陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。

朝日新聞はもう落日なのか?(後)

2014-09-07 | 読書の記録
でも、やはり、以前と比べますと質が落ちたような。
その原因は、高齢読者向けに大活字にしたがために字数が削られ、内容が浅くなったこと。そして、記者がツイッター発信をするという弊害が大きいのではないでしょうか。ツイッターって便利なんですけど、短文でつぶやくのになれてくると、長文をつづるのが嫌になってくるんですよね。文章を深く練らずに、とにかく垂れ流すという癖がつきやすくなるのではないでしょうか。

新聞社といえば高給取りなイメージがありますが、新卒で採用されるキャリアを除けば、近年は紙面づくりを朝日新聞総合サービス株式会社という子会社に登録された派遣の契約社員さんが担っているようです。いまどきどこの大手企業でも、非正規社員なんて珍しくないわけですけども。朝日のみならず他の新聞社でもこの手の労働システムはあるのだろうし、NHKなんかも契約社員の地域記者なんて募集していたりする。新卒が氷河期で正社員で就職できなかったけれども、マスコミ業界の派手さに憧れて、たとえ期間限定であっても働く方も多いのだろうと思います。(なんとなく主婦やフリーター層に受けそうな記事が多くなったのはそのせいなのかな…)。

生活が苦しいと新聞はとれないものですよね。
私も独り暮らし時代は給与も少なく、購読していませんでした。大家さんから読みさしの新聞をいただいたり。本社の記者は高給エリートだけれど、末端の販売所の社員は低収入できついノルマがあり、格差や貧困を訴えている新聞社こそがその格差構造の一端を担っているという批判もありました。新聞奨学生を酷使し、禁じられているはずの集金を押しつけたり、懲罰金などをせしめたりして、学生さんが学業をあきらめざるをえない事例も指摘されています。こうなると、ブラック企業を告発している記事すら、うさんくさく思えてきますよね。

しかし、だからといって、新聞というメディアに明日がないかというとそうでもない、と思わざるを得ない面もあります。たとえば、いま、インターネット上である組織の内部告発なんかできるにしてもですよ、大手製薬メーカーの研究不正だったり、社会福祉法人の非合法な運営だったり、あるいは裏社会への接触だったり、そういう一個人ではぜったいに立ち向かえないような不正義に対しては、いくらフォロワーの多い市民記者のような、ネット上の素人に近いユーザーであったとしても、一次情報を取ってくることはできません。政治家や経済界の大物にだって会えるのは限られてくるのでしょうし。やはり腐っても組織名がまだまだ幅を利かせるのでは。

ネット上の多くのニュースのまとめサイトなどで話題になっている不祥事も、元を正せば新聞やテレビなど大手メディアが報じたものがソース。無料で読めるはずのこうしたメディアもこころ憎しと敵と見定めているマスコミが存在しなければ、成り立たなくなりますよね。

ですから、どんなに下らなく見えようとも、やはり、ある程度はこうした大手メディアの残存は必要でしょう。もし、新聞やテレビなどの報道機関がなければ、世界中のニュースが一般人にはすぐ入らず、やわらかく解説してくれる人もおらず、かつての鎖国時代のように身近な事柄ばかりに注視するような人生を大半の人が送ってしまうのではないでしょうか。

インターネットというのは便利だけれども、自分の興味の狭い範囲だけを検索して終わりになってしまうことがあります。でも、新聞ですと、自分の知らない分野についても一覧でめくりながら関わることができますし、見出しだけをさらっと追っていけば一日の動きが概略で掴めます。そこから、気になる仔細な情報は、専門書などで補完していけばいい。

知識人たちが既存メディアに対抗して立ち上げた、ネット上の言論フォーラムや各種ニュースサイトもありますけれど、記事が使い回されていたり、生半可な事情通のフリーライターが書いていて気色ばむものだったり、まさに玉石混淆。個人への攻撃性や偏見度がやや高いようにも感じられます。

ちなみに、新聞でいちばん重宝しているのは、読む事以外にも利用価値があること。たとえば余ったお寿司や野菜を冷蔵庫に保管するとき、凍ったり、水分が抜けぱさぱさにならないように、かために新聞紙でくるんでおくといいのです。また新聞紙を包んでいるビニル袋は大きさがちょうどよく、利用価値が高いのです。

ただ、そろそろ他の新聞に変えてもいいかな、とは思っているんですけどね。あんがい、他も似たり寄ったりじゃないかな、と思わざるを得ないわけでして。

書くこと、発表すること、それ自体はもう誰にでもできる時代。
でも、旧大手メディアがネット上のニュースサイトに追従した話題を取りあげていたりするとがっかりします。ニュースを使い回すのなんて誰にでもできてしまうので。新聞にしかできないことをどれだけ永続的に継続できるかが、生き残りの鍵と言えそうですね。

新聞というメディア自体はなくなってほしくはないので、なんとか改善してほしいものだと願っていますが。



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