陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「デプス・ダウン」

2016-09-29 | 映画───サスペンス・ホラー
2006年のアメリカ映画「デプス・ダウン」(原題:Sea of Fear )は、海上で孤立した船内で次々に起こる殺人をあつかったサスペンスホラー。

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ひと夏のバカンスを楽しむために、貸し切りのクルージングに出かけたトム、ランス、ケイト、アシュリーの四人。
しかし、インターフィシオ号ではデレックという予定外の客も乗りあわせてしまう。乗組員は船長と、さらに一等航海士で舵を取るジョエルの七名。最初は険悪なムードだったが、海賊島に立ち寄り一夜を明かしことで、一同の親睦も深まった。

だが、その後、ジョエルが行方不明に。
船を動かすキーと非常用ボートがなくなってしまい、海上で取り残されてしまう。海上でひとつの密室と化した船内で、船員がひとりまたひとりと消えていき…。

ミステリーとしてはあまり評判のよろしくないものですが、海を舞台にした映画で、水中の美しい光景が見られればいいという方ならまだ環境だけで楽しめるかも。ただ七名という人数に対して船が小さすぎる(船内はそう狭くみえないのですが、全員が甲板に集合したときのカットがひどく狭苦しく見える。別の船を映したのか、屋根の上だからか)ので、人がいなくなったとしても緊迫感がありませんよね。

メンバーを若者だけでなく、いろいろな職業年齢、性別をとりまぜた構成にした方がおもしろかったかもしれませんよね。人間の死に対する恐れのなさがある不貞な若者が死体に接しても驚きもしない。ですから、ホラーとしての威力が伝わってこない。
それぞれの背景を生かして、誰に生き残ってほしいとか、誰やらが犯人っぽいとかを視聴者に想像させる楽しみに欠けるといいますか。そして殺人シーンにあのおしゃれなロックをBGMにするのもインパクトがなさ過ぎ。

真犯人はメンバーのなかにいてたしかに意表を衝く人物で、ラストにどんでん返しも用意されているのですが、もうすこし演出をよくすればおもしろくなったかもしれませんよね。それと台詞回し。
終盤の役者の演技力もそんなに悪くないほうだし。なにより殺人の動機がまったくないというか、まさかそんな理由でというのが呆れる。日本的な人情の機微に触れるサスペンスを好む立場としては合わないかも。

監督はアンドリュー・シュート。


(2011年7月11日)

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