血と骨

2004年11月07日 | 映画レビュー
梁 石日(ヤン ソギル)原作の映画化

済州島から大阪に渡ってきた金 俊平の激しい生涯を描く人間ドラマ


ビートたけしさんが俳優としてでも,もちろんコメディアンとしてでもなく,
完全に金 俊平という男になりきっていた。
まるで取り憑かれたかのような迫真の演技。

なのに原作と違って鬼気迫るほどではなかった。

原作の俊平の方が物凄く,本自体もこってり,
映画版はただ凄いだけで,物語もあっさり。

数多あるエピソードが断片的で深みを感じないから,
人物像が浮かび上がって来ないように感じました。

希望を抱いて日本へ渡ってきたものの,
たくさんの困難,壁があったんでしょう。
その行き場の無い怒りを発散させてきた俊平の身体が,
過去を物語っていて哀しさも伝わるんですが,それも一瞬だけ・・

根は優しいのであろうと察せられるシーンもあるんですが,
金 俊平というキャラクターが確固たるものになっていないから,
生涯から見えて来るはずの背景やメッセージが何も伝わって来ない。

妻との愛憎,息子への執着,血のこだわりも描ききれていないし・・

街の移ろいと共に,哀れな存在になっていき,
最期は孤独に幕を閉じるって,それは自分が犯してきた事への報いだし,
結局は,暴れん坊おじさんと,巻き添えをくらった家族たちの記録だった印象。

オダギリジョーが少ない場面ながら鮮烈な印象を残したり,
出演している俳優は全て演技派揃いなのに,
心にドーンと来るものは何も無く勿体なさを感じる。

生きる業を感じられなかったのは残念。


やっぱり暴力はあかん。
怒り憎しみ,悲しみといったマイナスしか生み出さない最低の行為。

これだけを伝えたかったのかな,この映画は?



PS
パンフがお薦め!
シナリオまで掲載されています。

本編を補って余りある充実の内容!




監督:崔 洋一

出演:ビートたけし,鈴木 京香,新井 浩文,田畑 智子,オダギリジョー ほか

上映時間:144分




血と骨 コレクターズ・エディション
ビートたけし 梁石日 崔洋一 鈴木京香



日常劇場 オモヒノタマ 念珠 第三巻 この世の外へ クラブ進駐軍 海猫 パッチギ! ラッキー・ストライカーズ・プレゼンツ・・・アウト・オブ・ジス・ワールド(CCCD)

by G-Tools


血と骨〈上〉幻冬舎文庫

血と骨〈下〉幻冬舎文庫

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
暴力に・・・ (しんちゃん)
2004-11-07 18:52:47
 正当性がないのが見てて辛かったな

もっとも彼のテリトリー内での彼のルールで生きてきたから仕方ないかもだけどね



ただ、このあまりにも強烈な「父権」は親父としてうらやましいかも(^^;
返信する
Unknown (AKIRA)
2004-11-08 10:56:07
バイオレンスが先行していますが,それほど過激では無かったですね。



あと,ボカシは変だった・・余計にイヤらしくなってる。。
返信する
TBありがとうございました ()
2004-11-15 14:04:39
こちらからもTBさせてもらいます。

身内にこんな人が居なくて良かったです(´▽`) ホッ



ボカシ笑いました(*゜▽゜)ノ

返信する