◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆ 豊かでまろやかな音

2009-03-27 09:08:04 | 呼吸
先週、水曜のあおば音楽ひろば、そして日曜のデュオコンサート
にご来場くださった方々、どうもありがとうございました!

どちらのコンサートも、お客様が本当にあたたかく・・・
始まる前までは色々と心配もあったのですが、いざ舞台にたつと
お客様の笑顔にとても安らかな気持ちで音楽に集中ができ・・

毎回ながらやはりコンサートというものは、演奏者と聴衆の
一体でつくられる芸術空間であることを実感させられます。

この場を借りて、心からの御礼を申し上げます。
ありがとうございました!


さて、今回は初めて本番前に風邪をこじらせてしまい、
咳との闘いを強いられたわけですが・・

水曜と日曜、日曜には相当風邪が回復していたこともあり
二つの舞台を比べ、豊かでまろやかな音には、
胸式と腹式を両方使った「mix呼吸」の重要性をあらためて
痛感させられました。(ケガの功名・・)

水曜は、気道が炎症を起こしていたので、ちょっとでも息を
いきおいよく吸うとむせるので、胸郭の力を借りれず
仕方なしにお腹の支えのみで頑張らなければなりませんでした。

やっぱりフルートのあのまろやかな響きは、
胸郭の空間なしにつくられない・・・

胸郭の助けがないとたくさん息を吸えないので、
それだけ音も浅くなるし、伸びないのですね。


ここで一つ思い出したのが、フルートの巨匠P.L.グラーフが、
彼の公開レッスンのときにまず最初にテーマにしたこと、

それが、「胸郭、拡げられますか?」だった。


彼の著書・・・というか、フルーティストに必要不可欠な
20のベース練習を巧みにまとめあげている優れた教本、
「Check up」の1番2番には、まずその練習がきています。

1番が「腹式」のみを使った息吸い、音だしの練習

2番が、お腹だけでなく、胸郭も使った「フル呼吸」
(または「mix呼吸」)を使った練習


最初、グラーフさんからこの言葉が飛び出した直後の私は
どこのどの筋肉をどう使えば肋骨を動かせるのか・・!?
私の胸郭はまったく動いてはくれませんでした。

具体的には、肋骨の下のほうが、肺の拡がりに合わせて柔軟に
動く・・そこを拡げるような感覚なのですが、
当時の私の胸郭は、うんともスンとも言わず。

その日から、鼻で息を深く吸ったりして毎日練習。
(そうすると胸郭がぷわ~と膨らむ感覚を容易に得られます。)

そうこうしていくうちに、やっぱり筋肉関係は毎日の積み重ね、
いつの間にかコントロール可能になりましたが・・・


よく、自分自身にも、生徒さんにも、楽器を構えて音を出す
その前に、一呼吸おくことを重要視しています。

落とし穴になるのは「楽器を吹くのに姿勢をよくしないと」と
背筋をピンと伸ばしてしまうことです。

もうこれだけで実は、上半身が上ずり、背中の腰のあたりの
筋肉が縮みます。なので、一番拡がることが可能な、肋骨の
下の方の動きを遮ってしまうのです。

胸の前面はある程度拡がれますから、そちらは使えますが・・

けれど、本当に肺の拡張能力を最大限に引き出すためには
ピンと姿勢を良くしない!?胸も背中もほどよくゆるい、
構えの姿勢というのを考え、つくらなくてはなりません。


取り掛かり始めは、体の筋肉的にもまだ未発達状態なので、
最初はとても忍耐がいることですが・・

まろやかで豊かな音を目指すには、一見遠回りでも、
音を出してその音をつくろうと試みる前に、
呼吸の体の状態を見直してみることはいかがでしょうか。


追記:グラーフさんといえば、4月に来日されますね!
この「Check up」等彼の著書を使った講習会もあり、
久々に彼の生の言葉・・しかも御歳80歳の熟練の極み!
とても楽しみです。またご報告します♪


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◆ 3月22日(日)フルートデュオ&ピアノ コンサート in 横浜美術館

2009-03-19 09:17:13 | コンサート情報
やっと、春ですね!
冬は寒さでやはり、どうにも楽器も体もすぐは温まらず、
音程が中々あがらなかったり、音の調子がのらなかったり・・
なんてことからも、これで解放!?


昨日は、青葉区役所でのお昼のミニコンサートで演奏しました。
たくさんのお客様のご来場、心からの御礼を申し上げます!

最高のお天気にも恵まれ、
ベートーヴェンのソナタ 《スプリング》、そして
日本の「春」と題した 《さくらさくら、花》 も気候にピッタリ!

コンサートって本当に、演奏者だけでつくられるものではなく、
演奏者とお客様が一体となってつくられるもの。

青葉区、私がもう生まれてからずっと育った町です。
緑が多くて、町がきれいで・・・

昨日のお客様は、昨日の陽気のように本当にあたたかく、
あんなに心地よく安心して演奏できたのは、感動です!

