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大阪杯GI元年の今年、宝塚記念はなぜか「盛り下がり」

2017-06-23 09:11:47 | 競馬
少頭数の宝塚記念に見て取れる不安の萌芽改めて春古馬GI3戦を考える - スポーツナビ

和田章郎(競馬ブック編集部)2017年6月22日(木) 11:30

今春、大阪杯がGIに昇格。これによって関西エリアに春の古馬GIが3レース置かれることになりました。すっかり定着している関東エリアの3レース、すなわち天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念と続く“秋の古馬GI3冠”と対をなすシリーズと言っていいでしょう。

 その記念すべき“第1回目”の大阪杯を制したのが昨年の年度代表馬キタサンブラックでした。1億2000万円に増額された1着賞金を手にし、続く春2冠目となる天皇賞(春)もレースレコードで圧勝。春古馬GIシリーズ3勝馬に与えられるボーナス(内国産馬2億円)にリーチをかけて挑むのが、この25日に阪神競馬場で行われる宝塚記念です。

 この馬の走りに、新シリーズの成否がかかっている、と言ってもいいほど注目されて然るべきところなのに、2週前の最終登録時点でエントリーしたのは11頭。最終的にもこの頭数になりそうですが、GI勝ち馬はキタサン以外で3頭しかおらず、これはいかにも寂しい印象が否めません。

大阪杯GI昇格の意義

 かねてから噂されていた“大阪杯GI昇格”が正式に発表されたのは昨年秋。前述の通り1着賞金が1億2000万円に増額され、今年4月2日に“春の古馬3冠”の緒戦として新たな歴史を刻むことになりました。

“新設”ではない“昇格”とあって、売上の前年比が計上されたわけですが、売上約153億円は222.1%というのですから、大成功、のスタートになりました。

 この大阪杯GI昇格は、春の古馬戦線に2000mのGIがなかったこと、が要因としてありました。そもそもJRA全体で見ても2000mのGIは少なく、関西圏では3歳牝馬限定の秋華賞のみ。世界的に主流になっている2000m戦の扱いが小さい印象があり、中距離路線を歩む一流馬にとっては、春は選択肢が限られてしまっていました。

 それに伴って生じる事態――すなわち同時期に開催される海外GI競走への流出――を防ぐ意味も加わって、早急のGI新設案に拍車がかかるという背景もありました。


春3冠の課題点は

 中距離路線の充実という点では、一見歓迎すべき昇格ではありますが、昇格案が出た当初から懸念された課題がまったくなかったわけではありません。

“春3冠”を謳うシリーズの、まず開催時期。4月に大阪杯、天皇賞(春)が行われ、約2カ月近い間隔が開いて、宝塚記念は梅雨入り後の6月末です。このスケジュールが適当なのかどうか。

 そして何より、はたして2000m→3200m→2200mのシリーズが成立するのかどうか。つまりすべてのレースに出走する馬がどれだけいるのか、という点。“中距離”のカテゴリーから明らかに外れている天皇賞(春)が、どういう扱いになるのか。

 そうでなくとも長距離血統が隅に追いやられているステイヤー受難の時代。シリーズに組み込まれれば存在意義が復活する効果は見込めますが、ごく直近に2000mのGIがあるなら、逆に棲み分けが鮮明になり、天皇賞(春)の空洞化が進んでしまう可能性がないのか、ということです。

 今年の場合は、いまや“国民的アイドルホース”は言い過ぎかもしれませんが、しかし国民的演歌歌手の北島三郎氏が所有し、名実ともにJRAの顔とも言うべき武豊騎手がタッグを組むキタサンブラックの存在があまりに大きく、課題点が表面化することはひとまず避けられましたが、では来年以降はどうなるのか。その懸念……いや不安を拭うことができません。

 宝塚記念の少頭数に、その萌芽が見て取れる、とも思うからです。


春3冠の充実のためには

大阪杯、天皇賞(春)の2戦が終わって、最もガッカリさせられたのが、サトノダイヤモンドが早々に宝塚記念回避を表明したことでした。

 阪神大賞典をレコードとコンマ1秒差という出色の時計で快勝し、天皇賞ではキタサンブラックとの新旧菊花賞馬対決に敗れ、シュヴァルグランにも先着を許して3着に終わったものの、久々に“名勝負”を演じてくれました。それがレコード決着の、力と力の勝負だったゆえ、勝ったキタサンブラックを“現役最強”と持ち上げたメディアもありましたが、昨年の有馬記念でキタサンを破ったのは他ならぬサトノダイヤモンドです。応援しているファンにしてみれば「“最強”の称号は宝塚の結果をみてから」と言いたくなかったでしょうか。そういうファンの思いは、どこに向ければいいのでしょう。

 ヨーロッパ最高峰のレースで?

