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1996韓国南部農村住居では風水に従い東高西低・北高南低の敷地の高い方に母屋を配置

2017年05月20日 | studywork

1996「韓国南部の農村住居の屋敷構えと風水観」日本建築学会近畿大会

 1.はじめに
 韓国では古来より風水の考え方にしたがい、住む場所を決め家を建ててきたと言われている。しかし、韓国の農村、農家に関する研究、とりわけ風水の観点からの研究は少ない。韓国の農村は1970年からのセマウル運動とその後の農村改良運動などにより、住居平面や住み方、外観が変わりつつある。そこで本稿では風水観に着目しつつ、農村住居の空間構成と現代化の状況について、慶尚南道九萬面洛胴マウルの事例調査をもとに考察をすすめた。現地調査は、慶尚大学のR先生、全州大学のS先生の助言を得て、1995年6月および8月に行っった。本報告は7戸を対象とした屋敷および間取り採図調査、住まい方や風水観に関するヒヤリング、アンケートの結果を資料としている。

2.調査地概要 ・・略・・

3.屋敷空間の構成
 対象住居の敷地はおよそ25m×20mの四角形で、北から南、または東から西に向かって傾斜している。敷地は道路の南または東に位置し、デムン(大門)の位置は、前者の場合は敷地の東に、後者の場合は南よりに設けられる。いずれの屋敷も四方は石や土などで作られた高さ1.8m前後の塀、または山によって囲まれるが、コンクリートブロック塀や河川を敷地囲いとすることもある。 
 屋敷内には、モムチェ(母屋、写真、事例N2)、サランチェ(舎廊様)、付属様<ソマグ(牛小屋)、テゥェビサ((堆肥舎)、コバン(倉庫)、バカッチェ(外棟)>などの建物と、アンデムン(内大門)、マダン(庭)、ファダン(花壇)、ジャンコバン(かめ類置き場)、井戸、畑、樹木などが配置されている。これらのなかで、重要度の高いモムチェ、サランチェ、付属棟、マダンに着目して屋敷配置の傾向をみると、敷地と山、道路の位置関係から3つの類型が得られた。
 1つは屋敷の北側に山、南側に道路がある場合(A・事例N5 )、2つは北側に道路、東側に山がある場合(B・N2、N6)、3つは東側に山、西側に道路がある場合(C・事例N1)である。
 Aは、モムチェが山側の南向きに配置されていて、前面にマダンがおかれ、道路側にサランチェを配置し、付属棟が西側に置かれる。
 Bは、モムチェが山側の西向きに配置され、前面にマダンがおかれ、モムチェとサランチェ、付属棟などはLまたコの字型に配置される。
 Cは、モムチェが山側の西向きで、前面にマダンがおかれ、サランチェはL字型に配置される。このように、モムチェとサランチェ、付属棟、マダンは山と道路に一定の関係をもって配置されていることが分かる

4.使われ方
 ・・略・・

5.風水観
 上述した屋敷空間構成には風水との関連性がみられる。その一つは敷地レベルであり、東高西低、北高南低の敷地が取られているうえ、モムチェの部分を最も高くし、前面にマダンをおいてその先にサランチェを配置するか、サランチェを前面に配置しない場合はすこし盛り土した花壇を設けていて、敷地後ろにある山を玄武、対してサランチェを案山、左右の付属棟または屋敷囲いを青龍と白虎とみなす風水説に共通する。
 また、モムチェが山側に位置するうえ、さらに基壇の上に建てられているのは、穴は周辺より高くなければならないと言う風水学上の考え方に共通する。
 さらに、デムンとクンバンとの位置関係をみると、すべて風水で吉とされる北にデムンのときは東にクンバン(N2)、南にデムンのときは北また東にクンバン(N1・3・5)、東にデムンのときは南にクンバン、西にデムンのときは東北にクンバン(N4)のいずれかになり、風水説が尊重されていることをうかがわせる。
 ほかに、風水説ではデムンからかまどの火が見えないように指示しており、いずれの住居もジョンジ(厨房)はデムンから見えないように配置されていて、風水説との一致がみられる。
 マウル全戸を対象としたアンケートでは「これからも風水を信じていきたい」の回答が多く、ヒヤリングでは「家を建てる時に風水を考慮した」と回答しており、上述の風水説との一致は人々の風水観の反映であると考えることができる。

6.おわりに
 農村住居が、ヤンバンなどの伝統的空間構成と農村としての実用性を兼ね備えて構成されていること、敷地の一番高い所にモムチェ、その前面にマダン、さらにサランチェを配置するなどの風水説に基づいた空間配置を取ろうとしていることが事例的に得られた。

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