ぼやき、ぼやき、ぼやき(^^;)

元助監督で映画キャスティングマンの

「バベル」

2007年05月31日 | 映画の光と影
「バベル」
重く辛く悲しい、こんな三重苦な映画はツライです。それでも見なきゃいけませんか? 何か真実を伝えるわけでもなく、真相を暴くわけでもいなく、そして希望を与えるわけでもなく、私はお金を払ってこんな映画は見たくはありません。でも私が若かったら、もしかしたら強く感動したかもしれません。しかし今の私にはツラク見える映画でしかありませんでした。
事前に知っていた事ですが、日本ロケは問題だらけの撮影だったようです。現場の人間は、「何度やめてくれ、と言ったかわからない」と泣いてました。それは日本での高速道路での撮影です。出来上がったシーンは、何てことのない車内シーンですが、これは実際の高速道路をゲリラで撮影したらしいです。一部高速に似た道路でも撮影したようですが、道路を勝手に封鎖して撮影した事に間違いありません。セット撮影でも十分だったようにも思います。
どうしてこんな法律違反までして撮影しようとしたのでしょうか? イラン(イラク?)での撮影も、過酷を極めたようですね。子供達は、鼻水たらして本気で泣いてましたね。撮影現場を極限状態にして、その緊張感を画面に取り込もうとしたのでしょうね。あのメキシコでも、幼い子供達に、ニワトリの首をもぎ取るシーンを、マジに見せていましたね。そんな事までする必要があったのでしょうか?
私は、映画を撮影するために何をしてもよいという時代は終わったと思っています。それはもう私に若さがなくなって、映画監督になるエネルギーがないという証明なのでしょうか?映画ってそんなにエライの?私には映画人の思い上がりにしか思えないのですが・・・・映画人として、自分自身の生き方まで問う、強い映画でした。ここまで思う私は、まんまと監督の術中にはまっているのかしらん?