実は終わったから書きますが、私は今風邪をこじらせてしまい、
咳が止まらずに昨日は不安要素がたくさんでした。
もし昨日の演奏を「良かった!」と感じてくださったなら、
それは間違いなく昨日のお客様から引き出された力です。

青葉区で育ったことを、昨日は本当に誇りに思いました。

今後も、育った町で、どんどん演奏に携わっていけたらいいなと
心から願っています。

昨日は、終了後に地元FMラジオのインタビューを受けました☆
演奏と共に、来週オンエアだそうです。
(しかし、ひどい風邪声がそのまま放送されちゃう・・)

青葉区の方、もし放送がお耳に入ったらよろしくお願いします♪


◆◇◆

さて、春日和に寄せて、今週末の連休最後の日曜日に、
横浜みなとみらいは横浜美術館内のレクチャーホールにて、
帰国後初試みのフルート2本&ピアノによるトリオコンサートを
開催いたしますのでここにご案内いたします。



今回のコンサートは、何より私自身が一番わくわく、
楽しみに待ち望んでいるかもしれません。

自分で言うのも変ですが・・
それは、今回のパートナーにあります。


人生、たくさんの素敵な出会いによって成り立っています。

毎回毎回新しい出会いがあるたび、この、人と人が出会う「縁」
というすばらしい奇跡に、喜ばずにはいられません。

そしてそんな数ある出会いの中に時折一際輝く、運命の出会い。

今回のコンサートで一緒に演奏するチェコ(紀子)ちゃん、
私にとって、彼女と初めてフルートの音を合わせたときが、
まさにその運命を感じた一瞬でした。


彼女との出会いは、元々は、私がドイツ留学が決まったときに、
それまで教えていたフルートのレッスンの後任の先生として、
ちょうどチェコの留学から帰国した彼女が引継ぎにあらわれた、
そんな小さな一瞬の出会いでした。

けど・・
「縁」って不思議ですね。たったそれだけの小さな出会い、
しかも私はその後ドイツへ渡り・・・

でもなぜか気になって、ドイツ滞在中も一時帰国中に一緒に
フルートでデュオで遊んだりして。

彼女と一緒に演奏していると、知らずと吸い寄せられるように
音楽に没頭していくのです!

その時は、そんな不思議なピッタリフィット感(!?)を
単に漠然と、奇跡的な波長のシンクロと思っていたのですが、

そんな折にちょうど私はドイツで、ファゴット奏者の先生から
アンサンブルの真髄を厳しく厳しく(笑)特訓されている最中で・・

そして、わかりました。
彼女がアンサンブルにとても大切な力に秀でていることを。


アンサンブルはただ音を重ねて楽しむだけでなく、アンサンブル
にはアンサンブルの、大切な演奏注意ポイントがあります。

その最たるものが、
自分の楽譜だけにかじりつかない「アイコンタクト」であり、

また曲中において、常に
自分がここをどうしたい、という波長を相手に発しながらも、
また相手がどうしたいのかという波長を察知しようとする・・

チェコちゃんは、その感覚がすばらしいのです。

それでいながらも、また勉強姿勢がすごい。

演奏者同士がアンサンブルをするとき、互いの思っていること
を言い合うのは、正直書きますが時折難しいことがあります。

音楽そのものと向き合い、その音楽をより良いものに深める
ためには、本来はそれは越えなければいけない壁ですが、
でもお互い人間ですから、やはり難しく敏感な問題です。

だけどチェコちゃんの、「気づいたことは何でも言って!」
というまっすぐな姿には、本当に尊敬しきり。


現在彼女は長野に住んでいるため、一緒の練習は本当に数える
ほどしかできませんが、それでも、毎回本当にゾクゾクするほど
(という表現が一番しっくりきます)

互いに”ここはこうした方がいいんじゃない!?”と言い合い、
「音楽を創る」楽しさ・面白さに、
今の私は子どものようにワクワクしています。


チェコちゃんは実は、あと数ヶ月で海を隔てた遠いヨーロッパ、
チェコへの移住が決まっています。

ということで、今回は一応は、最初で最後のデュオなのです。

同じ国内にいれば、いくらでもシリーズ化してやっていきたい
ですが、離れてしまうとやはりそう簡単にはいきません。

なので、今回はこの一回がかけがえのないものとなるよう、
本当にどれもメインになるような曲たちを、精力的に
すべてすべて一気に盛り込みました。

こんな本気のアンサンブルを、皆様に楽しんでいただけたら、
演奏者一同、幸せです。

当日券も今回は用意してございます。
春日和の連休、同じ波長で響く二つの笛の音とピアノの
アンサンブルを愉しみに、ぜひ足をお運びください!


◆3月22日(日)【開場】13:30 【開演】14:00

◆横浜美術館レクチャーホール
 (ランドマーク隣:桜木町駅、みなとみらい駅より徒歩)

詳しいプログラムは、HPをご覧くださいませ♪
HP(http://yori-fluteworld.com/default.aspx)



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