ヨダログ

囲碁棋士 依田紀基のブログ

中学生は働いてはいけない?

2017-06-16 | 日記

将棋藤井聡太四段がテレビで出ない日はないのだと将棋好きの友人が教えてくれた。ワイドショーのような番組にも取り上げられるのだという。

僕の家にはテレビを置いていないので、そこまでのフィーバーとは知らなかった。

坂田栄男先生が全盛時代の頃は負ける事がニュースになったけど、藤井四段は負かした相手の名前が有名になるのだからねえ。大したもんだ。

僕の家にはテレビはないけど、ネットや新聞でニュースを見る。ネットで「14歳深夜対局問題ない?」という見出しを見た時すぐ35年前の事を思い出した。僕が入段してプロ棋士になったころ、少年少女囲碁名人戦がスタートした。

確か、第一回の優勝者は小学生は関西棋院の現横田九段で中学生は現青木紳一九段だった。青木君と僕は同い年である。

数学の授業中に数学の教師が僕に言った。「中学の部で優勝した青木君は俺の家の近所に住んでいる。大会の表を見ても依田の名前がなかった。どうせ予選で負けたんだろ?」と。僕は「僕はプロだからアマチュアの大会には出られません」と答えると、

「それは嘘だ。国の法律で中学生は働いてはいけないことになっている」と数学教師はクラスの生徒全員の前で言った。

僕は「そんなこと言われても、現に僕はプロです」と言っても、数学教師は僕の言うことを嘘と決めつけて聞かなかった。

まず、生徒の言うことを信じるところからスタートしてはどうかと思う。人のいう事を嘘と決めつけて話をするような人間は社会に出て相手にされないだろう。教師が本当に生徒に教えなければならないことはこういう事だと思うがどうだろうか。

僕の通っていた中学校はこの教師でもまだマシな方でもっとひどい暴力教師もいた。ちょっと昔を思い出してしまった。


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突っぱねることが出来ない責任

2017-06-09 | 日記

前回の投稿でも書いたけど、三浦九段の竜王戦七番勝負辞退の事件について最近友人と話をしていたが、

どうして僕が三浦九段と将棋連盟執行部との和解の写真を見て胸が悪くなるのを感じたのか、その正体を友人と話をしている間にわかった。

まず今回の事件で一番被害を被っているのは、将棋棋士とスポンサーである。あと、心傷ついたファンもいたかもしれない。

今回、なぜ挑戦者差し替えなどという将棋界の歴史に汚点を残す事態となったのか?ということである。これははっきりしている。

三浦九段が出場しなかったからである。僕は今回の事件で一番の責任があるのは三浦九段だと思っている。

三浦九段が出場すればこんな事態にはならなかった。しかし、将棋連盟から事情聴取された時点で、持っているスマホなどを提出して全てをさらけだして突っぱねることをしなかった。

だから、将棋連盟執行部はこの時点で「三浦九段が突っぱねることが出来なかった責任」を明確にするべきだったと思う。

そうすれば三浦九段に慰謝料を払うなどというあべこべな事態にはならなかったはずである。

将棋連盟執行部の失態は人を疑うという非常にリスクの高い事をビデオにも取らずにほとんど丸腰でやっていたということである。

報道を見る限りでは竜王戦七番勝負出場辞退をどちらからどのように言い出したのかこの経緯がはっきりわからない。

はっきりわかっているのは三浦九段が突っぱねずに出場しなかったという事実である。世間は三浦九段が白か黒かと言うだけでこの

「突っぱねず七番勝負に出場しなかった責任」を問うという視点がないというのが不思議でならない。

今回、竜王戦のみならずA級順位戦で、三浦九段の残留を保証したため、次期は11人で行うという。

こんな数々の不細工なことをやっていて、文句も言わずに受け入れる読売さん、朝日さん毎日さんは本当にやさしいと思う。

僕は挑戦者差し替えの報道を見た時、少なくとも挑戦者決定三番勝負の対局料を三浦九段は読売さんに返還するのが筋だと思っていた。

それを将棋連盟が言わないのは武士の情けなのかと思ったくらいだ。僕は別に将棋連盟や三浦九段に特別な感情があるわけではない。三浦九段とは会ったこともない。ただ腑に落ちない。腑に落ちないことを黙っているのは体に悪い。

腑に落ちない最たるものは、三浦九段が突っぱねないのに白を主張していたことである。本当に白なら突っぱねるだろうよ、普通は。と思う。この行動が僕には理解できなかった。思っていることを書いたらすっきりしてきたのでこれくらいにします。


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危機意識なさすぎじゃないの?

