横井克俊のブログ

2008-09-17~

交通違反に対するサンクション(その1):点数制度

2017-06-28 21:52:55 | 刑事法実務

[点数制度の意義]

・運転免許を受けた者が「自動車等の運転に関して道交法等に違反したとき」、公安委員会は「政令で定める基準」にしたがい、その者の免許を取り消したり、6か月以内の範囲で免許の効力を停止することができる(道路交通法103条1項5号)。この規定を受けた道路交通法施行令は、昭和44年から「点数制度」を採用している(道路交通法施行令33条の2など)。

・点数制度は、(1)具体的な交通違反に対して個別に点数を付し、(2)その点数の合計がある基準を満たすと特定の行政処分等をおこなう、という特徴をもつ。

・なお、例えば「重大違反唆し等」のように、点数制度によらずに直ちに処分対象となる類型もある。

 

[基礎点数1:一般違反行為]※教本pp122-3に主な一般違反行為の一欄がある。

・施行令別表第2の1の表の上欄に掲げる各行為をいう(施行令33条の2第1項1号本文)。各行為毎に基礎点数が付され、「1点(無灯火など)」から「25点(無免許運転、酒気帯び運転(0.25以上))」まである。

・同時に複数の違反行為をした場合はもっとも高い点数が付される(吸収方式;施行令別表第2の備考1の1)。

 

[基礎点数2:特定違反行為]※同じく教本p121参照。

・施行令別表第2の2の表の上欄に掲げる各行為をいう(施行令33条の2第2項1号本文)。特に悪質な行為が挙げられ、「35点(救護義務違反、酒酔い運転)」から「62点(運転殺人等、危険運転致死等)」まである。

 

[付加点数:交通事故]

・以上の違反行為にとどまらず、その結果として交通事故を起こした場合は、さらに施行令別表第2の3の表の下欄に掲げる点数が付加される。

・人身事故・・・「死傷の程度×不注意の程度(もっぱらか否か)」で決められており、「+2or3点(傷害15日未満)」から「+13or20点(死亡)」まである(施行令別表第2の備考1の2イ)。

・物損事故・・・原則として付加点数はないが、措置義務違反(あて逃げ;法117条の5第1号、72条1項前段)をすると「+5点」となる(施行令別表第2の備考1の2ロ)。

 

[点数計算の方法]

・原則として「当該違反行為の点数+過去3年間の違反行為の点数」を累積点数とする(施行令33条の2第3項柱書)。この累積点数が法定に達すると、当該違反行為を理由として免許取消し等がなされる。

・この例外として、次の救済計算がある;(1)違反行為をしても、そこから1年以上を無違反で免許を受けたまま経過すれば、それ以前の違反行為はカウントされない(3項1号)。俗に言う「1年立てば点数がチャラになる」。(2)3点以下の軽微な違反行為をしても、それ前2年以上を無違反免許ですごしており、かつ、その後3か月を無違反免許ですごせば、くだんの3点以下はカウントされない(3項6号)。(3)違反者講習を受けたときは、受講の基準に該当することとなった軽微違反行為はカウントされない(3項7号)。

 

[救済としての違反者講習]

・前歴(=過去3年間の免停等)のない者であっても、累積点数が6点になると免停となるのが建前である(施行令別表第3の1の第7欄)。

・しかし、多くの者は実際は違反者講習によって救済されている。すなわち、累積6点に達したとしても、当該違反が3点以下の軽微違反行為であって前歴がないなどの条件を満たすと、違反者講習の受講が義務付けられる(法102条の2、施行令37条の8)。その旨の通知を受けてから1か月間は免停処分を受けることはなく(法103条1項柱書ただし書)、違反者講習を受ければ軽微違反行為はノーカウントとなる(施行令33条の2第3項柱書)。

 

[点数制度による処分]

・点数制度においても、行政処分の理由はあくまで当該違反行為であるとの建前がとらえる。累積点数を構成する過去の違反行為は、「現にした違反行為を理由とする処分」をおこなうにあたり、運転者の危険性を推認するための資料として点数的に評価されている。

・処分の内容は、「一般違反行為/特定違反行為の別×過去3年以内の免停等の前歴回数×累積点数」で決まる。

・一般違反行為が処分の理由となる場合・・・もっとも軽いのが「免停」、もっとも重いのが「欠格期間5年の免取」となる。免停の法定期間は「6か月以内」とされるにとどまるが(法103条1項本文)、各公安委員会では基準を設け、「前歴回数×累積点数」によって期間を決めている。

・特定違反行為が処分の理由となる場合・・・もっとも軽いのが「欠格期間3年の免取」、もっとも重いのが「欠格期間10年の免取」となる。

 

[意見の聴取の手続]

・違反行為を理由として免取or90日以上の免停をしようとするとき、公安委員会は「公開による意見の聴取」を実施する(法104条、施行令39条)

 

☆運転免許研究会編著『点数制度の実務六訂版』[2010]pp18-209

一般社団法人全日本交通安全協会『わかる身につく交通教本第6改訂版』[2016]pp121-6

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