陽出る処の書紀

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神無月の巫女精察─かそけきロボット、愛に準ずべし─(十一)

2015-10-18 | 神無月の巫女感想・二次創作小説

ロボットアニメとしての「神無月の巫女」を各話ごとに再考するレヴュー。今回はその四回目です。
ほんとうは四話ずつ三段構成でまとめるつもりだったのですが、最終話のみ考察が長引いたので分けることにしました。

ところで、この最終回までご覧になった方には明らかになりますが、神無月の巫女というアニメが少女漫画にはひじょうに受けのいい、転生ものであることがわかります。ロボットアニメで転生ものという掛け合わせならば、一万年と二千年前から愛してる~♪でおなじみの「創聖のアクエリオン」(概要を知ってるだけで、視聴したことはないんだけど、人気あるらしい)が思い浮かびますけども、他にもあるのでしょうか。転生といっても、巫女ふたりがその運命を課せられているだけで、オロチ衆もロボットもそのまま転生はしないらしいです(原画集で、時代が違えばロボットではなく別の武力が攻撃してくる云々書かれていたはずなので)。



十二話:神無月の巫女
「手渡されたのは血まみれの真実。悲しくて残酷な神と輪廻の物語」。最終話の予告にすべてが集約されていますが、アメノムラクモによって、ヤマタノオロチを封印した巫女に課された悲しい宿命が、瀕死の千歌音の口から訥々と洩らされます。姫子はところどころ、この真相に近づく映像の断片をよみがえらせていたはずですが、なぜか先に記憶の全容を取り戻すことはありませんでした。姫子は前世のほかに、現世においてもさまざまな重いトラウマを抱えていたために、それだけを思い出しにくかったのかもしれません。しかし、姫子がほんとうに知りたかったのは千歌音の愛情。その問いに千歌音が出した答え。そして、姫子は…とこのあたりのめくるめく百合パート、いまさら書くまでもありませんし、また今回はあくまでロボットアニメとしての着眼点であるので、惜しいけれど割愛。また別稿にて。

相愛を確認した巫女たちはヤマタノオロチを脱出して、アメノムラクモの体内へ避難。そこへオロチの呪いをツバサによって解かれたソウマが、やはり復活したソウマロボで、邪神ヤマタノオロチをオロチを木っ端みじんに。ちなみに原画集の解説によれば、ソウマロボはこのときツバサ機の両翼を手にしてパワーアップしています。千歌音が月の社に封印されてしまったことで、世界は元どおりの平穏を取り戻します。オロチ衆もロボットからはなれ、平和に現代社会に馴染んでいる模様。しかし、そこは姫子の愛すべき人だけがいない世界。姫子は逢えるかもしれない運命の相手を待っている未来が描かれています。

ところで、本稿第一回で触れた薔薇の髪留めが、ここで思わぬ大活躍を果たします。たぶん、誰もが最終話まで、その存在をすっかり忘れていたことでしょう。
千歌音は、姫子にもらった月と陽のペンダントではなく、なぜ、これを後生大事にこんな場所まで持ちこんでいたのでしょうか。しかも、これは、そもそもソウマが姫子に贈ったもの。なぜ、わざわざ、これを返さねばならなかったのか。千歌音の気持ちとしては、ソウマの恋路をじゃまだてしたお詫びだったのか。今後は二人で仲良くね、とキューピッド役の意味でなのか。しかし、姫子は、あの鈍感な姫子にしては鋭いのですが、それを千歌音が差し出しただけで、姫子はすべて悟ってしまうのです。その薔薇の髪留めをひたすら隠していたことで、千歌音がどれだけ苦しんでいたのかを。

髪留めの薔薇はまさしく千歌音を苛んできた呵責の念の象徴、またいっぽうで薔薇はふたりを結びあわせる秘密の園を暗示してもいました。自分がソウマからのものを盗んだことを告白するなら、八話もしくは十話のラストの時点で、憎しみとともに投げつけ返せばよかったはずなのです。しかし、千歌音にはそれができなかった。ここでの薔薇の髪留めは、千歌音が「ソウマから奪ったもうひとつのもの」と同義の働きをしているのです。


神無月の巫女精察─かそけきロボット、愛に準ずべし─(目次)
アニメ「神無月の巫女」を、百合作品ではなく、あくまでロボット作品として考察してみよう、という企画。お蔵入りになった記事の在庫一掃セールです。

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