陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

いつまでも「子ども」が多い国──アニメ・漫画という負の文化がもたらしたもの

2017-11-28 | テレビドラマ・アニメ

日本は少子化が進んでいます。
でも、「子ども」は減っていません。精神年齢が幼稚なままの大人が増えているからです。そして、二次元には有能な少年少女だらけです。そのせいで、子どもを万能と見做して無理強いする大人も増えましたよね。
この前、ラジオを聞いていたら、30歳過ぎたと思しき女性が「魔法少女に憧れるわぁ~♪」と語っていました。声優さんだったら、お仕事だからいいんですけどね…。最近は、40歳過ぎた女性アナウンサーとかコメンテイターとかがNHKでボーイズラブとかゲームの話とか平気でしていますよね。私が子供の頃は、男性のオタクキャラで売っているタレントはゲテモノ枠だったのに、時代は変わったものです。

夢を持つのと、人間として成長するのとは違います。
前者は「…だったらいいな」「…したい」という願望。後者は「いま、目前で、やらねばならないこと」を積み重ねてきた人だけが得る成果です。

ファンタジーと稚気の沙汰は紙一重。
アニメや漫画が好きな皆さん、ファンタジーのヒロインや英雄に憧れていないで、そろそろ、自分の現実に向き合ってみませんか? 10年以上、ブログで趣味語りばかりやってきた私は、自分のオトナ気なさ度を自覚しています、もちろんですとも。

先日のことですが。
ある人気漫画の原作者が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)容疑で書類送検されたことが、新聞記事に。この漫画家さんの事務所内から発見された、少女たちのいかがわしいDVDが証拠。本人も「小学生高学年から中学二年までの女の子が好き」と供述しています。

児童ポルノ単純所持は、2015年から処罰対象。
性的な目的で18歳未満の子供の児童ポルノを所持・保管しただけで、1年以下懲役もしくは100万円以下の罰金刑。罪が軽いとはいえ、著名人ほど社会的打撃は大きい。この漫画家の往年の人気漫画は続編の連載が決定していたのに、見合わせたということです。収入源を失ってしまいました。

私はこの原作漫画、嫌いではないけれど、熱狂的なファンではありません。
けれど、たまに思うのです。自分の好きな作家や漫画家さん、アニメ関係者さん、もしくはファンが性犯罪などで世間をにぎわしたら、自分はその作品をいつまでも好きでいられるだろうか…と。明治の剣客を描いたあの人気作。歴女の皆さんも大好きなはずです。この人気漫画家の作品は、少年誌に掲載でアニメ化、実写映画化もされ、女子中学生や女子高生のファンも多かったはず。ファンレターもたくさんきたでしょうね。でも、尊敬する作家先生が、自分と同年齢の女子に対しゆがんだ感情を抱いていたと知ったら、彼女たちはどう思うのでしょうか。自分の作家名よりも、作品の知名度やキャラクターの人気が独り歩きしてしまって、ファンも制作者も、互いに幻想の付き合いをしている現象がひきおこした悲劇といえなくありません。お金を持っているおじさん・おばさんに惹かれて付き合ってみたいな♪という女の子・男の子たちもいるかもしれませんが、そういう大人は、あなたのことをひとりの人間としてではなく、ただの「つごうのいい奴隷」としか見ていません。不二子ちゃんに弱いルパンだって、「カリオストロの城」で、クラリスに迫られたときにお断りしていますよね? 昔のアニメには、まだそれなりの品格があったのではないでしょうか。

最近ではLGBT市場の高まりもあり、表現の世界では性の表し方もオープンになっています。
けれど、国際的にはどうか。女性客や外国人観光客への配慮もあって、コンビニや大手スーパーでは、女性のヌードが載った成人雑誌を置かなくなるそうです。これを、フェミニストたちの横暴(私は女性だけの権利を主張するフェミニストは嫌いですが)とか、性的な表現物を遠ざけると男女交際が進まず、少子化になってしまうという論者もいますが、果たして、そうでしょうか。

私は、アニメや漫画が好きでしたけれど、いまや数百兆円産業と言われるこの負の文化がもたらした反動は大きいのではないでしょうか。
日本では結婚しない若者が増えています。もちろん、結婚は個人の自由で強制されるものではない。未婚者があげる結婚しない理由のナンバーワンは「適当な相手に巡り会わないから」です。これを2017年11月26日読売新聞朝刊は、勤務先での残業や休日出勤などで余裕のない暮らしのせいと指摘しています。年収300万円以上と以下とでは、既婚者の割合も大きく異なるといいます。

しかし、それだけが原因でしょうか?
結婚したくない人の裏には、異性と付き合いたくない、めんどうくさい、一人が居心地いい、というヲタクならではの身軽さへの依存があります。お金がない、なら自分がもっと稼げばいいのに、一向に自立しようとしない。30歳過ぎて勤めてはいるが親元にいて生活費を家に入れていませんし、親に年金保険料や育英会の奨学金を払ってもらったこと、車や家を買ってもらったことを自慢するような人までいます。政府が子育て支援に躍起になっても、あまり出生率は向上しないでしょう。すでに、人口のボリュームゾーンであるバブル末期・就職氷河期世代は非正規や低所得会社員が多く未婚者多数ですし、さらにその親世代の団塊の世代じたいが出生数を少なくしてきたのですから。結婚適齢期である20~30代前半世代にばかり発破をかけるのは、理不尽です。むしろ、いまの新卒世代のほうがきちんと就職活動しているだけ、まともといえますね。

