陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

今年の本棚2013

2013-12-30 | 読書論・出版・本と雑誌の感想
ここ数年間、年の最後には一年間の時事ネタを振り返っていたのですが。
今年は例年になくあまり外の世界に目を向ける余裕がなく、なんだか自分と周囲のことで手いっぱいでした。「じぇ、じぇ、じぇ」なんて驚いたこともなければ、どなた様かを「お・も・て・な・し」したわけではなく、「倍返し!」と意気込んだこともなく、「いつやるの? 今でしょ!」と思って挑戦したこともあったにせよ、アベノミクス効果の恩恵を受けたわけでもなく。まあ、そうはいいましても、今年はそれなりに収穫はあったのですがね。それについては年末か年始にでも。

二年ほど前から読書記録をつけています。
最近は便利なものでネット上で既読、未読の本の管理ができたり、余所様のレヴューを参照したりできますね。昨年は50冊超えの本を読みましたが、今年はまだ33冊ほど。今年の読書時間のほとんどは、資格試験の勉強に割かれたためです。

今年読んだ本のうちから、印象に残ったものを書き記しておきます。
今年発売された新刊本ではないことにご注意。


利休にたずねよ (PHP文芸文庫)
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『利休にたずねよ』(山本兼一著)
「火天の城」で話題になった著者の直木賞受賞作。現在、市川海老蔵主演で劇場公開されている映画の原作ですね。豊臣秀吉の逆鱗に触れて切腹を命じられた千利休。時の権力者にさえ屈しない茶人の美学には、ある哀しい悲恋が絡んでいた、という時代劇ロマンスでありながら、時を遡っていくという驚天動地の手法がとられていること。ただ私としては、最後に明かされた利休初恋の女の正体に違和感を感じざるをえないわけで。ラストがトーンダウンしてしまいましたが、時代劇エンターテインメントとしては一級品でしょう。

ゴッホは欺く〈上〉 (新潮文庫)
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『ゴッホは欺く』(ジェフリー・アーチャー著)
世界の文豪的な存在ならともかく、現存の外国人作家のことを全く知りません。著者はイギリスの爵位をもつ政治家にして作家。辣腕の女性美術コンサルタントが、ある名家に伝わるゴッホの自画像を奪還すべく暗躍する絵画ミステリー。複数の人物目線のストーリーが同時進行していくので、緊迫感があります。ちなみに日本も舞台の一部になっており、誰をモデルにしたのか定かではないにせよ、なかなか渋い日本人大富豪も登場。別段、美術の知識がなくとも読めます。

他にもインパクトあったものはあったのですが、別記事にということで。

今年はあまり小説を読まずに、どちらかといえば、ノンフィクションか、実学的な本に目を通した一年となりました。自己啓発やコミュニケーションに関するビジネス本は、書かれていることに頷けても、実践するのは難しいですよね。フィクションは空想癖がなくなったのか、物語理解能力が減ったのか、年々読むのが煩わしくなっていく一方です。漫画も昔のお気に入り作を読むほうがらくちん。

積ん読状態でなかなか読めない本が消化できるのは、いつになることやら…。

Comments (2)    この記事についてブログを書く
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2 Comments

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しばい (iina)
2014-01-04 10:37:55
映画は、ブログの題材になりますが、たしかに小説でもなりますね。
千利休といえば、茶人なのにもかかわらず豊臣秀吉に切腹させられた謎がテーマになりがちのところを、
「利休にたずねよ 」では、ひねって描いていました。

拙宅では、山本周五郎と司馬遼太郎をときどき触れさせていただいております。
http://blog.goo.ne.jp/iinna/e/502f3d598c8a1b7dcdcd98adae0cf8b7

流行語にご縁がないとご謙遜ですが、映画や小説も「芝居」ですから、「倍返し」よりも欲張った「4倍」も返し
ています。 m(_ _)m
倍返しどころか二乗返しに (万葉樹)
2014-01-04 20:36:56
コメント有難うございます。
倍返しどころか、二乗返しを期待してがんばりたい一年ですね。

貴ブログさまのタイトル、見覚えがありますが、エディタ経由で以前お知り合いになった先でしたでしょうか?

映画と小説のレヴュー、どちらが難しいかは受け取り方によりけりですが、映画はかならず二時間程度で視聴が終わりますので、記事にするための時間がかからなくてよい、文字でネタバレを書いても影響が少ない、という利点から、うちでは映画のほうが多いです。


「利休にたずねよ」
宣伝映像によれば、なかなか格式高い作品であるようですね。芸のためなら女も泣かす、体当たりの海老蔵さんのキャスティングは秀逸と言えますね。どちらかといえば亡き団十朗さんのほうが晩年の利休に近いと思われますが。

人を殺してでも手にしたい美があり、それに囚われた者は、またその美のために死ぬのを厭わない。たしかに芸術家とはそのような生きものです。周囲もあきれるぐらい、貪欲ですね。

山本周五郎と司馬遼太郎の著作はあいにく読んだことはありません。ドラマでは知っているのですが、いつか手にとってみたい作家さんですね。

TBのみのお客さまは、基本、お返しするだけに留めています。訪問先のコメントを自ブログに残しておかれるのは良いアイディアですね。せっかくですので私も借用させていただきます。

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