横井克俊のブログ

2008-09-17~

交通違反に対するサンクション(その2):交通反則通告制度

2017-06-30 21:21:15 | 刑事法実務

[交通反則通告制度とは]

・道路交通法は、一定の行為に罰則をもって臨んでいる(法115条~123条の2)。これらの違法行為をおこなった者は、道交法違反の罪に問われるのが本来である。

・その一方、道交法は、上記違法行為のうち比較的軽微なものを「反則行為」と定義し、ある反則行為を犯したとしても直ちに公訴提起(少年ならば審判開始)をせずに、対応する反則金を納付すれば手続を終了する、といったルートを用意している。

 

[反則行為]

・具体的な反則行為と反則金の額は、道路交通法施行令別表第6に列挙されている(法125条1項・3項・別表第2→施行令45条)。

・施行令別表第6に掲げられる反則行為の多くは、一般違反行為として同別表第2の1にも掲げられている。もっとも、反則行為であっても交通の安全に影響しないもの(泥はね運転、免許証不携帯など)は、一般違反行為とされていない。

・他方、一般違反行為の中でも悪質なもの(速度超過40㎞以上など)はもはや反則行為と評価されずに直ちに刑事罰の対象とされる。この反対として、軽微な一般違反行為(座席ベルト装着義務違反など)は、点数制度の対象にはなるが罰則がない(当然に反則行為にもならない)。

・反則行為の主体は運転者に限定される(法125条1項)。もっとも違法駐車に限っては、運転者が反則金を納付しない場合(or公訴提起された場合)、その使用者も放置違反金の納付を命じられる(法51条の4第4項)。

・反則行為を犯した者であっても、無免許・酒酔い等の者は「反則者」とは扱われないので(法125条2項)、もはや反則通告制度の恩恵を受けられない。

 

[反則金] 

・同じ反則行為であっても、「大型車/普通車/二輪車/原付車」の違いで反則金の額に差が設けられている。

・反則金の中でもっとも高いのが「40,000円(大型車による速度超過35~40㎞など)」、もっとも安いのが「3,000円(免許証不携帯)」である。

 

[警察官による告知と仮納付]

・警察官は、反則者があると認めたときは、反則者に「交通反則告知書(いわゆる青キップ)」(法126条1項、施行令46条)と「仮納付書」(法129条1項、施行令52条6項・1項)を交付する。

・なお、反則者は告知書の受領を強制されないから、あえて受領を拒むことで正規の刑事手続に臨むことは可能(法130条2号)。

・告知を受けた反則者は、その翌日から7日以内に、仮納付書によって日本銀行歳入代理店に対して、反則金相当額を仮納付することができる(法129条1項、施行令52条6項・2項・4項)。

・警察内部において「反則者へ告知→県警本部長への報告→反則者への通告」と処理される(法126条3項、127条1項)。しかし、通告に先行して仮納付が済んでいると、あえて個別の通告をする実益がないゆえ、公示通告(=警察の掲示板に告知書番号等が書かれた公示通告書を掲示)で処理される(法129条2項、施行令54条、施行規則44条)。掲示開始から3日経過によって通告が効力をもつので(施行令54条3項)、先の仮納付が反則金の納付とみなされる(法129条3項)。

 

[警察本部長による通告と反則金の納付]

・8日間の仮納付期間を徒過すると、警察本部長から反則者に通告書が送付される(法127条)。

・通告を受けた者は、翌日から10日以内に、納付書によって日本銀行歳入代理店に対して、反則金を納付しなければならない(法128条)。

・反則金を納付した者は、もはや公訴提起or少年審判開始処分を受けない(法128条2項)。この意味で、反則金納付は公訴提起の消極要件と位置づけられ、これに反する公訴提起がなされても、その手続が違反無効として公訴棄却判決が宣告される(刑訴法338条4号)。

 

酒巻匡『刑事訴訟法』[2015]pp240,603-4

☆一般社団法人全日本交通安全協会『わかる身につく交通教本第6改訂版』[2016]pp118-9

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