最近のアニメってかならず疑似恋愛要素がありますし、お色気をぜったい入れていますよね。アイドルや声優も、そもそも仮想の恋人として40歳近いタレントを売り出しています。偶像は、自分にとっては、実に都合のいい存在です。だらしない生活を送っていても文句を言わないし、まちがったことをしても叱られないし、優しい言葉や希望ある展開しか用意しませんから。百合アニメなんかに浸っていたら、異性に対する理解が衰えてしまうのではないか。

結婚できない筆頭は「昭和の男」と「ピアノお嬢さん」(ダイヤモンド・オンライン 2016年8月23日)
母親が専業主婦だった世代のモラハラ気質男性、教師や芸術家肌で世間知らず、理想が高い女性。親に強いられた価値観を他人に合わせられず、相手に押し付けてしまう。親から自立していないので、自分の主張が非現実であるかを理解していない。

「生身の女と付き合うのが怖い」男たちの実態(東洋経済オンライン2017年11月27日)
結論は、コミュニケーションを勝ち負けで判断しない。相手からどれだけ尽くしてもらったかで愛情を図ろうとする。男性だけでなく、女性でも多いでしょうね。


性犯罪が多いのは、アニメや漫画のせいだ、と原因づけるのは短絡的といえます。
しかし、ファンタジーばかりに浸っている人は、現実を打開しない、仕事で成長したがらない、公共心がない、キャリアアップのために自己投資しない、賭け事や趣味的な仕事で楽して稼ぎたい、という傾向があるため、勤労意欲が低く、低所得のままで、将来貧困に陥りやすいと言われています。たとえば、二次創作の同人誌で儲けたいというのも、他人の著作権を無償で借りて(原作を知らずにネットだけの情報集めでワンパターン展開の同人誌ってありますよね…)利益享受していることになりますから、一般人からすれば、うさんくさいビジネスですよね。失礼な言い方ですが、アニメや漫画のようなのっぺりした実在感のないものに慣れてしまうと、同年代やそれ以上と交流できず、精神年齢が近く、素直でおとなしい子どもたちへ愛着すると考えられます。男女問わず、幼児を対象にした犯罪者でまともな人はいませんし、子どもだから若くてかわいいからと可愛がられて、年齢にふさわしい成長をしてこなかった人は、中年期以降に、独身か既婚かを問わず、かなり醜い顔をした人間になります。人間のえげつなさや艶物だけを描き切っている作家さん(とくに女性)で、いい顔つきの人はいません。妄想の相手や、同業界の狭い人間としか交流しないからです。

性犯罪や青少年向けの犯罪となるとたいがい男性が槍玉にあがりますが、刑法が改正されて、男性の被害者でも告発されやすくなっています。つまり加害者が女性であっても、もしくは同性間の暴行であっても違法になります。たまに、女性らしき人がSNSで危ない発言をしていてあやふやしますけれど、ご家庭の躾も甲斐のないものになっているのでしょうか。

このブログで紹介するアニメや映画、小説のなかにも、少年少女向けの暴行や同性間の愛情のない行為を描いた部分が含まれているものがあります。もちろん、それらを好むから、観たからといって、即犯罪者というわけではありませんが、その負の文化に触れることによって、自分の人間に対するものの見方がゆがんでいないか、は冷静に見極める必要がありますよね。

繰り返して言いますが、本稿は自虐を含んでおります。
ただ、上の関連ニュースに反論したいですが、未婚・既婚かかわらず幼稚な人はいます。どんなに高年収でハイクラスの人でも、性格に問題がある人はいます。私もいい年こしてアニメにハマりなおしたりしなかったら、もっとできた仕事の勉強とかあったんだろうなと後悔することが多々あります。

『自営業の老後』という本がありますが、これはバブル時代に大当たりしたが、いまは貧困にあえぐ漫画家さんの体験談です。かつて1000万円ほどの収入があったのに、国民年金に加入したのがなんと50歳過ぎてから! 勧められるままに民間生保の貯蓄型保険などに契約をしてしまい、途中解約して損をしています。作家や漫画家、芸能人などに憧れる若い皆さんに言いたい。過去の華やかな成功モデルにこだわっていると、自分の人生を見失います。私の知人でも、漫画家になりたいと言って上京したまま非正規で働きつづけるひとがいます。人生の選択は個人の自由ですが、稼げない自営業者や、無職、非正規の人が増えると、国民健康保険財政が悪化し、無年金・低年金も増えます。まともに会社員や経営能力のある事業主が労働生産能力を上げたとしても、共倒れになります。作家や漫画家などは過当競争が激しくて業界が疲弊していますし、出版業界は再販制度に守られ過ぎています。

アニメや漫画という文化を優良な資産にするためには、表現の基準を設け、酒・たばこのように課税して、その一部を子育て費用に回してほしいですね。最近は人気アニメや往年の名作漫画などがパチンコの絵柄にも採用されていて、ギャンブル依存症の温床にもなっており、実に嘆かわしいことです。自立できない創作者はいつまでもその仕事にしがみつかせないで、介護や保育、医療業界など人手不足分野へ職種転換を促すなど、再就職支援が望まれます。アニメや漫画が好きだからこそ、もっと健康的な社会との関わり方をする文化になってほしい。


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