2017-06-04 | 日記

以前にも投稿したけど、将棋界で問題になっていた将棋ソフトのカンニング疑惑で将棋連盟と三浦九段が和解するという。

将棋連盟が三浦九段に慰謝料を払うとのことだ。この結末に僕は納得出来ない。将棋連盟執行部は危機意識なさすぎではないの?と僕は思う。

それと同時に、どうして、本当に三浦9段が身に覚えのない事なら、堂々と突っぱねて竜王戦七番勝負に出場しなかったのか理解に苦しむ。

しかも、個人だけではなく、将棋界の歴史に大きな汚点を残す。僕としては、まさにここを三浦九段に答えてもらいたいのである。

以前のブログにも書いた。それがまさか本当のことになるとは。人を疑うということは非常にリスクのあることなのだ。

人を疑い、ましてや公にするからには万全な態勢を布かなくてはならないはずである。

今回の事で言えば、僕がもし将棋連盟執行部の立場であったなら、少なくとも、執行部と三浦九段との全てのやり取りを全てビデオに録画する。今回、週刊誌などの報道によれば、三浦九段が「疑われたままでは竜王戦七番勝負に出場できません。」と言ったとのことであった。

少なくとも、出場辞退の意志が自主的かどうか将棋連盟としてははっきり証拠に残しておくべきだったと僕は思う。

もし、僕がこの時、将棋連盟の執行部で、三浦九段が竜王戦七番勝負を辞退すると言ったら、なぜ辞退できるのか問い詰めて、

そのやり取りをビデオに残そうとするだろう。「七番勝負を辞退するとういうことは、自分は黒と認めるということなんだよ。白なら堂々と出場するべき」と説得して、そのやり取りを全て録画する。

それくらい棋士にとって七番勝負は夢の舞台なのである。

 


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教師のレベル低下は国力の低下

2017-05-17 | 日記

ネットで信じられないニュースを見た。大阪市の小学校の教師が酒に酔った状態で担任する男児の自宅を訪れて、

男児に暴行を加えていた疑いがあるとのことだった。こんな教師が今でもいるのかと愕然とした。

そして、40年近い昔の悪夢が思い起こされた。

特に中学校では僕に辛く当たる教師が多かった。僕が学校の勉強が出来なかったからである。

自慢ではないが、僕の中学3年の通知表はほぼオール1である。

2学期と3学期は完璧なオール1であったが、1学期は社会科だけどういうわけか、2だった。

ただし、×がついていた。2×ということは1に近い2ということである。どうせなら全ての学期をオール1にして欲しかった。

それはともかくとして、僕が安藤武夫先生の内弟子になり、渋谷区の中学校に通うことになったが、

この中学校の教師はろくでもない人間が多かった。暴力教師が2人もいた。最悪だったのは英語教師だった。

この英語教師は放課後に僕を一人教室に残してアルファベットの書き取りを命じて来た。今考えてもこの英語教師の頭の構造を疑う。

生徒を教室に一人残して、アルファベットの書き取りをさせて英語力が上がるとでもいうのか?

