yoosanよしなしごとを綴る

つれづれなるままにパソコンに向かいて旅日記・斜読・よしなしごとを綴る

コルドバのメスキータは42×74mから125×176mに増築された、二重アーチの石柱が林立し空間を幽玄にする

2016年11月08日 | 旅行

スペインを行く32  1994年ツアー5日目  メスキータ② ミナレット オレンジのパティオ 二重アーチ マクスラ ミヒラブ /2010.6記+2016.11記
 説明が長いので2回に分けて紹介する。

 アブド・アッラフマーン1世=アブドゥル・ラフマン1世が建てたメスキータは約42m×74mであった。
 イスラム教ではメッカにあるカアバ神殿への礼拝が基本で、そのためメッカ=カアバを示すキブラ=聖なる方向を示す壁がまず建てられ、そこにミヒラブ=壁窪が設けられる(現存しない)。

 最初のメスキータは、東南側の長さ70mのキブラに垂直な11列の身廊で構成され、清めのためのパティオ=中庭と井戸が設けられたようだ。

 コルドバの発展に伴いメスキータが手狭になり、アブド・アッラフマーン2世=アブドゥル・ラフマン2世の代に南西に増築され、約70m×72mに広がった。当初のキブラ+ミヒラブは南西側に移設された。

 イスラム教では1日5回の礼拝を信者に知らせるためにミナレット=塔が不可欠である。当初の塔は高さ23.5mで、アブドゥル・ラフマン1世の息子であるヒクセム1世によって建てられたが、アブド・アッラフマーン3世=アブドゥル・ラフマン3世は現在に残る高さ47.5mの塔を建て直す。

 およそ2倍の高さの塔を建てたのは、より広範囲の信者に呼びかける実利もあったであろうが、かつてのキリスト教国を占拠しているイスラム教の権勢を誇示する狙いもあったと考えるのが順当であろう。それは、この後の増築や内部空間の豪壮さと軌を一にすると思う。

 コルドバの発展はさらに続き、ハカム2世はメスキータをさらに南西方向に増築し約116m×72mに広げた。キブラ+ミヒラブは南西の壁に移され、11列の身廊も南西方向に伸び、11列の中央にミヒラブが配置された。

 981年、アル・マンスール・イブン・アビ・アーミルが後ウマイヤ朝の最高権力者につく。このころイベリア半島のほぼ全域がイスラム勢力の支配下に置かれ、コルドバはさらに繁栄した。
 987年、アル・マンスールはメスキータを北東に増築させ、およそ125m×116mの正方形に近い形にする。何と、アブド・アッラフマーン1世=アブドゥル・ラフマン1世が建てたメスキータの47倍もの広さになった。
 これが現在に残るメスキータである。身廊は北東側に8列増え19列となったが、ミヒラブの位置はハカム2世の時の11列の中央のままとしたため、方形のメスキータに対してミヒラブの位置はバランスを崩している。
 イスラム教における礼拝はメッカ=カアバの方向さえ確定できればいいので、部屋の形に対しミヒラブがずれて配置されていても支障はなかったと思える。

 メスキータの増築にあわせパティオも北東側に増築されため、全体としてはおよそ125m×176mの広さが現在に残されたメスキータの全景となる。

 メスキータはそうしたヨーロッパキリスト*アラブイスラムの歴史を思い起こさせる舞台であると同時に、キリスト文化とイスラム文化が全力でしのぎを削ったその極地を目にすることのできる現場でもあり、そのことが人々を引きつけ、私を感激させるのである。

 ・・・・オレンジのパティオに入る。・・イスラム教では礼拝の前に体を水で清めるため、メスキータ=礼拝堂の前庭には井戸が備えられた。初期の井戸はメスキータの増築に対応した改修などで痕跡を失っていて、現存する井戸はレコンキスタ後の再現である。

 パティオを過ぎ、メスキータに踏み込む。外の明るさで目が慣れない。そのことが、メスキータに林立する紅白を交互に繰り返した二重アーチの荘厳な空間をいっそう幽玄化している。
 横方向116mに19列の石柱が繰り返し、奥行き125m方向は途中に聖堂の壁面があるものの石柱がパースペクティブに連続していて、その上を二重アーチが高い天井に向かって伸び上がっている。カメラは当然ながらその全容をとらえることはできない。ただ目が慣れるのを待つ。
石柱をよく見ると、青みを帯びた大理石の柱や彩りの紋様が浮き出た大理石、白っぽい花崗岩?、化粧彫りのされた石こう柱、などが混在している。柱頭のオーダーもおおむねコリント式(アカンサスの葉を象った柱頭)だが、それぞれ違った彫刻となっている。
 これは、西ゴート王国時代の聖ビセンテ修道院、さらにさかのぼってヤヌス神殿の石材を再利用しようとし、石柱の高さをそろえるために組み合わせた結果の不揃いや、増築を重ねて不足した石柱の一部に彫刻のしやすい近在の炭酸塩岩を使用したための不揃いと考えられている。
 しかし、石柱の林立(19列×38段?=800本?)はそうした不揃いを意識させずに見る人を圧倒していて、その不揃いが圧倒する空間に柔らかさを作りだしている。

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