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平岩弓枝著「青の伝説」はスリランカ・キャンディの殺人に始まり、水死+行方不明が続き、シシリー島で幕

2017年07月16日 | 斜読

book445 青の伝説 平岩弓枝 講談社文庫 1988
 スリランカを舞台にした本を探して見つけた。平岩弓枝氏(1932-)著の足利義満をテーマにした「獅子の座」(b241)を読んでいるし御宿かわせみのイメージが強いから、海外を舞台にした本も書いていると思わなかった。
 氏が50代の1985年に出版されたこの本はスリランカの古都キャンディを皮切りに、ニューヨークに舞台が変わり、日本でも殺人が起き、シシリー島で幕が下りる展開で、世界を縦断する物語になっている。氏の国際感覚に脱帽である。
 ただし、この本に限ってはあまりにも安易で無残な殺人が多すぎる。結末も心に傷を残した終わり方になっている。私の好みではない。殺人に正当性などないことは重々承知しているが、それでも社会正義とか自分や家族や愛する人を守るためとか、やむにやまれぬ背景のため武器を取るといった話にして欲しかった。

 話は、スリランカの古都、シンハラ王朝最後の都であるキャンディの駅に近い通りで起きた殺人から始まる・・あとで被害者はバンコク在住の華僑と分かる・・。
 主役の一人は、新婚間もない外交官夫人の三好=旧姓有沢浩子である。夫の和彦は前任地のインドからスリランカの日本大使館に赴任し、新婚の妻を上司から借りたベンツで観光中で、その途中で殺人事件が起きる。

 浩子は、仏陀の歯を祀っている仏歯寺参観のときと、一人で象の顔をした神像ガネーシャを買うとき、日本語の巧みな人・・あとで和気良太と分かる・・に出会う。
 和彦の運転するベンツは、キャンディから北のハバナラに向かう途中、大雨でぬかるみにはまり動けなくなる。通りかかった和気良太が二人をハバナラに送ってくれる。
 翌日、和彦は修理屋と車の故障現場に向かう。その間、浩子は和気良太の案内で世界遺産に登録されているシギリヤロックの観光に出かける。そこで、キャンディでも同じホテルだった静岡からの僧侶のグループと出会う。

 浩子がシギリヤロックからホテルに戻っても和彦が帰ってこない。修理屋は偽物だったことが分かり、やがてポロンナルワで水死していた和彦が見つかる。ベンツはホテルに置いてあったがガネーシャは消えていた。
 浩子の兄彰一は警察庁国際刑事課に所属していて、コロンボに家族とともに駆けつける。火葬のあとも和彦水死の手がかりを探そうと、浩子とともにコロンボに残る。浩子は、ハバナラのコテージの向かいに泊まっていた日本人らしい男を思い出す。彰一の聞き取りで、男はニューヨーク在住の華僑、楊子春と分かる。
 彰一と同期の婦人警官小出玲子は、結婚後退職し夫とともにワシントンには住んでいる。玲子の妹佐知子も婦人警官で国際刑事課に属し、彰一と恋仲である。彰一が手がかりを探しにニューヨークに来るので、玲子が応援に駆けつけた。
 二人はチャイナタウンの楊子春の店を見つけるが、女が応対し・・あとでシンシアと分かる・・楊子春は不在という。翌日訪ねると、楊子春は殺されていた。

 舞台は浅草に変わり、実家に戻った浩子を和気良太が訪ねてくる・・やがて二人は恋仲になっていく・・。和彦の遺品のなかに「宝石物語」という原稿があった。どうやら和彦はインド赴任中に宝石にかかわったらしい。
 さらに、静岡の僧侶のグループの一人森田光照がバンコクに出かけたまま行方不明になっていることが分かる。その僧侶には小料理屋を営む女きみ子がいて、スリランカの旅行に同行していた。
 浩子はきみ子に会って聞いたところでは、スリランカ旅行中に森田は楊子春からガネーシャを預かり、日本に帰国後、バンコクの楊にガネーシャを届けに行ったまま行方不明なったそうだ。ほどなくしてきみ子が殺される。物色のあとはないが、スリランカ旅行の写真の一部が消えていた。
 彰一は不審に思い、担当刑事荒木忠人にこれまでの経緯を伝え、慎重な捜査を依頼する。話が飛んで、荒木はほかのスリランカ旅行参加者の写真と照合し、どんな写真が消えたか調べているうち消息不明となる。

 ニューヨークに舞台が変わる。和気良太がティファニーで浩子のための宝石を見ているとき、研修で来ていた小出佐知子に出会う。前後するが、小出玲子の夫の友人がロングアイランドにバケイションハウスを買ったので玲子夫妻が招待され、そこで玲子は偶然にもシンシアを見つける。
 シンシアについて調べていたら、日本語の上手なシンシアの夫に招かれる・・。話が途切れて、玲子が帰ってこないと夫から電話をもらった佐知子はロングアイランドに駆けつけ、二人で玲子を探しに出かける・・。やがて玲子夫妻、佐知子の溺死体が見つかる。彰一が駆けつけるが、手がかりはない。

 話は浩子に戻る。浩子は和気良太とベッドをともにする仲になっていった。一方、彰一はスリランカで和彦の秘密と一連の事件の背景を知ったらしい。スリランカから浩子に電話すると、母が、和気良太を追ってシシリー島に出かけたと伝える。彰一は浩子を救うために、死を覚悟しシシリー島に向かう。
 シシリー島で全容が明かされて幕となるが、やはり幕の降ろし方は私好みではない。正義は勝ち、悪には鉄槌を降ろした方がいい、と思う。

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