しかもこの教師が付き添って指導するわけでもない。僕は二度目に放課後の居残りを命じられた時に、

当然のことながら、あまりの馬鹿馬鹿しさに安藤家に帰って碁の勉強をしていた。

そしたら安藤家に英語教師から電話がかかってきた。

学校に来いという。僕が学校に行くと、英語教師と体育教師が待ち構えていて、僕はこの2人の教師に顔が変形するまで殴られた。

僕は生まれてから幸いと言うべきかケンカというものをしたことはない。だから他人から殴られたという経験はこの時以外にはない。

僕が殴り合いのケンカをしたことがないというのは、多分、碁の影響だと思う。

相手によって打つ手を変えてはならないという考えからである。

例えば、自分が勝てそうだと思う人間にはケンカを吹っ掛けるけれども、

勝てないと思う人間には尾っぽを丸めるというのでは人間のクズだと考える。

ボクシングの世界チャンピオン相手でも、小学生相手でも同じように対応しなくてはいけないと思う。

少なくとも僕はそう考えているし、他の棋士も同じ感覚だろうと思う。

だから、棋士がケンカをするというのは少ないのでないかな。

僕が暴力教師から呼び出されて殴られて安藤家に帰ってきて僕の顔を見た師匠の奥さんは「教育委員会に訴える」と叫んだ。

当然の反応だろう。しかし、僕は教師の報復を恐れて、「いいから」と、お母さん(師匠の奥さん)を押しとどめた。

今思えば教師が生徒に報復するなど有り得ない。

今僕がこんな教師がいることを知ったなら、あらゆる所に働きかけてこの教師の教員免許を剥奪させようとするだろう。

子供は国の宝である。教育は国づくりの根幹である。教師のレベルが下がることは日本の国力が下がるということである。

こんな教師がいるということは日本のためにならないからである。

つい昔を思い出してしまったが、大阪の田中小学校の事件が事実であれば即教員免許を剥奪してもらいたい。

 


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幻庵

2017-01-19 | 日記

百田尚樹さんの時代囲碁小説「幻庵」読みました。当時の棋士たちを詳細に書いてます。

 

面白いだけでなく、碁の歴史資料としても一級だと思います。当時の棋士間の人間関係もよくわかりました。

 

本を読んで初めてわかったことがたくさんありました。

 

例えば、17歳の服部立徹が28歳の丈和に先相先の白番で勝ったあとの先番で、

 

必勝の碁を一手のミスで落とした碁を幻庵因碩は後に今川義元の油断に例えてますが、

 

丈和についてもこの碁を負けられない事情があったと、かつて勉強した碁の本で読んだことはありましたが、

 

この本読んで理由がわかり、なるほどと思いましたね。

 

もしこの碁に立徹が勝っていたら碁の歴史も変わっていたかもしれませんね。

 

丈和が国技観光という本の中に幻庵に一線を八本這わせて勝った碁をのせています。幻庵は気を悪くしたと伝えられてます。

このことは本の中でも書かれています。

 

僕はこの有名な碁を並べて以前から思っていたのですが、丈和にとって最後の八本目は這わせる意味はない手なのです。

 

ここを白から打つはずはないし、劫立てにも使えるからです。よく、アマの方に「先手だから打つ」という人がいますが、

 

先手だからというのは理由になりません。なにも打たなければ先手ですから。

 

だから僕は碁を指導するときに、「先手だから打つ」という癖を直すだけでも上達しますよ、と言ってます。

 

先手だから打つというのは一種の病気のようなもので、こういう習慣を持っている人の碁はダメ詰まりになります。

 

プロは意味のない手は打ちません。それは骨の髄まで叩き込まれていることです。それなのになぜ丈和は打ったのか?

 

この理由は一つしかありません。丈和は一線を八本這わせたこの形を棋譜に残したかったからです。感じ悪い!

 

この一手見ただけでも幻庵と丈和の関係が想像できますよね。

ある意味、この盤上では意味のない手を丈和が打ったことによってこの棋譜の歴史的価値が上がったと言えるかもしれません。

 

こういうことを想像したりするのも古碁を勉強する楽しみでもあります。

 

名人碁所をめぐる盤外の駆け引きも役者が揃っていて面白い。

 

しまいには中国に渡ろうとして密航を企てるのですが、途中嵐に会ってお金を海に落として一文無しになります。

 

スケールの桁が違う。囲碁史上最高に面白い人だったでしょうね。

 

 

そして棋士にとって究極ともいえる「何のために碁を打つのか?」と問いかけてきます。

 

僕はこの本読んで色々なことを思い出したり想像したり考えさせられて楽しかったし、2日で上下巻一気に読んでしまいました。

 

 


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