yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

富士山 石川丈山

2014-10-26 05:24:07 | 文学
石川丈山(1583~1672)は江戸初期の漢詩人。三河出身、藤原惺窩(ふじわらせいか)の弟子、
京都詩仙堂に住み多くの文人を友とした。

富士山

仙客来遊雲外嶺
神竜棲老洞中淵
雪如紈素煙如柄
白扇倒懸東海天


仙客来リ遊ブ雲外ノ嶺(いただき)
神竜棲ミ老ユ洞中ノ淵
雪ハ紈素(がんそ)ノ如ク煙ハ柄ノ如シ
白扇倒(さか)シマニ懸ル東海ノ天

 「訳」

仙人が来て遊んだという、神聖な富士山の頂きは雲を抜いて高くそびえている。
また山頂にある洞窟の中には、神竜が棲みついていると伝えられる。
冬のころこの霊山を下界から望めば、山頂から山すそまで純白の雪におわれ、扇に見立てる
ならば、白絹を張った扇面にあたり、その上に立ちのぼる噴煙は」、扇の柄にあたる。まるで
東海の空に白扇がさかさにかかっているようで、その雄大な眺めは、実に天下第一等の山の名に背かぬものである。


「鑑賞」

この詩は詩吟を学ぶ人が必ず習うそうです。

丈山は荻生徂徠に「東方の詩傑」と讃えられ、朝鮮の詩人からも「日東の李杜」と最高の賛辞を得ています。

悠々自適の境涯を賦した次の詩もあります。

幽居即事

山気人世に殊なり、常に啣(ふく)む太古の情、四時雲樹の色、一曲かん泉の声、雨湿うて鶯衣重く、風喧(あたたか)にして喋袖軽し、詩を為(つく)って老に至ると雖も、未だ鬼神をして驚かしめず

最後の2句に味わいがあります。石川忠久先生の「詩拙く書粗なるは我が常分」と似ています。

    「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会
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