週間レース2月5日号に、2008年次における競輪選手の級班別平均獲得賞金額が掲載されていた。
これによると、
S級S班( 18名)・・・8523万8890円
S級1班(271名)・・・2332万1438円
S級2班(562名)・・・1472万7115円
S級平均・・・1896万5364円
A級1班(869名)・・・1077万2351円
A級2班(903名)・・・ 885万7496円
A級3班(933名)・・・ 736万8859円
A級平均・・・901万3995円
全体平均・・・1145万3704円
S級全体の平均が、2000万円いっていないとみるべきか、はたまた、A級全体の平均が900万円を超えていることに驚きとみるべきか、ま、私見だが、前者のほうに驚きを感じる次第。
その上で、実質、旧B級のカテゴリーになったA3の平均が700万円を超えているという点については、「もらいすぎ」という声も少なくなかろう。
むろん、獲得賞金額が700万円を超えているとはいうものの、そのうちの4割近くが税金に消えるから、実際の手取りというと、 平均で500万円もいかないだろう。
しかしながら、例えば、S2とA3の実力差を考えた場合、それこそ大相撲で例えるならば、幕内・十両クラスの「関取」と序の口、序二段ほどの違いがある。にもかかわらず、S2の平均は、A3の倍程度でしかない。大相撲において、関取の給金が、序の口、序二段の倍レベルでしかないなんてことはありえない。
また、全体の平均獲得賞金額は1000万円を超えているが、この数字は、日本のプロスポーツ選手の中では、競艇、オートレースに次ぐものであり、近年は高騰化が著しい、プロ野球選手でさえも、選手全体の平均年俸は恐らく1000万円すらいっていまい。全体の裾野が広く、プロ野球選手になるだけでも至難の業、というのに、現実は一握りの選手にだけ高給が与えられている、ということになる。しかも、せっかく入団しても、10年間プロでいられる選手はほとんどいない。
競輪選手の場合は、一定の競走得点に達してさえいれば、20年、30年と選手を続けられる環境にある。確かに、中には50歳を過ぎてもS級選手でいたり、A1選手という選手もいるけど、A2、A3レベルの場合、デビュー2年以内の選手を除くと、大半が、選手としての盛りを過ぎた30代後半から40代といった年代。つまり、肉体系スポーツ選手としては、とっくにお引取り願ってもらわねばならない年代の選手の、いわばたまり場になっているのである。
彼らの大半は、20代では優勝経験もあって、しかもソコソコ稼げているが、30代に入ると稼ぎが減り、 最終日は決まって負け戦をウロウロとしている。少なくとも、そんな選手たちにプレーする道が与えられているのは、肉体系スポーツでは競輪ぐらいなものだろう。
そして、A2、A3選手の平均獲得賞金額を見て察する限り、彼らに年間、少なくとも100億を越す賞金が支払われている。
もしこの100億をS級選手にまわすことができれば、S級選手の平均獲得賞金額は3000万円近くになる計算になる。しかも、競輪は今や、S級でないと売り上げが期待できない現状、と考えると、果たして、A2、A3レベルの選手を抱えている余裕が果たしてあるのか、ということを考えねばならないと思うのである(以下、次号)。