yoosanよしなしごとを綴る

つれづれなるままにパソコンに向かいて旅日記・斜読・よしなしごとを綴る

それぞれの国・地域の土着的な民家は環境に順応し健康性に優れたやさしい住まい

2017年05月11日 | studywork

 1998年に大宮ソニックシティビルの最上階にあったテプコソニックから住宅セミナーの講演を依頼された。宮代町・進修館で毎月開いていたスライドツアーがきっかけだったようだ。12の地域のスライドを用意して講演した。そのときの配布レジメを再掲する。写真がないと実感がわかないと思うのでホームページを参照。

1999 「自然にやさしい住まい方の知恵」 テプコソニック住宅セミナー
 風土はその土地に固有の環境を作りだす。人は風土のもとで生きる知恵を積み重ねてきた。その結果、その土地の環境に共生する住まいが形成された。素材の面から見れば、すべて身近な素材であり、住まいを廃棄すると自然に回帰する特徴をもっていて、はやり言葉でいえば環境にやさしい住まいである。
 景観の面からいえば、どの住まいもその土地に馴染んだ表現になり、風景との調和、家並みとしての調和が形成される。快適性の面では、通風性や断熱性、保温性、機能性が工夫されていて、住み易さが確保されている。人工的な環境制御にはかなわないが、エネルギー負荷は極めて少なく、自然素材による健康性に富んでいる。20世紀の限界が地球環境、健康な住まい、地域の文化のあらゆるところで露見している現在、先人が積み重ねた知恵と現代の技術を組み合わせた住まいの工夫が21世紀の潮流にならねばならないと思う。以下の典型的な住まいを話題に、21世紀の住まいについて知恵を語りませんか。
  
1.熱帯に暮らす/フィジー 竹+草
 南太平洋に位置するフィジーの伝統民家は、草屋根に、ヤシやシュロなどの葉を編んだアジロで壁を作る。壁には入口以外に窓はなく、アジロ壁の通気性で涼しさを得ている。部屋はワンルームで、屋根が高いことも涼しさに効果がある。
2.熱帯に暮らす/バリ 木+竹+草(瓦)
 赤道直下のバリ島では各部屋が独立した建物になっている。台所棟、寝室棟、客室棟などである。さらに各建物は、柱と屋根だけで壁はなく、最大限の通風を確保している。各室つまり各建物の配置はグヌングアグング山を背=聖とし、道路を表=俗とする。
3.熱帯に暮らす/タイ 木+草(トタン)
 タイのチャオプラヤ川では、川の上の住居を見ることができる。木造、草屋根を基本とし、移動は川の支流や運河を用い、炊事や洗濯も川で行われる。川はまた涼しさを運んでくれる。人は川の上のバルコニーで涼をとり、ときには川に飛び込み暑さをしのぐ。
4.平野に暮らす/合掌造り 木+土+草
 雪国では雪から住まいを守るため、また長い冬の間、室内で大勢の家族が暮らすため合掌づくりが作りだされた。太い柱と梁、茅葺きの大屋根、畳や板床、土壁、板壁の構成は素朴だが、雪に負けない力強さを感じさせる。世界遺産に登録され、保全が進められている。
5.平野に暮らす/沖縄・防風林 木+瓦
 亜熱帯に位置する沖縄は、同時に台風の被害も大きい。人々は屋敷の周囲を副木と呼ばれる屋敷林で覆い台風を防ぐとともに、入口にはヒンプンと呼ばれる石垣を設け強風の浸入を防いでいる。屋根にはシーサーを乗せ、守り神とする。
6.平野に暮らす/福建・土楼 木+土+瓦
 漢民族の一部は、匈奴の攻撃から逃れるため何度も移住を繰り返し、客家=よそから来た人と呼ばれるようになった。攻撃を避けるため団結し、外には閉鎖的な土壁、内には開放的な木造で円形集合住居を作りだした。ここには20~50家族が住みあう。
7.平野に暮らす/韓国 煉瓦+土+木+草(瓦)
 韓国は日本のように夏は蒸し暑いが、冬は大陸性の厳寒となる。住まいは夏の蒸し暑さと冬の寒さに対処するため、夏の空間/デチョンと冬の空間/アンバンを兼ね備えている。デチョンは風通しがよく、アンバンはかまどの廃熱が通された床暖房で快適である。
8.台地に暮らす/黄土・ヤオトン 土+煉瓦+瓦
 黄土高原は早くから漢民族が住みついたところで、かつては斜面に横穴を掘り住居とする方法があった。この方法が発展し、深さ7㍍ぐらいの縦穴を掘り、縦穴の四方に横穴を掘って台所や寝室、子ども室とする方法が今に続いている。室内の気候が安定し快適である。
9.台地に暮らす/南イタリア 石
 南イタリアのアルベロベロでは石灰岩が多く産出するので、人々は石の家を作りだした。壁には石灰岩の切石を四角く積み上げ、屋根は石灰岩の板石を円錐状に積み重ね、隙間には石灰岩の粉石を充填する。道路も教会もすべて石灰岩だが、暖かな雰囲気を感じる。
10.砂漠に暮らす/モロッコ 土+煉瓦
サハラ砂漠は赤土、赤砂で寒暖の差が激しい。水はオアシスにしかなく、住まいはオアシスに集まり、かつ敵からの防御を兼ねて、日干し煉瓦を用いた要塞住居群が作られた。厚さ50㌢の土壁・土屋根は熱と敵を防いでくれる。
11.砂漠に暮らす/モンゴル 木+皮
 ゴビ砂漠は砂混じりの草地で、モンゴル族が遊牧をしながら暮らしている。住まいは移動に便利なテントが用いられ、ゲルと呼ばれる。ゲルは柳の木を骨組みとし、羊などの皮を覆いとしている。解体に1時間、組立に2時間の簡便な家である。
12.山岳に暮らす/ネパール 土+石+草
人間の可住地は標高3000㍍が限界といわれる。土地はやせ、気候は厳しく、建築素材は限られる。標高約1000㍍のポカラでは日干し煉瓦を壁とし、草屋根の楕円形住居が見られるが、標高が増すごとに砕石や切石を用いた住居に変化する。

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