心理学者のワトソンが行った有名な心理学実験があります。
昔アメリカに、アルバート坊やという生後11ヵ月の男の子がいました。
ワトソンは、恐怖を引き起こす原因を探るために、白ネズミを使ってある仕掛けをしました。
アルバート坊やが白ネズミに手を伸ばそうとしたとき、いきなり「ガーン」という大きくていやな音を聞かせました。
するとアルバート坊やはびっくりして泣き出しました。
このことを繰り返すと、最初はネズミが平気だったアルバート坊やは、白ネズミを見ただけで怖がって泣き出すようになり、
更には、ネズミだけではなく、白ウサギや白い毛皮、男性の白ヒゲなど
白ネズミから連想出来るものまで怖がるようになりました。
この実験結果からワトソンは、
『恐怖(症)は、
後天的な学習(条件付け)によって作り出される』
と主張しました。
つまり、いやな音と白ネズミがアルバート坊やの頭の中で結びつき、「恐怖の条件づけ」が起こったのです。
たとえば、海でおぼれかけた子どもは、浅いプールやお風呂に入ることさえ怖がることがあります。
また、お医者さんで痛い注射をされた後、歯医者さんや、白衣を着た人すべてを怖がるようになるのも同様です。
恐怖症のメカニズムは、
いやな経験と感情が結びつくことによって(恐怖の条件づけ)、平気だったことが苦手になったり恐怖になるということ、
そして、怖がる対象がさらに広がり、恐怖の感情や辛さを伴う身体的な症状が強化されていくということです。