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2007年埼玉県産木材利用推進を図ろうと「埼玉の木の家・設計コンペ」が実施された

2017年02月24日 | studywork

2007 「埼玉の木の家・設計コンペ」 埼玉県産木材利用推進 /2007.12 フルページ、図はホームページ参照。
コンペ趣旨

 「こんな家に住みたい!埼玉の木の家・設計コンペ2007」に大勢の方から応募をいただいた。・・略・・
 このコンペは、埼玉県・木づかい夢住宅デザイン事業実行委員会の主催による「埼玉の木の家デザイン事業」の一環として、2004年度から実施している。
 このデザイン事業の狙いは、埼玉県内の森林で生産された木材を使用した良質な住宅の普及(木づかい夢住宅デザイン実行委員会規約第2・目的)である。
 2004年度は「埼玉の木を使った家づくりの夢」と題し、県民から寄せられた様々な家づくりの夢から5点を選び、それを建築設計のプロにデザインしてもらう形式ですすめた。県民の家づくりに寄せるさまざまなアイデアを拝見し、楽しく審査を進めさせていただいた。

 翌2005年度の実施について実行委員会で議論を重ねた結果、建築を志す学生達に県産木材を利用した家づくりのアイデアコンペを行えば、県産木材を利用する建築設計者の育成につながるとの意見に集約された。そこで「埼玉の木の家設計コンペ」と題し、学生の部、一般の部に分けて、設計コンペを実施することにした。
 2005年度は市街地に建つ住宅を想定したコンペ、2006年度は里山などの田園景観に配慮した住宅の設計コンペを実施した。

 2007年度の設計コンペについて実行委員会で検討した結果、・・略・・ 設計課題は「花と緑の田園都市にふさわしい子育て世帯向け住宅」とした。
 ・・略・・
審査経過
 審査は公平を期すため、応募者を匿名にしたうえで、審査会を公開で行ってきているが、埼玉の木の家の魅力をより広く理解してもらい、あわせて建築を志す学生達に県産木材を利用した家づくりへの関心を高めてもらうため、審査会を11月の日曜日に公開で開くことにし、応募者へ連絡を行うとともに、新聞社等へ記者発表した。
 当日は、新聞1社、学生1名、一般4名の傍聴があった。さらに大勢の方に参加してもらうための工夫の余地があるが、参加された方からは、「公平な審査だ」、「さまざまな木づかいのアイデアに触れられ楽しかった」など、好評であった。

 ・・略・・ 審査基準は、設計課題「県産木材を使った、花と緑の田園都市にふさわしい子育て世帯向け住宅」に的確に応えているか、である。
 言い換えれば、県産木材の活かし方、県産木材利用の拡大につながるアイデア、花と緑の田園都市に配慮した住まい、子育て世帯のライフスタイルを提案した住まい、が評価される。とりわけ応募要領には、10才未満の子どもがいる家庭を想定し家族構成を明記、花と緑の田園都市にふさわしいと思われる埼玉県内の地域を選定し場所を明記、第1種低層住居専用地域(建ぺい率50%以下、容積率80%以下)県産木材の使い方やユニークな工夫を表現、などが規定されていて、これらも審査では配慮された。

 審査基準のどこに重点をおくかは審査員によって異なる。そのため、全員が合意できるまで議論がくり返されることになる。議論のたびごとに応募案が詳細に検討された。そして、予備審査で選考された作品、および追加選考された作品から、学生の部14点、一般の部4点に絞り込まれた。
 ・・略・・ 最終選考は、改めて1点ずつ議論を重ねたうえで投票を行った。その結果、学生の部では「森の家の小さな主役たち」が満場一致で選ばれ、「コドモノ遊ビ場」、「花廊の家」が高得点を得た。
 その他の作品の得点は低く、この3点について意見を交換し、前者を最優秀賞、後者2点を優秀賞とした。一般の部では「北見の庭の住宅」が満場一致の得点、続いて「埼玉スタイルの家」、次いで「庭的家」と「木と人と樹を結ぶ住まい」が同点となった。これら4点について意見を重ね、最優秀賞を「北見の庭の住宅」、優秀賞を「埼玉スタイルの家」、後者2点を特別賞とすることにした。

