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トランプのアメリカは何処へ行く

2017年02月03日 | アメリカ通信
トランプ政権が始動し、暴れまくっている。今までにないスタイルでの船出に、ある者は喝采し、ある者は眉をひそめている。それにしても就任早々から全米各地で反対デモが多発しているが、このような形は恐らく稀であろう。そういう意味でアメリカ国民は特異な大統領を選んだとも言える。

矢継ぎ早に連発される”Executive Order”は、まるでオバマ前政権の諸策をことごとく反故にせんばかりの勢いが感じらるのだが、この先何処へ行くのかはまだ分からない。一つだけ言えそうなのは、トランプと彼を担いだ”グループ”が「強いアメリカ」を取り戻すべくアメリカのリセットを目論んでいるらしいのだ。これはトランプという表看板を掲げ共和党が仕掛けた”戦争”なのではないだろうか。

”戦争”に関していえば共和党は常に「強いアメリカ」を模索するHardlinerであり、民主党はどちらかと言えば穏健派となる。近年の歴代大統領とその政権をみると、その傾向がよく見える。

ニクソンのウォーターゲート事件でスキャンダルに塗れた共和党は失墜し、人道主義を前面に出したクリーンなイメージの民主党ジミー・カーターが選ばれた。田中角栄が失墜したあと選ばれたクリーンなイメージの三木武夫に似ている。残念ながらカーターの人道主義はアメリカ市民が求める「強いアメリカ」を創造する力にはなりえず、一期四年で共和党のレーガンに明け渡すのである。

当時、”ジャパン・アズ・ナンバーワン”に見られる如くアメリカ経済は疲弊していた。自信喪失状態であった。レーガンと共和党が仕掛けたのは、知的財産保護によるアメリカ経済の復活であり、それは見事に実を結んだのである。普通の戦争とは違うが、経済の場で「強いアメリカ」を取り戻した。

レーガンの実績を追い風にブッシュが選出され、引き続き共和党政権となった。ブッシュも「強いアメリカ」の体現に邁進した。第一次イラク戦争である。アメリカ人が溜飲を下げたのは言うまでもない。しかし、その反動でマイルドな民主党政権となる。

クリントン政権もボスニアやコソボへの戦争介入をしているが、共和党に比べ、やはりマイルドな体質にはかわりなく、民主党の伝統と言うべきであろう。二期八年の民主党政権に飽きたアメリカは再び共和党のブッシュ・ジュニアに国を託すことになり、就任早々、運命の9・11となった。

9・11はブッシュ・ジュニアが「強いアメリカ」を示す絶好の機会となった。世界の”悪の枢軸”を世に問い、第二次イラク戦争へ突入した。ブッシュ・ジュニアを固める連中は副大統領のチェニー、国防長官のラムズフェルドなど、「強いアメリカ」も求める猛者ばかりだから、最初からやる気満々な政権だったとも言える。全米の熱気は凄まじく、どこへ行ってもUnited, We Standが溢れていた。アメリカ市民でもない我々でさえ、胸にバッジをつけなければいけないような雰囲気であった。

しかし、戦争の爪痕は大きく、アメリカは再び民主党のオバマを選ぶ。強硬から穏健へと流れは変わった。この民主党政権下で顕著に変わったことは何か。ずばり、中国の傍若無人な覇権拡大を許してしまった事だろう。初期のオバマ政権での対中国政策が根本的に誤ってしまったのだ。オバマ政権の8年間、共和党の中では中国に対する強烈なマグマが溜まりに溜まっていたに違いない。

トランプ政権はトランプの看板を借りて政治経済の分野でハードライナー達が今までの状況をリセットして再び「強いアメリカ」を取り戻そうとしているののは間違いなさそうである。中枢幹部の人選がそれを物語っている。



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