 それはそれで夢のある話ではありますが、でも一流馬の海外流出を防ぐ、という方の目的も達成されないどころか、加速させてしまうという皮肉なことになりませんか。

 最終追い切りを終えて、ますます“一強”ムードが強まる宝塚記念。今のところ登録した11頭全馬が出走を予定していますが、この思わぬ宝塚の少頭数が、他陣営が“一強”に恐れをなした結果か、あるいはGIが増えたことで使うレースの選択肢が広がった弊害なのか、はたまた日程その他、別の要因によるものなのか。

 その答えは、新しい動きがあった際の常ですが、すぐには判断できるものでもなく、来年以降に持ち越されます。

 新シリーズの初年度の今年、予定調和的に終わるのか、度肝を抜かれる結果になるかはさておくとして、とにかく国内GIを盛り上げ、充実させるには、何が必要なのか。熟考を重ねなくてはならないでしょう。

 しっかり前後左右、そして今後を見極める意味でも、初年度の結果を脳裏に焼付けなくてはなりません。



今の日本の競走馬にステイヤーと呼べる馬はほとんどいない。

それでも、春の天皇賞にいまだに一流馬が集結するのは、開催時期がいいからだし、また、賞金が最高峰だからである。

少なくとも、春の天皇賞は、マンハッタンカフェが勝った2002年まではステイヤー決定戦だったかもしれないが、それ以降は、「かなり変質したレース」となってしまった。

また、この辺りを境にして、春の天皇賞を回避して、海外GIに挑むとか、はたまた春は宝塚記念一本に照準を置くという流れが主流となった。

近時、宝塚記念は毎年豪華メンバーが集結し、去年は観戦したが、7万人を超える客が入った。要するに、春シーズンは宝塚記念が集大成のレースであるという陣営の認識が定着した、といえるだろう。

宝塚記念というと、20世紀末期の頃までは、回避馬が続出し、そのため、わざわざ宝塚記念専用のファンファーレまで公募するなど、盛り上がりを作るのに躍起にならざるを得なかった。

ところが、上記に示した通り、春の天皇賞が2001年あたりを境にステイヤー決定戦とはいいがたくなると、それに入れ替わる形でメンバーが随分よくなっていったのである。

そのきっかけは、2003年のシンボリクリスエスの「春の天皇賞回避、宝塚記念一本に照準」という、藤沢和雄調教師の「決断」からだと思うが、それ以後、この例に倣う陣営が続出した。

だが、さすがに宝塚記念までには半年もあるため、その間、どのレースを走らせればいいか、ということで、ドバイや香港のGIレースが間に挟まれるようになった。やがて、特にドバイの国際レースは賞金が高いので、春の最大の目標にする陣営も出始めた。

しかし、日本の馬の春の最大の目標がドバイというのは、中央競馬会からすれば、「本末転倒」ともいうべき事態である。そのため、毎年、マイル組と春の天皇賞組が集結し、レイティングが高い「産経大阪杯」のGIの昇格を申請。それが今年、晴れて通って、「大阪杯」として初のGIレースが行われることになった。

頭数は14頭と、ドバイ出走組がいたためにフルゲートとはならなかったが、それなりに見ごたえのあるレースが展開された。

よって、今年の大阪杯を踏まえると、宝塚記念も去年以上の盛り上がりが「期待されたはずだった」。

しかし、今年は少々異変が起こった。

かつての、「小頭数が当たり前の」宝塚記念に『逆戻り』してしまったのである。

これにはいくつかの理由が考えられる。

一つは、宝塚記念が大阪杯と同じく、「内回り」のコースであること。

おまけに、大阪杯とは200mしか距離が違わない。

さらに、宝塚記念の開催時期は梅雨の時期。

去年までは、春の天皇賞に出走したくない馬が宝塚記念だけを目標にできたので、少々時期的なものは我慢できたが、似たようなレースである大阪杯があると、どちらがいいか、と「取捨選択」せざるを得なくなるのではないか。

はっきり言って、大阪杯が2000mの内回りで行われるならば、宝塚記念は2400mの外回りにすべきである。

で、そうなると、春の天皇賞が3200mならば、せっかく2400mの外回りにしたところで、なおさら回避する馬が出てくるだろうから、やはり、春の天皇賞も2400mの外回りで行うべきではないか。

そうすれば、春の天皇賞で敗れた馬が宝塚記念で捲土重来、という考えもできるのではないか。

で、「消えた」、淀の3200m戦は菊花賞の古馬解放を視野に入れるしかあるまい。
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