風見鶏

春村 蓬   題詠100首ぶろぐ

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題詠blog 2010

2010-11-30 | Weblog
001:春 届けよう 草の言葉をおぼえたら遙かなひとへ春村蓬

002:暇 自分撮り笑顔認識機能ON 夏の休暇のおはりのやうに

003:公園 公園にたつぷりと咲くパンジーのひとつひとつとつながるあなた

004:疑 如月のショコラ売り場を歩きつつ疑はないのを疑つてゐる

005:乗 新しいサヨナラは明日かもしれず乗つたところへ着いたら降りよう

006:サイン この道のおはりは海でこの坂のうへは空です ここにサインを

007:決 決めたから決めたからつて走りだすあなたの連れてゆく秋茜

008:南北 寄りかかり合ふと背中はあたたかい東西南北星を見ながら

009:菜 とりあへず野菜をきざむ夕暮れのわたしの場所のスポットライト

010:かけら ひとかけらふたかけら痛いよ欠片 涙は粒でほんとによかつた

011:青 晴れ晴れとわたしの上で青空は星やら月やら匿つてゐる

012:穏 穏やかに笑ふあなたとゐたころは幸せなんておまけのやうで

013:元気 摘んできたベビーリーフのサラダなどあなたの元気に届くでせうか

014:接 軌道から逸れて流れて消えるころうつすらと見えた接点の位置

015:ガール せつなくて水と離れた青魚(あおうを)はシャガールの空に張りついてゐる

016:館 夕雲の背景に静止したままの笑顔ありますかこの写真館に

017:最近 安らぎはおいてけぼりのこの街のたとへば最近出来たコンビニ

018:京 さういへば西東京市北町は南がなくて南を思ふ

019:押 押入の奥に朝日が届いたら初めてわかる何もないこと

020:まぐれ 「気まぐれ」の「気」と「まぐれ」との出会ひなどしらんぷりしてそしてそれから

021:狐 泣いていい 手袋を買ひにゆくことも撃たれることもそのまま狐 

022:カレンダー 日めくりのカレンダーの朱色から飛び立つてゆく秋のてふてふ

023:魂 戦力外通告を受けた魂を抱きしめて痛むわたしの二の腕

024:相撲 言へなくて繋がるだけの腕相撲あなたと違ふ利き腕でした   

025:環 目覚めると琴座の環状星雲の温度を思ふ冬のはじまり

026:丸 丸まつて床にころんとしてゐたら触らないでねだんご虫なの

027:そわそわ 美しく生きられぬ故そはそはとしてゐるのかな、また転んだし

028:陰 この場所を気に入つてくれてありがたう半分日陰で咲く白い薔薇

029:利用 どうかして利用出来ないものかしら期限の切れたサービスカード

030:秤 秋風に揺れる天秤 何だらう風のない日に乗つてゐるのは

031:SF ああ今朝はSF映画になりさうなかたちの雲よひとつ離れて

032:苦 幸せなときは見えない幸せを苦しみながら味はふ漢方薬

033:みかん 奥深くみかんの色に眼を染めて猫になりたい一日がある

034:孫 「長孫の二十歳祝ひてひとり酌む」 ぢーちやんの句がじんじん痛い

035:金 何回もつくため息に混ざり合ひ「金輪際」とふ言葉が落ちる

036:正義 忘れない正義の味方のその名前何度呼んでも呼んでも来ない

037:奥 痛みから君に気づゐたいつまでも噛みしめてごめん、わたしの奥歯

038:空耳 お互ひの声帯は擦り傷だらけ空耳使ひとなる部屋にゐて

039:怠 秋咲きのブルームーンが香りだす倦怠感と戦ふやうに

040:レンズ 飽きるほどどんよりとしてゐたいので魚眼レンズの眼鏡はないか

041:鉛 発芽する季(とき)を知りつつ鉛筆は忘れ去られた筆箱のなか

042:学者 スパイスとハーブと粉と使ふときわれはなかなか科学者なのだ

043:剥 薄紙の剥がれるやうに消えてゆく痛みであれば薄く暮らさう

044:ペット その昔ペットであつたライオンのたてがみは風をやさしく含む

045:群 ささやかに群れて過ごしてきた時の流れがとまる 誰か助けて

046:じゃんけん じやんけんのぱーにひろげたてのひらの隙間がいつもささえてゐるよ

047:蒸 蒸しパンを頬張りすぎてでる涙 なぜだらうみんな胸につかへる

048:来世 今はまだどんな言葉もでてこないたぶん来世でほどけることの

049:袋 手袋に五本の指の包まれてあたたかいのか触れ合はぬまま

