陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

漫画『お父さんは心配症』

2014-06-17 | 読書の記録


父の日間近の某新聞の特集は、「母と娘の関係改善」「イクメンにやってもらいたいことベスト20」。そして、小説では「長年連れ添った夫に死んでほしかった」云々の内容が…。いくらW杯だからって、忘れ去られている感のする父の日。ちょっと不憫ですよね…。まあ、自分も実父をあまり大事にしなかった覚えはありますが…。

父の日が近づきますと思い出す漫画がありまして、それは漫画『お父さんは心配症』。そのタイトルずばり、一人娘を愛するあまりに暴走しすぎる中年サラリーマンが主人公の、常軌を逸したギャグ漫画です。少女マンガのパパって、だいたい、娘が自慢できるようなロマンスグレーの紳士っぽいキャラ多いもの。しかし、これはありえないほど異色の父親です。

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万年平社員のしがないサラリーマン・佐々木光太郎は、高校一年生の娘・典子と二人暮らし。亡き妻にかわって男手一つで育てた娘は、最近、サッカー部のマネジャーをしていて、同じ部の同級生・北野と恋仲になっているらしい。娘をかどわかすボーイフレンドを退けるために、とにかくあの手、この手で、邪魔だてするお父さん。ストーカー行為、暴言暴力、変装、とにかくなんでもござれ。その行動がとにかく半端なく笑撃的です。実際にいたらいやだな。というか、その行動力を仕事につかえばいいのに。

このパピィこと光太郎のみならず、娘の同級生たち本人や、その家族ももれなく、どうしようもなく、変人変顔変態のデパートです。なにかと無意味な自慢をしたがる緒方の父娘ですとか、金持ちなのに根性がみみっちい片桐キャプテン一家と反逆的な執事とか。ゆいいつ、良心的だと思われていた彼氏の北野くんも光太郎の毒気にやられたのか、兄貴もバカだったのか、回を追うごとに壊れていって、光太郎お父さんといい勝負。あんなに毛嫌いしてたのに、しまいには困ったことがあると、娘の彼氏を頼ってしまうお父さんもなんだかな。
とにかく、娘の典子を除けば、じつに個性的メンバーです。そういえば、この漫画『ハイスクール奇面組』と同年代ですよね。

中途から、光太郎に再婚話が持ち上がり、娘と二重でラブコメ路線にもなったりするのですが、そのお見合い相手の安井さん親子もタダモノではありません。光太郎も小心者だけど根はまあいい人なので実にお似合いなのですが。このふたりの縮まるようで縮まらない恋愛は微笑ましいですね。周囲は傍迷惑こうむってますけど。

驚くべきは、この漫画、少女漫画雑誌『月刊りぼん』で掲載されていたこと。
しかも、作者の岡田あーみん先生のデビュー作なのですが、17歳でこれ描いちゃったって!! 自画像でかんちがいするけれど、しかも、この方女性だそう…。こんな発想するって、どんな女子高生やねん…。(ネットの噂によると、けっこう素顔は美人らしい)。いや、確かに画力がそうとう酷いんですけど、ものすごいテンポと、ときおり飛び出す粋な台詞がどう考えても、酸いも甘いも噛み分けた中年のおじさんにしか思えないものもあったりで(ただし主役の精神年齢は小学生に近いけど(笑))。現在は漫画家を廃業されているようですが、いまだにこの漫画の愛好家ちらほらいるみたいですね。

ちなみに90年代にドラマ化されたのですが、主演は大地康雄。
いまだったら生瀬勝久あたりが妥当かと思うのですが。あのオプアートみたいな寄り目のメガネどアップで迫ってくるのがインパクト絶大だったのに。中身あまり覚えていないけど、あまり評判宜しくない実写版でしたね。いまアニメ化なんかしちゃっても、面白いとは思いますが。当時読んでた乙女読者もとより、世のお父さんも楽しめることうけあい?

漫画だからって笑い事で済ませられないのは、最近の「毒親」事情。
モンスターペアレントという若い親のみならず、長年、親の望む人生を強制されたうっくつが溜まっている大人たちの叫びが、あからさまに聞こえますね。この漫画が救われてるのは、あんなに管理的なお父さんなのに娘は良心的に育ってることです。たいがい負の連鎖は世代に継承されますから。


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