掲示板において、名無しさんより頂いたURLをもとに、ばんえいのトップジョッキーである鈴木勝提騎手のコメントを紹介してみることにする。
http://www.gracom.net/minnanokoe.html
ばんえい競馬騎手部会会長をしている鈴木勝堤という者です。我々はばんえい競馬の存続を願い、自らの生活の赤字を覚悟してまで、来年度の40%減の予算に賛同し、未来に向かっている矢先に、何の猶予も無く、廃止にされ大きな憤りを感じています。
今年度までの現行の組合の、達成不可能な予算での経営で、当然の赤字を積み重ねてきました。
今回、これまでの経営陣(組合)を廃止し、先ほど述べたように我々も生活苦を覚悟して来年度を迎えるつもりであります。そうして色々な努力をし、頑張って、それでも赤字となるならば、廃止もやむをえないという気持ちではあります。
しかし、猶予も与えられず、さらに、道新に見られるように、決定発表もされていないうちから、いかにも廃止したかのような報道ばかりが流されていることには、はなはだ失望させられました。
これまで、大きな実績を残した馬たち現役競走馬600頭余り、そしてこれから大きな期待を込められてデビューを待つ400頭以上の子馬たちも、廃止後の用途は食肉用しかありません。我々も家族もろとも路頭に迷います。
生産者の思い、馬主の期待、騎手の努力、厩務員の願い、調教師、関係者、そしてレースを楽しむファンの皆さんの気持ちが置き去りにされています。
どれだけの人が存続を願っているか、また、ばんえい競馬が、どれだけ4市に貢献してきたか。現に、ばんえい競馬が発足してからの売り上げ全額から比べれば、今のこの累積赤字は補ってなお、有り余るものでした。
その事実は一般の人々にはまったく伝わってないのではないのでしょうか?このばんえい競馬が魅力に乏しいとはまったく思いません。魅力が伝わらなかったのではなく、伝えることをしなかったのだと思います。
自分は騎手という職を失うことを恐れているわけではありません。ばんえい競馬を愛する一個人として、この競馬を失うことは許されないと思うのです。
ファンを始め、世の中の人達がこの競馬を失うことを本当に、望んでいるのでしょうか??
意味はよーく分かる。
しかし一方で、ばんばの廃止はもう、どうしもうないという声も少なくないのも「事実」。
北海道新聞より
ばんえい競馬 北見シリーズ終了 最終レースに1160人 【写真】 2006/11/28 06:54
【北見】ばんえい競馬の北見シリーズが二十七日、終了した。五十三年前、市営として始まった北見のばんえい競馬は、多くのファンが別れを惜しむ中、その歴史に幕を下ろした。
十月七日から十一月二十七日まで、延べ二十四日間開かれた北見開催の入場者総数は、前年並みの約二万一千人だったものの、悪天候の影響もあって馬券発売額は約十九億七千万円と前年より14%減と大きく落ち込んだ。
この日、地元では最後となる馬の雄姿を見届けようと、平日にもかかわらず、通常の二倍の千百六十人が入場した。
最終レースを見守った北見市の三原豊さん(70)は「赤字続きで廃止は仕方ないのかもしれないが、馬文化が消えるのは忍びない」と複雑な表情だった。
帯広シリーズは十二月二日から帯広競馬場で開幕する。
<写真:北見でのばんえい競馬を締めくくる最終レース。ゴール直前、ファンの声援に後押しされ最後の力を振り絞る馬たち=27日午後4時41分、北見競馬場(茂忠信撮影)>
