スウェーデンの今
スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員
 



スウェーデン中央銀行は、今年から来年にかけて導入される新紙幣・新硬貨のデザインを発表した。

現行の紙幣は30年ほど前に導入されたらしいが、今回の新紙幣のデザインは「文化人」がテーマで、作家や映画監督、俳優、歌手、国連職員など、世界的に知られる人物がモチーフに選ばれた(人選は既に数年前に発表されていた)。また、それぞれの人物に関連のある地方の風景がバックグラウンドに用いられ、スウェーデンの多様な風土を反映する配慮もなされている。(とは言っても、ストックホルム以北は「ノルランド」だけだが・・・)

出典:スウェーデン中央銀行のHP

【 20クローナ紙幣 】
童話作家 アストリード・リンドグレーン(Astrid Lindgren)。現行紙幣と同じ紫色。
スモーランド地方特有の岩のゴツゴツした田園風景や森林

【 50クローナ紙幣 】
スウェーデン西海岸・ヨーテボリを代表する歌手・作家 エーヴェット・トーベ(Evert Taube)。現行の黄色より少しオレンジ掛かっている。
ボーフース地方の群島や灯台、線刻画群

【 100クローナ紙幣 】
女優 グレータ・ガルボ(Greta Garbo)。
ストックホルムの市庁舎、王宮、ガムラスタン

【 200クローナ紙幣 】
映画監督 イングマール・ベリマン(ベルイマン)(Ingmar Bergman)
ゴットランド島・フォーロー島の海岸や自然石柱

【 500クローナ紙幣 】
オペラ歌手 ビルギット・ニルソン(Birgit Nilsson)
スコーネ地方のオーレスンド海峡大橋

【 1000クローナ紙幣 】
第二代国連事務総長 ダーグ・ハマーショルド(Dag Hammarskjöld)
ノルランド地方の山岳地帯


現行紙幣は、20クローナ、50クローナ、100クローナ、500クローナ、1000クローナなので、200クローナ紙幣が新たに登場することになる。また、硬貨も現行の1クローナ、5クローナ、10クローナに加えて、2クローナ硬貨が登場する(正確には再登場)。

日本では2000円紙幣を流通させようとして大失敗に終わったが、スウェーデンでは既に20クローナ紙幣が日常的に使われているので、200クローナ紙幣や2クローナ硬貨の浸透は、おそらく問題ないだろう。

一方で私が理解できないのは、硬貨のレパートリーをもっと増やさなかったこと。20クローナ(約300円に相当)や50クローナ(約750円に相当)は硬貨でも良いと思うのだけど・・・。

ただ、いずれにしろ現金の使用はますます減っているから紙幣や硬貨の必要性は少なくなっている。市中に流通する紙幣の総額は、2009年から2014年の間に1000億クローナから750億クローナへと25%減少したという。一方、紙幣の枚数で見てみると、減少は3億5400万枚から3億2500万枚で、減少率は8%に留まる。つまり、紙幣の利用は主に500クローナや1000クローナなどの高額紙幣で大きく減っていることがこのことから分かる。実際のところ、1000クローナ紙幣の流通量は、2014年のわずか一年で3分の1も減ったという。

私も自分の銀行口座の利用明細を見てみたところ、2014年にATMで引き出した現金の合計はたったの700クローナ(約1万円)だった。1年の間にである。クレジットカードやデビットカードでほとんどの買い物が済ませられる。500クローナ紙幣や1000クローナ紙幣を使う必要は全くない。だから、せっかくハマーショルド元国連事務総長が紙幣に登場してくれたけれど、出会う機会は残念ながら無いだろう。イングマール・ベリマンも使わないだろうな・・・。

ちなみに、今でも1000クローナの高額紙幣が使われる機会というのは、主にマネーロンダリング(資金洗浄。犯罪者が不正に得た収益を市中で使うために、その出処をばれなくする行為)や、銀行や国税庁に捕捉されたくない怪しい商取引だという。だから、せっかくならハマーショルドに警察官か何かの制服を着せた上で、「マネーロンダリングは違法です!!」みたいな警告文字を紙幣に加えて欲しかった(笑)。煙草のパッケージの警告のように。

これらの新紙幣は、今年秋から流通が順次、開始される。
まず、今年2015年10月20、50、200、1000クローナの紙幣が、そして、来年2016年10月100、500クローナの紙幣と新硬貨(1、2、5クローナ)が導入される(10クローナ硬貨は現行のまま)。予定では、2017年6月末までに旧紙幣の回収が終了することになっている。

新たに導入される偽造対策などについては、スウェーデン中央銀行のHPを参照のこと。

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