050:虹 太陽を背にして見える虹の色やさしさはたぶん後に多い

051:番号 あの頃はわたしの証であつたのに思ひ出せない出席番号

052:婆 捨てられてゆくペアカードある意味で婆抜きの婆は勝ちかもしれぬ

053:ぽかん ポップコーンぽかんぽかんと生まれ出て塩にまみれて さて召し上がれ

054:戯 少しでも勇気の欲しい夕暮れは鳥獣戯画の蛙を思ふ

055:アメリカ アメリカンコーヒーをバカ丁寧に飲むわたしだから仕方がないか

056:枯 枯れ枝や枯れ葉を踏めば音たてて「かういふことさ」「かういふことさ」

057:台所 飼ひ猫にこつそり見られてしまつたが台所では人魚になれる

058:脳 シナプスの迷子がゐますきらきらと右脳左脳の境目あたり

059:病 病垂吹きこぼれたる鍋ぶたにうろたへながら駆け寄る気持ち

060:漫画 今われは四コマ漫画で言ふならば三コマあたりの微妙な場面

061:奴 プリンより冷や奴が食べたくなる真冬の熱に弱つたときは

062:ネクタイ こつそりと飛ぶこともある蝶ネクタイあの日は喉に留つてゐたが

063:仏 仏蘭西へ帰りたいので咲くといふうどん粉病に弱いミミ・エデン

064:ふたご ひとつだけ残つたことも寂しいよ ずつとふたご座生まれのふたり

065:骨 頬骨の高さにいつたん留まりなさい背筋伸ばして泣いてゐるのです

066:雛 雛鳥よたくさんお鳴き「雛」と「離」を並べて書くととても似てゐる

067:匿名 匿名のわたしの歌の浮かびくる液晶画面は吹雪の色の

068:怒 許されてゐてもゐなくてもゆらゆらと漂ふばかり怒りの日まで

069:島 海底の頂上なればあをあをと深呼吸する南の小島

070:白衣 よいことをしたいと思ふクリスマスぼんやりとわれは白衣の堕天使

071:褪 色褪せるまでの時間のあつたことそして絵筆をまた取ることの

072:コップ 記念日のコップの割れて真実はコップのかたちの一瞬の空

073:弁 花びらを花弁と呼んで叱られた さくら花びら胸張るさくら

074:あとがき あとがきを最初に読んだ罰として隠れてしまふ修飾語たち

075:微 微塵子がいつのまにやら住み着いてけつこう仲良くやつて行けさう

076:スーパー 味方だと信じてゐたがひとりには別の顔するスーパーマーケット

077:対 対岸へ辿り着くまで正直にいつぽん道を遠く回らう

078:指紋 見えぬままあなたの指紋そこここに犬の鼻もてする大掃除

079:第 大切にしてきたものを消しながらわたし次第のわたしのひと日

080:夜 目を閉じて夜だと思ひ目を開けて昼だと決める躓きながら

081:シェフ わたくしがシェフだつた日のスパチュラを見ても泣かない11/22

082:弾 弾力のある枝先は小鳥やら雪やら乗せて動いてみせる

083:孤独 ああさうか誰より孤独を怖れてる赤ちやんだから泣いては笑ふ

084:千 千本の樹を前にして怯まないこころを持つて鳥は飛び立つ

085:訛 プードルはプードルの声柴犬は柴犬の声で訛ではない

086:水たまり へこんでる場所にやさしい空からのギフトですその丸い水たまり

087:麗 綺麗だね誰かとかはす挨拶の言葉と同じ音楽を聞く

088:マニキュア マニキュアの小瓶のなかでいつまでも眠るわたしの時間よ起きよ

089:泡 カプチーノの泡に埋もれて溺れさう一枚だけの上唇が

090:恐怖 恐怖心おまへも私の心なら仕方がないので握手をしよう

091:旅 旅行から帰つたばかりの輝きの星と出会へるその日に乾杯

092:烈 烈風に向かふこころの栄養のクレソンだつて食べてやるから

093:全部 これまでの全部とこれからの全部に挟まれて全部わたくしとなる

094:底 どこからも底の見えない穴がありひろひろと鳴る秋のこの胸

095:黒 黒砂糖の欠片をあげる煮詰まつた甘さはことんと気持ちに効くよ

096:交差 交差点は苦手な場所よ真ん中でおろおろしてゐる気体が見える

097:換 換気扇の羽ピカピカに磨くこと老後の趣味のひとつに入れた

098:腕 噛みついたことなどなくてその腕の固さも知らぬ知りたかつたが

099:イコール 4-3=1(ヨンマイナスサンイコールイチ) もくもくとモツ鍋の湯気をひとりでつつく

100:福 噴水の拍手浴びつつ取り替へるこの悲しみとあの幸福を
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