毎日新聞北海道ニュースより ◇「寂しい」「思い出」「仕方ない」 寂しいが「仕方ない」といった声が割りと多い。 また以前ばんばをやってたけど、たまたまなくなるからといって久しぶりに来たというファンも少なくない。 つまるところ、ばんばにもう、魅力を感じなくなった人が多いということ。 そのあたりを履き違えてはならない。 私自身、ばんばを見出したこと自体、つい最近のことであり、実際に現場へ行ったのも3回しかないけど、積極的にインターネット投票で買おうという思いにもなかなかなれない部分ってのはあるね。 そもそも、前にも書いたが、とにかく、予想紙がないとどうしようもない。それがないと、とても当てることさえ難しいだろう。 確かに、ばんえい記念のレースのように、虚々実々の駆け引きがあって、いつどの馬が先に仕掛けるのか、といった探りあいに魅力を感じることもある。 また、競馬のハンデ戦以上の激戦レースになることもある。見るだけでも、確かに面白いことは面白い。しかし。 ばんばの特性というのか、例えば現在休養中ではあるが、ばんえい記念史上初の4連覇を達成したスーパーペガサスにしても、連戦連勝というわけでもない。特別戦を案外取りこぼすケースも少なくない。 普通、強い馬だったら勝ちっぱなしとなるのでは、となるのが筋だと思うが、ばんばはそうならない。 そうならないからこそ面白いともいえるのかもしれないが、そう思っているのは案外少数派ではないか。 逆に、昔のばんばのレースを見たり聞いたりしたことがないから分からないが、恐らく帯広競馬場の銅像にもなっているキンタローなどは、それこそ勝って当たり前ということになってたんじゃないかな。 人は強いものにあこがれる。強いものは絶対に強くなくてはならない。 さらに、これも掲示板で浦さんがこんなことを言ってくれている。 要は、競馬関係者の立場に立って考えたら、この事業は終わりです。いかにファンに興奮させ、熱くさせ、「次のレースで取り返そう」と思える環境にもっていくか。 レジャーの多様化で色んな選択肢がある中、地方競馬もただ単に知名度のない馬を走らせて、「馬券をこうて~~」じゃ~駄目です。 まさにその通りだろうね。 思うに、ばんばの調教師・騎手だけではないが、往々にして地方競馬の関係者が「満足」すれば客も自ずとついてくるみたいに思っているふしがあるようなきがしてならない。 しかしはっきり言わせてもらうならば、そういった考え方はある意味、「思い上がり」といえることなのかもしれないよ。 同じ「負ける」にしても、 「こんな展開で負けるなんて!」 と思われたらダメ。 「これじゃ仕方ないな」 と思わせないと。 ところが現場サイドは、2つの「違う負け方」を同じように思っているんじゃないか? そこが浦さんのいう、 「競馬関係者の立場に立ったら」 ということに繋がるんじゃないか。 でも、今更言ってももう遅いのか?
ばんえい競馬の廃止が確実になった26日、北見シリーズが行われている北見競馬場には、同シリーズ最多の2199人が駆け付けた。同競馬場のレコードの9910人(80年)には及ばないものの、廃止を惜しむファンの思いを見せつけた。
北見市の元国鉄職員、浜田明さん(79)は、25歳ごろに農耕馬による「草ばん馬」で馬券を買うようになり、60歳ごろまで「ばん馬」で遊んだ。その後もたまに競馬場に足を運んでいたが、「ばんえいがなくなる」と聞き、約15年ぶりに2人の息子と来場。1~12の全レースの馬券を買って記念にしたという。浜田さんは「20年以上も前、競馬場での抽選で乗用車が当たった。私がばん馬を始めたころ、重賞レースを甲馬と呼び、バンコウハやヤスヒラが強かったね」と思い出を語り、「長年のイベントだから、(廃止は)寂しいね」とため息をついた。
網走管内佐呂間町の田宮勝利さん(67)は「今年で終わりなので、特別な思いで来た。寂しいけど、赤字続きというから仕方ないんだろうね」と話した。
駐車場には1492台の車であふれた。駐車場の整理員をしていた神田正一さん(79)は「こんなに車が多いのは初めて」と、驚いた様子。神田さんは20代で馬券を買うようになり、80年ごろに馬の生産を始めた。現在も3頭を肉用と繁殖用に飼育中。「今まで15頭ぐらいは出走させた」と話す。ばんえいがなくなるのは寂しいが、「馬の生産には今後も頑張るよ」と、やる気を見せた。【高橋正博】