 2007年度の審査を終えて感じたことは、入賞者を始めとする多くの作品が設計課題を十分に吟味し、県産木材活用のアイデアや花と緑の田園都市にふさわしい住まい、子どもがのびのび暮らす住まいなどについての優れた提案を盛り込み、さらには図面表現にも工夫をこらしていた。
 ・・略・・
最優秀賞:学生の部「森の家の小さな主役たち」
 予備選考で最上位、最終選考では満場一致で最優秀賞を得た作品。設計内容や表現にはまだ未熟な点もみられるが、若々しさが図面全体にあふれ、審査員を引き込んだ。設計課題である木材活用のアイデア、田園都市のとらえ方、子育てライフスタイルの提案のいずれも真摯に読み解き、斬新な発想を提示している。
 コンセプトは子どもの五感の触発で、そのために森の家を提案している。そのシンボルが、大きな吹き放しの空間ににょきにょきと立つ4本の皮付きの丸太柱である。
 これは大黒柱をイメージさせる構造体でもあり、住まいの安全を暗示させる。子どもたちは森の木を登るようにこの丸太柱をよじ登り、木に寄りかかって安らぎを感じるように丸太柱に寄りかかって安らぐ。
 明かりは、森の中の木漏れ日を思い起こさせるような、丸太柱の枝に掛けられた照明からの柔らかな光である。窓を開けるとトトロの森からさわやかな風が入り込み、風にのって鳥の鳴き声が響く。平面を単純化したうえで、庭-デッキ、リビング-ダイニング、子ども部屋-寝室のレベルを変え、ダイナミックな断面空間を演出している。力作であり、今後の発展が大いに期待できる。(講評:I) 

最優秀賞:一般の部「北見の庭の住宅」
 予備選考で最上位、最終選考では満場一致で最優秀賞を得た作品。これは十分に熟慮された作品であり、模型写真を使った表現も群を抜いていて、審査員の注目を集めた。
 埼玉県内の具体的な場所が明記されていないハンディがあったが、優れた提案がハンディを上回った。住まいは東~南の境界線にあわせてL型の平面になっている。
 つまり、庭が北・西に配されている。これがテーマの北見の庭である。
 樹木は太陽の日を浴びて生長する。一見どこから見ても同じような表情に見えるかもしれないが、樹木には表・裏ができる。
 北見の庭の樹木は、住まいから眺めるとまさに意気盛んな樹木の表を見ることになる。樹木の生き生きとした様子から元気を授かる暮らし、ここに提案の真骨頂が隠されている、と思う。
 屋根には間伐材の活用を図ると同時に、軽やかな空間を演出するため、小断面の梁を扇状にかけ、剛性を高めるためにシェル構造を採用したうえ、柱をV字形に配置し、軽やかさを強調している。気品に充ちたデザインで、高い評価となった。
 しかし、構造を補強するために挿入されているRC柱が気になる。これを、鉄骨などで補強した集成材に置き換えてくれれば、設計課題の意図に合致するのだが惜しまれる。(講評:I)

優秀賞:学生の部「コドモノ遊ビ場」
 比企郡小川町に敷地をとり、豊かな自然環境の中に、アスレチック公園のような住宅をつくろうという提案である。平面の中心部分に設置された階段状の遊具的な装置、リビングからバルコニーによじ登れるネット、子供室横の吹き抜けに吊り降ろされたブランコ、屋外にはつり橋やターザン。住宅にこどもたちのためのプレイルームを設けるというよりは、まさにアスレチック公園の一部が住宅になったような大胆さが評価された。
 安全性の問題もあるので、遊具としてのディテールをもう少し丁寧な提案、日常生活と子供たちが遊びまわる空間の共存関係をより良いものにするための工夫、全体として明るいメリハリのあるプレゼンテーションなどがあれば、もっと高い評価を受けていたかもしれない。
 個人的には、こどもたちが遊ぶ場所が家の中にあることで、家族や遊びに来てくれる友達との関係が充実し、安全性が高まるのは良いとして、自宅から外に出る機会が減ることで、もしかしたら別種の閉塞感をつくりだしてしまわないだろうかという危惧ももった。(講評:R)
 ・・略・・

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