠田のばあちゃんの死にざまば。見てみんね坂下のじいさんの暮らしば。
親と三つ年上の兄貴に小さい頃からさんざん虐待ば受けてきた下枝の人生ば。
わしは許せんとよ、こげな悲惨な世界ば作ったやつのことが、どげん許さなと思ってみても、どうしても許せんと。
わしは一体なんのためにこげな世界に生まれてこないかんかったんやろ。

せいちゃんは答える。

人間は誰だって、自分が幸せになるだけで精一杯なんよ。
下手したら嫁さんや子供の幸せだって手を貸してやれんこともあるしな。
わしは誰にでも幸福になる権利があるとおもっとるよ。
わしは最近、大事なんは生きとるちゅうことだけで、幸せなんてグリコのおまけみたいなもんやと思うとる。


泣けてしまう。





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