弁理士試験・弁理士受験対策講座   全員合格!吉田ゼミ

頑張るぞ!弁理士試験
370万PVを誇った吉田ゼミのブログ。OCNのサービス終了により、こちらに引っ越してきました!

弁理士試験に出る条約 TRIPS協定第3章第4節(2)

2016-09-13 21:11:59 | TRIPS協定
 さて、TRIPS協定の水際取締りを見ていこうと思っていますが、今日は、わが国の知的財産権侵害物品の取締りの経緯のうち、関税定率法(平成18年6月からは関税法に移行)にて知的財産権侵害物品の取締りの対象がどのように拡充されてきたのかを見てましょう。


わが国の知的財産権侵害物品の取締まり

1.経緯
 わが国では税関が知的財産侵害物品は輸出入禁制品として水際取締りを実施しており、年間2万件以上の差止めがなされている(財務省HPによれば、平成27年は29274件(輸入差止件数は、中国を仕出しとするものが26,670件(構成比91.1%、前年比9.8%減)で、引き続き高水準にあります。次いで香港が1,227件(同4.2%、同10.4%減)、韓国が494件(同1.7%、同17.1%増)))であり、圧倒的に中国からのものが多い)。
 わが国の知的財産権侵害物品の取締まりの歴史は古く、1897年には現在の関税定率法の前身となる旧関税定率法が制定され、この中の禁制品として特許、意匠、商標、版権に関する法律に違反する物品は輸入禁制品とされていた。
 その後、1906年に実用新案権侵害物品が追加され、版権が著作権と改正され、1970年に著作隣接権侵害物品が輸入禁制品に追加されている。
 その後1994年に成立したTRIPS協定を踏まえた国内法制として、侵害疑義物品の認定手続、商標権、著作権等に係る輸入差止申立手続、申立供託金にかかる制度が規定された。この時、回路配置利用権侵害物品が輸入禁制品に追加された。取締体制として、大蔵省関税局に知的財産専門官、税関に知的財産調査官が設置された(ちなみに、吉田ゼミOBで弁理士として任期付きで税関上席調査官になられた方もいらっしゃいますし、税関職員の方で、吉田ゼミから弁理士試験に合格された方もいらっしゃいます。)
 2003年には育成者権侵害物品が輸入禁制品に追加された。特許権、実用新案権、意匠権についても輸入差止申立制度に移行した。
 2005年には、不正競争防止法2条1項1号から3号に掲げる行為を組成する物品が輸入禁制品に追加された。
 2006年には、6月に関税定率法の輸入禁制品に関する規定を関税法に移行するとともに、「輸入禁制品」の用語は「輸入してはならない貨物」と変更された。また、輸出してはならない貨物として育成者権侵害物品を規定した。
 2007年には、不正競争防止法違反物品、特許権、実用新案権、意匠権、商標権侵害物品、著作権、著作隣接権侵害物品が輸出してはならない貨物に追加された。
 2011年には、不正競争防止法2条1項10号及び11号(平成28年1月より11条及び12号)に掲げる行為(技術的制限手段無効化装置等譲渡等行為)を組成する物品が輸出入してはならない貨物に追加された。
 2016年には、不正競争防止法2条1項10号に掲げる行為(営業秘密侵害品輸入等)を組成する物品が輸出入してはならない貨物に追加された。

と、まあ、こんな感じですが、輸出してはならない貨物というのは関税法69条の2に列挙されており、

関税法第69条の2(輸出してはならない貨物)
 次に掲げる貨物は、輸出してはならない。
①  麻薬及び向精神薬、大麻、あへん及びけしがら並びに覚醒剤(覚せい剤取締法 (昭和26年法律第252号)にいう覚せい剤原料を含む。)。ただし、政府が輸出するもの及び他の法令の規定により輸出することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸出するものを除く。
②  児童ポルノ(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律 (平成11年法律第52号)第2条第3項 (定義)に規定する児童ポルノをいう。)
③  特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権又は育成者権を侵害する物品
④  不正競争防止法 (平成5年法律第47号)第2条第1項第1号 から第3号まで又は第10号から第12号まで(定義)に掲げる行為(これらの号に掲げる不正競争の区分に応じて同法第19条第1項第1号から第5号まで、第7号又は第8号(適用除外等)に定める行為を除く。)を組成する物品

ということで、麻薬等、児童ポルノと並んで「知的財産権侵害物品」が列挙されていて(同法69条の2第1項3号、4号)、逆に言えば、これだけ、です。
うーん。なんかちょっと複雑な心境です。

一方で輸入してはならない貨物(従来から「輸入禁制品」と呼ばれているもの)については、関税法69条の11に列挙されており、こちらはたくさんあって、何かちょっと安心です。知的財産権関連の輸入禁制品についての拡充の歴史は上記した通りです。

知的財産権侵害物品の取締まりに関する関税法(関税定率法)の改正の経緯については、TRIPS協定の影響が非常に大きいです。
具体的にはTRIPS協定51条以下、いろいろありますのでこれから具体的に見ていくことにしましょう。

では。








ジャンル:
ウェブログ
コメント (1)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 吉田ゼミの引越し | トップ | コメント求む! »

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
試験が終わって・・・ (金の字)
2016-11-20 15:26:20
試験が終わってようやくちょっと時間ができて、
じっくり読むことができました。

こういう解説は他所のサイトではほとんど見たことがないので、非常にありがたいです。
関税法とか、さりげなく法文集に集録されていますが、読んだことが無かったので、これを機に少しずつ新しい知識を仕入れてみたいと思いました。きっかけをいただきましてありがとうございます!

コメントを投稿