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埼玉にいまも息づく100年住宅は土台にクリ、柱にヒノキ、ケヤキ、スギ、梁にマツ、ケヤキと適材適所

2017年06月19日 | studywork

2003「現代に活きる100年住宅」 埼玉県木材利用推進室
 2003年、埼玉県農林部木材利用推進室から、「木づかい夢住宅デザイン事業」の実行委員会委員を依頼された。日ごろから「木の国日本」を話していたのが伝わったらしい。事業は2004年からだが、いま製作中の「現代に生きる100年住宅」についての感想も依頼された。すでに埼玉を始め、各地の古民家を訪ね歩いているから、日本の古民家は管理を怠らなければ100年を超えて住み続けられのを実感していたので、引き受けた。冊子の目的、古民家選定基準、ページ構成、見どころなどについては部外者なので、ゲラ刷りに目を通したうえで、一般論としての所感をまとめたのが以下である。

 日本人は木と共に生きてきた。それは、日本がアジアモンスーンに位置し夏に雨が多いことや、日本の地勢が脊梁山脈によって特徴づけられ山と川と海に恵まれていること、地層が比較的新しく腐葉土に富んでいることなどが背景にある。こうした風土が日本人の生き方と住まい方を決定づけた。
 日本に定住した人々は、木をつかった住まいをあみ出した。吉野ヶ里遺跡、三内丸山遺跡が木の住まいの始まりを証明する。以来、えいえいと日本人は木の住まいに取り組んできた。田の字型間取りは、日本の風土と木の特性を最大限に活かした住まいの典型である。

 埼玉でも同様で、秩父の山並み、山に端を発する川に沿った台地と続く平地の特性を読み取りながら、豊かな県土を活かした暮らしと住まいがつくられてきた。住まいの典型は木材をふんだんにつかった田の字型間取りやその発展形であり、いまも歴史と伝統を証す数多くの民家が県内に分布する。
 本書にはそのうちから「現代に活きる100年住宅」にふさわしい民家が収録された。まだまだ、掘り起こせば多くの民家が見つかると思うがそれは次の課題になろう。
 収録された事例をていねいにみていくと、使用木材がマツ、ケヤキ、ヒノキ、スギ、クリなどに限られていることに気づく。ケヤキやクリが目立つのは県土の反映であろう。使用部位をみると、土台はクリ、柱はヒノキ、ケヤキ、スギ、クリ、梁はマツ、ケヤキが多い。適材適所、木の特性を活かした建築技法がうかがえる。
 写真からも、入口土間の黒光りするたたきの上に組まれた豪快なマツの小屋組、座敷の上がり際の堂々たるケヤキの大黒とケヤキの差し鴨居の圧倒するような構え、続き間を構成するヒノキやスギのよく手入れされた柱やクリの床柱など、背景にある豊かな県土、すぐれた木造の技法、家族の住まいへの愛着と気づかいが伝わってくる。

 家族の方々は、愛着のある住まいを大切にしたく、異口同音に、風を通し、囲炉裏で火をたいてきたという。木が豊かであることの裏返しの湿気を防ぐ労苦があればこそ、100年住宅が現代に生き続けることができたことを改めて実感した。こうした工夫や知恵を新たな住まいづくりに反映することが県産木材の利用推進につながる、と確信する。

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